大前研一ビジネスジャーナル No.12

21世紀の人材戦略
未読
大前研一ビジネスジャーナル No.12
大前研一ビジネスジャーナル No.12
21世紀の人材戦略
未読
大前研一ビジネスジャーナル No.12
出版社
出版日
2016年12月12日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

大前研一氏による経営者向けセミナーのエッセンスをお届けする大前研一ビジネスジャーナル。第12号となる今号のテーマは「21世紀の人材戦略」という、経営者だけでなく「ヒト」に関わるすべての職種の方が押さえておくべき内容となっている。

国内市場の縮小、破壊的イノベーションの登場、欧米や新興国企業との激しい競争。こうした環境下で企業が生き残るには、新しい価値を創出できる人材の確保と育成がますます肝要となる。ところが、日本の人事制度に目を向けると、一括採用といった旧態依然としたやり方が根強く残っており、世界の潮流から遅れをとっているのが現状だ。大前氏によると、一括採用は個々人を見ずに、学歴や学校の成績を見ることと同義であり、今や学校自体が21世紀に対応していないため、これらを採用基準にするのは愚の骨頂だという。また、必要な人材をすべて自社内のフルタイム雇用でそろえる「自前主義」からの脱却も急務だと警鐘を鳴らす。

今後は「クラウド」の力を借り、国内外の優秀な外的リソースを活用していくという発想が問われるという。では、クラウドコンピューティングやクラウドソーシングなどのサービスをどのように活用していけばいいのか。また、こうしたサービスを経営のさらなる加速に結びつけた先端事例は何なのか。本書はこうした問いに対する解を鮮やかに導き出してくれる。21世紀に求められる人材を確保し、育成するための確固たる羅針盤として、ぜひお読みいただきたい。

ライター画像
松尾美里

著者

大前 研一(おおまえ けんいち)
株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長/ビジネス・ブレークスルー大学学長
1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長及びビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。

本書の要点

  • 要点
    1
    21世紀の人材戦略においては、「世界最適化」を念頭に、「ヒト本位の経営」を行う必要がある。
  • 要点
    2
    今後は経営者自らが、経営戦略と人材戦略のマッチングを行わなければならない。人材を自前かつフルタイムの雇用でそろえる必要はない。クラウドソーシングを活用して最適な人材ポートフォリオの構成を考えることが重要だ。
  • 要点
    3
    経営を加速させるために、クラウドソーシング、クラウドファンディング、クラウドコンピューティングという3つのクラウドの活用が欠かせない。

要約

【必読ポイント!】 21世紀の人材戦略

経営者自らが「求める人材」を明確に描け

今後の日本企業は、新しい価値を創出するために、「個人の力」にフォーカスした「21世紀の人材戦略」を知り、「ヒト本位の経営」を実践していくことがこれまで以上に重要となる。

ボーダレス化が進展する21世紀において、企業が利益を出し続けるには「世界最適化」がキーワードとなる。世界最適化とは、世界で最も良質・安価な材料を調達し、世界で最もスキルがあり、コストの安いところで生産し、世界で最も高く売れるマーケットで販売するという仕組みを指す。この仕組みの中で最適解を導くには、柔軟な人材のマネジメントがキーとなる。

そこで、経営者は経営戦略と人材戦略のマッチングを担う必要がある。まずは今後の会社のあるべき姿や自社のコアスキルを考え、その戦略を実現するうえで必要な人材像やスペックを決める。ここを人事部に任せっきりではいけない。ポイントは、社員全員を入れ替えるくらいにゼロベースで考え、自社のスペックに合った人を国内外から発掘していくことだ。

さらには、トップダウンの人事によって、尖った人材に活躍の場を早く与えながら、それ以外の人の妬みを生まないようなシステムを築くことが求められる。

これから求められる3つの人材
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

21世紀に求められるのは、世界の市場で戦える「グローバル人材」、0から1の発想ができ、人とは違った行動ができる「イノベーター」、そして自ら方向性を示していける「リーダー(経営者)」の3つである。

企業の中でも、将来のリーダーを発掘するうえでお手本となるのがGEである。GEではCEOのジェフリー・イメルトが200人の将来のリーダー候補生と一対一で食事をし、じっくり話をするという。こうして各人の特徴を、「この人は立て直しに強そう」などと自分の頭のデータベースに蓄積し、最後には5名くらいに候補を絞りこんでいく。この事例から、リーダーの選定にトップが相当な時間を使わなければならないことがわかる。

世界のトップ人材を採用するために

現在世界のトップ人材を最も多く輩出しているのはインドである。フォーチュン誌が発表する全米上位500社のうち300社以上に、インド人が副社長以上のポストで在職しているという。中でも突出した理系エリート輩出校として知られているのが、インド工科大学(IIT)だ。世界の大手IT企業から高額オファーが学生に殺到し、成績上位層の初任給は2000万円程度にまで及ぶ。

日本企業で唯一そのIITの学生を採用できたのは、シスメックスという神戸の医療機器メーカーである。

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要約公開日 2017.05.25
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