起業家のように考える。

ゼロからはじめるビジネス成功の方程式
未読
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出版社
プレジデント社

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出版日
2016年12月23日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「今の若者たちの武器は、火炎瓶でなくビジネスだ」――それが18人の起業家たちとの対談を終えた田原総一朗氏の実感だった。

全共闘になじみのある世代にとって、「火炎瓶」は暴力によって社会を良くしようとする若者たちの象徴だったように思う。一方、今の若者たちは「草食系」などと呼ばれており、大人しい印象が強い。

だが、実際に取材した田原氏の印象はそれとは真逆だった。田原氏が「したたかさ」と表現する若者たちの活躍と野心を見れば、社会の潮目が変わりつつあることをあなたも予感するに違いない。

現代の若者をとりまく大きな変化は次の2つだ。ひとつは、金儲けよりも「世の中を良くしたい」という気運が高まっていること。それは2011年に起きた東日本大震災の影響も大きい。もうひとつは、若者たちの起業意識の高まりだ。すでに若い世代にとって、起業は十分に社会経験を積んでからするものではなくなっているのである。

最後に、本書に登場する起業家たちの多くが、手痛い失敗を経験していることも付け加えておきたい。彼らは苦境にくじけることなく、自らのビジョンを実現するために日々奮闘している。こうした起業家たちの息吹に触れた読者は、そのたくましさに勇気づけられることだろう。

本書が描くのは、起業家たちの人生そのものだ。彼らはいまだ道半ばであり、夢の続きを追いかけている。ビジネスを武器に戦う若者たちが、これからどこに向かうのか、本書を片手に思いを巡らせてみてはいかがだろうか。

著者

田原 総一朗 (たはら そういちろう)
1934年滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所に入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年フリーに。テレビ、ラジオ、雑誌、ネットなど幅広いメディアで活躍。2002年4月より早稲田大学特任教授として大学院で講義するほか、次世代リーダーを養成する「大隈塾」の塾頭も務める。著書に『起業のリアル』(プレジデント社)、『「稼ぎ方」の教科書』(実業教育出版)、『大宰相 田中角栄』(講談社+α文庫)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    スマートニュースは、「独自のコンテンツはつくらない」ことをポリシーとしている。そうすることが、業界全体の活性化につながると信じているからだ。
  • 要点
    2
    ドワンゴで失脚していたからこそ、川上量生氏は自由に動くことができ、それが着メロやニコニコ動画といったヒットサービスにつながった。
  • 要点
    3
    「クラウドソーシングは21世紀の個人の信用のインフラになる」というのが、クラウドワークスを興した吉田浩一郎氏の考えだ。
  • 要点
    4
    弁護士ドットコムの売上げが軌道に乗ってきた今でも、自分自身が最前線にいるべきだと考え、元榮太一郎氏は法律事務所の経営を続けている。

要約

どうやって、思いついたの?(スマートニュース・鈴木健)

イエモンの『JAM』を聴いて世界進出

「外国で飛行機が落ちました。ニュースキャスターは嬉しそうに『乗客に日本人はいませんでした』」。

気鋭の研究者だった鈴木健氏が起業したのは、ザ・イエロー・モンキーの「JAM」という曲を聴いたことがきっかけだった。既存のメディアが、日本人に向けてのみ発信されている状況への疑問。そういった内容の歌詞に共感したのだという。

国家単位のニュースから、国民国家を前提としないニュースを発信してみたい。その思いが結実したのが、2012年に配信を始めたニュースアプリSmartNews(スマートニュースだった。

ヤフーニュースとの違い
Prykhodov/iStock/Thinkstock

配信翌日、ノンプロモーションにもかかわらず、スマートニュースはAppStoreで4位に躍りでた。

スマートニュースとそれまでのニュースアプリの、どこが違っていたのか。ひとつは使いやすさだ。たとえば、ヤフーのニュースはヘッドラインが並ぶだけだが、スマートニュースの場合、新聞のように写真がついていて、記事の大きさもまちまちになっている。しかも、地下鉄など電波状況が悪いところでも、1回アプリを起動すればそのまま読みつづけることができる。

もうひとつは、記事のセレクション方法である。ヤフーは25人程度の編集チームで、載せる記事をチョイスしている。一方、スマートニュースは数百万人のユーザーの意思を、人工知能で集約して記事を選んでいる。タップされる回数や離脱率などを考慮して、1日1000万件の記事から1000本くらいに絞っているのだ。

必要なのはリアルなコミュニケーション

「独自のコンテンツはつくらない」――それが鈴木氏の考えである。いい記事をつくってくれる組織をサポートしたほうが、業界全体にとってプラスになる。だからこそ、自社で取材するつもりはない。新聞の部数が下がるなど、メディア全体が沈んでいく状況のなかで、既存のメディアにお金を還流させる仕組みをつくっていくのが鈴木氏の狙いである。

そんな鈴木氏がスマートニュースの次に狙っているのが、「都市のデザイン」だ。インターネットが発達した今、どこにいても同じという考え方もあるだろう。しかし、クリエーティビティは、人が顔と顔を合わせたときに生まれるものである。

どこにいても情報を得られるようになった今だからこそ、逆にリアルなコミュニケーションの価値が高まっている。その結果、都市の力もますます強くなっていくというわけである。

どうやって、優秀な人を集めたの?(ドワンゴ・川上量生)

「ニコ動」が終わってしまうと思った
maroke/iStock/Thinkstock

「僕の仕事のスタイルはサラリーマンです」と言いきるのは、ドワンゴの川上量生氏だ。着メロとニコニコ動画(「ニコ動」)で大きくなったドワンゴだが、どちらも会社を潰さないために必要に迫られてやっただけ、と川上氏はあっけらかんとした様子で語る。

だが、「ニコ動はテレビ局を意識してしているのか」という問いに対しては、「従来のメディアと同じことをやるなら必要ない」と野心を見せる。

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要約公開日 2017.05.28
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