著者、青木氏の生い立ちはなかなか過酷なものであった。両親の離婚後、義理の母親と折り合いがつかず祖父の家に預けられた。しかしそこでも落ち着くことができず、十七歳で家を飛び出した。函館で生まれ育った青木氏は一人で東京に向かい、知り合いのつてをたどって、鉄工所で働くこととなる。
そんなある日、汗まみれで働いていたところ、実母が4カ月もの間、探し回って彼を見つけ出してくれた。そこで青木氏はようやく愛や希望の光を見いだしたという。その後実母と暮らし始め、紆余曲折を経て、プロの営業の世界へ飛び込んだ。
青木氏は一番の営業マンになるために歯を食いしばって頑張った。しかし、トップセールスの座を射止め、収入も増えたものの、心は満たされなかった。そしてあるきっかけにより、お金は人生の目的ではなく、人は愛によってのみ幸せになれるという人生の気づきを得た。
目の前にあることを一生懸命やり、人の役に立つことで、大きな喜びを得られる。人は強く、正しく、やさしくなければならないし、成功し、幸福になって支えてくれた人たちに恩返しをすることが重要だ。こうした理想を実現するために最も有効なのが、選択理論の考え方であると著者は学んだ。
目先の目標に振り回されて、人生の大きな目的を見失うことがある。しかし、ほんとうの目的を見据え、自分の生き方を修正することができれば目標を見失わなくなる。道を見失わないようにするうえで効果的なのは、セルフカウンセリングだ。
セルフカウンセリングは、願望を明確にする、時間やお金の使い方をチェックする、客観的な視点で自分の行動を自己評価する、改善計画とその実践というプロセスから成り立つ。
では目的と目標の違いは何か。目的はほとんど変化しないのに対し、目標はそれを達成するたびに変わっていくものである。目的を目標に据えると、達成するたびに燃えつきてしまう恐れがあると肝に銘じ、人生の目的を明確にしておきたい。
選択理論とはアメリカの精神科医、グラッサー博士が提唱したものである。「人間は外からの刺激によっては動かない。人間の遺伝子に組み込まれた基本的欲求を満たすために動く」という考え方だ。基本的欲求とは、「生存」「愛と所属」「力」「自由」「楽しみ」という五つの欲求を指す。これらを満たすことができれば幸せな人生が送れる。
幸福な人生を手に入れたいのなら、自分が快適、幸せだと感じられる行動を選択し、欲求を充足させればいい。幸せになるのも不幸になるのも自分次第なのだ。選択の責任は外部環境にあるのではなく、思考と行為を選択した自分自身にある。
欲求と行動に乖離があると、人は不調をきたす。幸福な人生を送るためには、自分にとっても周囲の人にとっても満足のいく効果的な満たし方を選択しつづけなければならない。ここで五つの欲求を詳しく紹介する。
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