努力をすれば、脳はいくつになっても成長を続ける――まず、この事実を認識することが重要だ。そう信じることが、実際の成長につながるからである。
脳は人間の臓器のなかで最も寿命が長い。正しく鍛えれば、100歳まで成長しつづける。それにもかかわらず、私たちは偏見や思いこみから、その可能性の芽を摘んでしまっている。非常に残念なことではあるが、大切なのはこの瞬間から改善していくことだ。今まであまり使われていなかった脳の部分を積極的に使っていこう。そうすれば、脳の個性は輝いていく。
脳の個性が確立される転換期は50歳頃だ。この50歳という年齢は、脳が緩やかに老化を始める年齢であると同時に、脳の成長と個性が一番増す年齢でもある。これ以降は、これまで培った情報や知識、経験を生かすというステージに突入していく。
今日までの研究によると、認知症はあらゆる人に起こりうる病であることがわかっている。不健康な食生活、運動不足、過度な飲酒、睡眠不足を抱えている人ほど、認知症になりやすい。
認知症にならないためには、まずは生活習慣を見直すことが必要だ。これが基本中の基本となる。くわえて、脳に最高の栄養素をできるかぎり多く与えつづけることも必須である。その栄養素の代表例が「前向きな考え」である。新しいことや苦手なことに挑戦すると、脳のなかで新たな分野が開拓されていく。何事にも好奇心をもって挑戦することが、脳の成長につながるのである。
その人だけがもつ個性的な脳を育てていくうえでは、「脳番地」という概念を理解することが欠かせない。
脳番地とは、機能ごとに脳全体を分けた際の区分のことであり、大きく8つの系統(思考系、感情系、伝達系、運動系、理解系、聴覚系、視覚系、記憶系)に分かれている。普段からどの系統の脳番地を使っているか意識して行動してみよう。あまり使われていない脳番地が開拓されていくはずだ。
脳の老化は誰にとっても避けて通れない道だ。しかし、脳番地同士の連携を強化すれば、脳の機能は強化できる。なかでも、感情系は生きているかぎり成長を続けることで知られている。努力次第で脳の健康を保つことはもちろん、向上させることも可能なのだ。
そのためには脳番地という概念を認識し、8つの系統のなかから、自分の得意な脳番地をどんどん強化していくことが重要である。いわば「脳番地貯金」だ。
脳番地貯金をするうえでは、自分の好きなことをするのがポイントとなる。好きなことをすると、それに対応した脳番地が大きく育つだけでなく、他の脳番地とのネットワークも強化されていく。たとえば、音楽を聴いて楽しい気分になると、脳番地では聴覚系と感情系のネットワークが強化されることになるのだ。
このように他系統とつながろうとする脳の特徴を活かし、より強く個性的な脳にしあげていくべきである。
アイディアを生みだすには常に変化を求め、脳を活性化することが欠かせない。
「脳慣れ」という事象がある。
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