これだけは知っておきたい「プレゼンテーション」の基本と常識【改訂新版】

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出版社
フォレスト出版
出版日
2017年03月19日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「プレゼンテーション」というと、ビジネスの現場でのスピーチや、パワーポイントなどのツールを使った提案を思い浮かべるかもしれないが、本書では「プレゼンテーション」を「目的をもって相手に働きかけること」と位置づける。

プレゼンテーションに対して、ほとんどの人が苦手意識を持っているのではないだろうか。仕事での評価を大きく左右する社内・社外での提案、企画コンテストなどの結果を大きく左右するスキルであるため、その苦手意識を克服したいビジネスパーソンは多い。プレゼンテーションに関連する本は書店に多く並んでいるが、現在の自分のレベルに合わせた本を選ぶことが案外難しい。本書はそのタイトルの通り、プレゼンテーションの基本を学ぶ際に適している一冊と言えるだろう。本書で書かれていることは、プレゼンテーションではどのようなスキルが必要なのか、プレゼンテーションでの第一印象をよくするためには何に注意すべきか、1対1の場合と多くの聴衆がいる場合にどのような違いを意識するべきかなど、まさに基本を学びたい読者に適した構成となっている。

ビジネスの現場でどのような提案を行うにせよ、伝えたい資料自体の質の高さを担保することが前提になるとはいえ、提案の結果を大きく左右するのは何が相手に伝わったかである。本書をSTEP1から読み進めることで、基本を押さえた上で、実践の際の実用的なテクニックを身につけることができる。プレゼンテーションを成功に導く要点が簡潔にまとめられており、短い時間でプレゼンテーションのコツを理解したい人にお勧めの一冊である。

ライター画像
河原レイカ

著者

株式会社 ザ・アール
1982年設立の人材総合プロデュース会社。
Revolution Recruit Renaissance をコンセプトに「仕事を通じて社会変革・貢献をしていく」を企業理念としている。人材の最大活用、人の自立・働きがいのプロデュースをテーマに掲げ、教育・人材派遣・調査・コンサルティング等を組み合わせ、「人材総合プロデュース」「HR(Human Resources)ソリューション」「CS プロデュース」を提供している。

本書の要点

  • 要点
    1
    プレゼンテーションは、目的を持って相手に働きかけることである。
  • 要点
    2
    プレゼンテーションの成功のためには、内容、伝え方、人柄の全てが必要である。
  • 要点
    3
    プレゼンテーションの第一印象は、見た目と声で決まる。
  • 要点
    4
    1対1のプレゼンテーションは、内容を絞ることが重要である。
  • 要点
    5
    多数の人を相手にしたプレゼンテーションでは、目的と内容に合わせて話の流れを決めることが重要である。

要約

プレゼンテーションとは何か?

プレゼンテーションを成功させる3つの要素
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

「プレゼンテーション」とは、もともと広告業界でクライアントに説明する時に使われていた専門用語だが、現在は、学校教育やビジネスの様々な場面で使われている。著者によると、「プレゼンテーション」は「一定の目的を達成するために行う自己表現」であり、「相手を説得して目的の言動を引き出すこと」である。

プレゼンテーションを成功させる3要素は、①Program(プログラム=内容)、②Presentation Skill(プレゼンテーションスキル=伝え方)、③Personality(パーソナリティ=人柄)である。プログラムは、目的や対象、時間などの条件を踏まえて、内容や構成を組み立てることである。伝え方は、聞き手の興味を惹き、しっかり理解してもらい、さらに行動に移してもらえるように、プレゼンテーションの内容を伝える技術である。また、人柄は誰が話すかを指す。話す人の印象は、プレゼンテーションの結果に大きな影響を与えるのだ。

多数の人を相手にするプレゼンテーションでは、これらの3要素に加えて、Preparation(プレパレーション=事前の準備・リハーサル)と、日頃のPractice(プラクティス=訓練)が必要になる。

自分の癖をつかむことが重要

プレゼンテーションスキルの改善や強化のためには、まず、自分の癖や傾向をつかむことが重要である。本書では、「理性―感性」の軸と、「言語量 多―少」の2軸で作成したマトリクスを使い、個人のプレゼンテーションの傾向を、「感性が豊かで、言語量が豊富なタイプ」「感性が豊かで、言語量が少ないタイプ」「理性的で、言語量が少ないタイプ」「理性的で、言語量が豊富なタイプ」の4タイプに整理している。

「感性が豊かで、言語量が豊富なタイプ」は、プレゼンテーションの傾向として、明るくノリがよい、話が冗長、だらだら思いつきで話すなどが挙げられる。このため、プレゼンテーションの構成を綿密につくることや、話の目的や着地点を常に意識すると良い。

「感性が豊かで、言語量が少ないタイプ」は、感覚的に物事をとらえがちで、考えや思いを言語化できない傾向にある。このため、相手にうまく説明できなかったり、話のつながりが不明になったりする。改善策として、具体例やデータを使って根拠を明確にすることや、順序を追って話すことを心掛けるべきだ。

「理性的で、言語量が少ないタイプ」は、合理的に判断し、必要なこと以外は発信しない傾向にある。プレゼンテーションでは無駄を省き、簡潔な説明をする傾向にあるものの、事務的で遊びがなく、無味乾燥なものになりやすい。このため、自分の経験をエピソードや具体例にして盛り込むことや、表情や声が暗くならないように心掛けるとよい。

「理性的で、言語量が豊富なタイプ」は、論理的に考え、メッセージを伝えるために言葉を惜しまない。プレゼンテーションは理路整然としており、丁寧で分かりやすいが、押し付けがましくなり、情報過多になることもある。改善策としては、相手のレベルにあわせて、必要に応じて情報量を加減することや、早口にならないように注意することが挙げられる。

プレゼンテーションの基本スキル

第一印象は、見た目と声で決まる
iLexx/iStock/Thinkstock

アメリカの心理学者アルバート・メンラビアンによると、人の判断に影響を与えるのは、「外見などの視覚情報」が55%、「声や話し方などの聴覚情報」が38%、「話す言葉や内容などの言語情報」が7%だという。つまり、第一印象は、見た目と声で決まる。

個人が意識して改善できる見た目(外見)は、身だしなみである。身だしなみは、清潔感や品格があり、控えめにすることがポイントだ。クライアントの業界や業種によって評価される服装は異なるため、色合いは十分に検討して選ぶ。例えば、金融業界では落ち着いた色合いが好まれるが、広告やファッション業界はセンスが問われる仕事のため、地味な色合いでは評価が今ひとつになる可能性がある。

顔の表情も、見た目の重要な要素だ。

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要約公開日 2017.05.16
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