UAEの中核都市ドバイは、アフリカへの航空ハブであり、ペルシャ湾岸最大の海上輸送ハブでもある。将来性の高い中東やアフリカという広大な商圏を擁しており、欧米のビジネスパーソンや資本家が、近年UAEに続々と上陸している。
また、UAEには世界一が目白押しだ。世界一高いビル、世界一大きいモール、世界一長い自動制御鉄道等々。それにもかかわらず、UAEの人口は1000万人程度しかいない。そのなかでUAEの国籍をもつ人は100万人程度だけだ。残りの9割は外国人なのである。
居住者の9割が外国人なのは、UAEが外国人に対して居住と就労を早くから認めており、所得税もないからだ。加えて、住居、教育、娯楽、医療、スポーツなど、先進国と変わらない生活環境が整っており、治安も良い。だからこそ、世界中から求職者が殺到している。
さらに、UAEはイスラム教の国だが、イスラム教でない人に戒律を押しつけることはない。街中でお酒も飲めるし、酒屋もある。特筆すべきは、治安の良さと街中の清潔さだ。夜間でも不安なく通りを歩け、衛生面でも群を抜いている。
これらに加えて、自国民(UAE人)に対しては羨ましい限りの社会保障がある。教育や医療は無償だし、電気ガス水道などの公共料金も無料。しかも結婚すれば住宅資金も供与される。
UAE人は、何千年もの昔からアラビア半島で暮らしてきた遊牧民(ベドウィン)が出自で、その「砂漠の民」としての伝統と文化を今でも受け継いでいる。
厳しい自然環境下にある砂漠で、生存と繁栄を維持するためには、有能な指導者の果敢な決断が不可欠だった。そのため、指導者は一族の面倒を最後までみる必要があり、人心掌握のために人情の機微に通じて現実主義的思考が求められた。このためUAE人は、実際的で人知主義であり、人情に厚く、指導者に従順と言われている。また、義理人情を大事にする一方で、計画性には乏しいが、現場力は高い。そのため、最終的にはなんとか解決にこぎつけることができる。
ベドウィン文化を象徴するのが、「住所がない」ことだ。これは、砂漠を移動する生活のベドウィンに、住所は不要だったためである。郵便は私書箱、場所の特定は口コミで済ませているという。
UAE人は例外なく、女性は全身黒ずくめの伝統衣装アバヤ、男性は白いカンドーラで外出する。伝統的価値観を持っている女性が大半だが、今や大学生の7割は女性が占めている。近年はアラブ世界を代表する有能な女性リーダーを輩出し、大臣や国会議員をも務めているなど、女性が輝いている国のひとつでもある。
国民の大半がイスラム教徒であるUAEでは、行動規範として「コラーン」(コーラン)を受け入れている。お祈りの時間になると、礼拝への呼びかけが街中のスピーカーから流されるようになっている。
ラマダン月の日中の間は、食べ物はもちろん水さえ口にしない。勤務時間も短縮される。外国人の場合は強制されないが、公衆の面前で食事や水を飲むのを差し控えることになる。
断食明けの夕べになると、大勢でパーティーを催すことが多い。これはUAE人の社交の原点ともなっている。こうしたパーティーでは、食べきれない程の大量の食べ物がズラリと並ぶ。しかしパーティーの主催者が食事を終えると、その他の人々は途中であっても食事を終わりにしなければならない。そのため、膨大な量の食べ残しが発生する。だが心配はいらない。
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