ビジネスパーソンは年間150時間近くを「探し物」に使っているといわれている。つまり、探し物をやめられれば、1カ月近くの業務時間を捻出できるということだ。
探し物が多い人の共通点は、机上のモノの配置が決まっておらず、不必要なモノが多いことである。この点を改善すれば、探し物は驚くほど減り、膨大な時間を生み出せる。
机上のモノを(1)よく使うモノ、(2)たまに使うモノ、(3)使うかもしれないモノに分け、(1)よく使うモノだけを机上に置こう。メモ帳やペン類は右側に、マグカップなどは左側に配置する(右利きの場合)。こうすることで、飲み物を不注意で倒してしまう可能性が減る。
めざすべきは、今やっている仕事に必要なモノのみが机上に置いてある環境である。最近はリモートワークも一般的になってきているが、いつでもどこでも同じ環境を維持するという意識が大切である。
机上のモノの中で探しづらいもの、それが書類である。忙しくなると、いつの間にか書類は山積みになってしまう。
しかし、(A)書類はすべて立てる、(B)3つのレーンに分けて保管する、という2つのルールにしたがって管理すれば、どんな忙しいときでも散らからないようになる。
(A)書類はすべて立てる理由は、書類を寝かせて置いた場合、2番目以降の書類にアクセスできなくなるためだ。ゆえに、ブックエンドなどを使用して管理することは鉄則である。
(B)3つのレーンに分けるとは、読もうと思っているものをまとめる「リーディングレーン」、優先的に処理すべき案件を置く「ファストパスレーン」、進行中のプロジェクトに関する書類を入れる「プロジェクトレーン」に分けることを指す。それぞれの置き場所はディスプレイの右横がいいだろう。この3つに入らない書類は、その場で廃棄してしまう。このように書類の優先度を「見える化」して整理すれば、探し物にかかる時間を驚くほど削減できる。
引き出しも机上と同様、収納するモノを決めるべきだ。
最も標準的な3段の引き出しがついている机の場合、一番下の引き出しにはボックスファイルをいくつか置こう。ここは前述の(2)「たまに使うモノ」に分類された書類を保管するのに適している。
その際、一度閲覧した書類は元の場所ではなく手前にしまうルールをつくっておくと、使っている書類が徐々に手前に移動するため、使わない書類が奥のほうにいくようになる。引き出しがいっぱいになったら、奥にある書類は廃棄しよう。毎日少しずつ捨てる習慣をつけることも重要だ。
また、2段目の引き出しには予備の名刺、充電器、お菓子などを、1段目の引き出しにはたまに使う文房具などを収納するといい。
タスクには「オープンタスク」と「クローズドタスク」の2種類がある。
オープンタスクとは、やるべき項目が決まっておらず、この先もどんどん増える可能性のあるタスクのことだ。一方、クローズドタスクとは、やるべき項目の数が決まっているタスクを指している。クローズドタスクの場合、タスクの終わりが決まっているため、「終わらない」ということはありえない。よって、日々の仕事をクローズドタスク化すれば、あなたの仕事は終わるようになる。
クローズドタスク化する効果的な方法は、やるべきことを細分化し、手順をフォーマットにまとめることだ。フォーマット通りに仕事を進めていけば、仕事が終わるようにするのである。
とはいえ、新しく取りかかる仕事はすべてオープンタスクだ。オープンタスクに取り組む際は、かならず作業手順やポイントをメモしよう。そしてフォーマットやリストをつくる。そうすることで、次回以降はクローズドタスクにすることができる。
IN(入ってくる仕事)とOUT(処理した仕事)の量が釣り合っていれば、「仕事が終わらず帰れない」ということはなくなる。しかし、自分で仕事の量をコントロールするのは簡単なことではない。
そんなときに大切なのが、時間を区切って仕事をすることだ。たとえば、「今から10分間でできるかぎりのメールを返信する」、「会議と会議のあいだの15分でできるところまでの請求書をつくる」など、タイマーで時間を計りながら作業してみることで、どの仕事にどれくらいの時間がかかるかを把握してみよう。
1日の仕事をすべて計っていくと、1カ月で処理できる量なども見積もれるようになり、仕事の計画を立てやすくなるはずだ。
面倒くさがって翌日に先延ばしする悪習をなくすためには、「モーニングリスト」をつくるべきだ。モーニングリストとは、出社後10分間でやるべきことをまとめたものである。
モーニングリスト作成のポイントは、自分のやりたいことと面倒な作業を一緒にすることだ。すると、面倒な作業も無理なく習慣化されるはずである。
モーニングリストをつくるうえでは、10分という時間を意識するために、かならずタイマーをセットするところから始めよう。この時間は、コーヒーを淹れる、体重を測る、名刺を整理するなど、何をやってもよい。これをすることで、面倒な単純作業が毎日確実にこなせるようになる。
「あの資料、パソコンのどこにしまったっけ?」と悩むことが多い人は、ファイルを階層構造で整理するのではなく、「使用頻度」で整理したほうがいい。守るべきルールは、よく使うファイルは浅い階層に起き、使わなくなったら深い層に移動する、これだけだ。
机上の整理と同じように、「よく使うもの」と「あまり使わないもの」を分けて管理する。一見とてもシンプルなルールだが、仕事の効率はこれだけで驚くほど上がる。
使用頻度を基準に整理をしても、パソコンは少しずつ散らかっていく。そこで、「ゴミの日」を決めておく。すると、すっきりした状態を保てるようになる。
たとえば、ショートカットや仮置きしたファイルは「ゴミ」になりがちだ。毎朝仕事にとりかかる前に、「2017年○○月○○日デスクトップ」というフォルダをつくり、そこに前日につくったが今日は使わない「ゴミ」を入れ、フォルダごと下の階層に移動させよう。
最後に、毎日つくるフォルダを月1回削除するようにすれば、常にクリーンで動作が軽い状態をキープできるだろう。
仕事をより速く進め、よりよいクオリティに仕上げるための大切な要素のひとつに「気持ち」がある。気持ちの整理がついていないと、仕事のクオリティに大きな影響が出てしまうものだ。
気持ちの整理をつけるうえで効果的なのが、人間関係の整理である。こう書くとドライで冷たいように映るかもしれない。しかし、本当に整理するべき対象は、まわりの人ではなく自分自身の心だ。どうしてその人に嫌悪感を抱くのか客観視すれば原因がわかり、その人に対する自分の気持ちを整理するための糸口が見えてくる。相手は変えられないが、自分の気持ちを変えることはできる。
人間関係の整理とは、自分にとって心地よい場所をつくる行為なのだ。
フェイスブックは便利だが、「友だち」の数が増えてくると、誰が誰だがわからなくなることがある。フェイスブック経由で仕事の依頼を受けたとき、「この人誰だっけ?」と考えるのは、時間があまりにもったいない。
こうした無駄を解消するには、その人と「友だち」になったとき、かならずメッセージを送信するというルールをつくっておくといいだろう。出会った場所やその人に関連するキーワードを入れてメッセージを送るようにすれば、あとから思い出しやすくなるはずだ。
また、実際に会った人としか「友だち」にならない、ネガティブな投稿や他人の批判をする人の投稿などは「非表示」にするなど、マイルールを決めておく。そうすれば、気持ちを乱すことなく、快適に仕事ができるようになる。
不必要な人間関係をやんわりと断ち切るには、「時間を離す(先延ばし)」ことと「距離を離す」ことの2つが有効だ。
気の進まない飲み会なら忙しい事情を説明し、「数カ月先にまたご連絡ください」と伝える。これで実際に数カ月後に連絡がくることはまれである。もしきちんと連絡がきたらそれだけ真剣ということなので、参加してみるのも悪くないだろう。
それでも断れない時は、自分が話をしたいと思っている人を追加したり、少し早めにお店に入って自分で席順を決めてしまったりするといいだろう。自分にとって心地よい空間になるよう、小さな工夫を積み重ねることが、人間関係のストレスを緩和するためのコツである。
プロジェクトのスケジュール、関係者の名前と連絡先、データファイルのフォルダの場所などは、「仕事の一覧表」をつくって整理しよう。こうするだけで、相手の会社名や名前を忘れて頭がフリーズすることがなくなり、無駄な時間を減らすことにつながる。
やり方は簡単だ。まずプロジェクト名をつけたテキストファイルをつくる。そしてプロジェクト関係者の情報やスケジュールなどを入力する。これだけである。その際、1から入力するのではなく、メールでやりとりした署名欄をコピペすれば、無駄な時間をかけずにすむ。これをプロジェクトごとに作成しておくと本当に便利だ。
ある程度資料がまとまったら、サイズを縮小してプリントアウトし、ノートなどに貼っておく。すると、わざわざパソコンを立ち上げなくても閲覧できるようになる。
ウェブサイトで見た情報を保存しておくときによく使われるのが、「お気に入り」へのブックマークだ。だが、これだと整理するのが面倒である。
そんなとき、エバーノートの「ウェブクリッパー」という機能が大変便利である。ウェブブラウザの拡張機能としても追加できるため、必要な情報がボタンひとつで保存できる。また、キーワード検索に対応しているので、必要になったとき、すぐにその情報にたどり着けるという利点もある。
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