コンサルタントの現場スキルで最も大切なものは何かという質問があれば、私は迷うことなく「質問力だ」と答える。なぜなら、質問力には多くのマインド&スキルが組み込まれているからだ。論理的思考力に始まり、戦略的思考、市場環境知識など、多くの要素が凝縮されている。
質問力がある人は、間違いなく仕事がデキる。言い方を変えれば、質問力を磨けば仕事ができるようになる。質問力はすべてのビジネスパーソンに求められる重要な能力なのだ。すぐれた質問力を持つ人は、具体的に次の6つの資質を持っている。
私が以前あるプロジェクトで営業マンのヒアリングを行ったとき、「トップ営業マンは話がうまいから功績を収めているわけではないのだな」と感じたことがある。彼らは口数が総じて少ない。だいたい、七対三程度の比率で顧客に話させている。これが営業成績の悪い人は全くの逆であった。
人は、自分の話を真剣に聞いてくれる相手に好意を抱くものである。適度なうなずきと短い質問をするだけで十分だ。こういうととても簡単に聞こえるが、そうではない。相手の話をきちんと聞いていないと、適切なタイミングでうなずいたり、質問したりはできない。
鋭い質問や深い質問は、「おっ、彼はモノを見る力がある人間だな」というちょっとした感動を相手にもたらす。逆に凡庸な質問は、「なんだ、この程度か」という失望を相手に与える。当然、感動させる質問ができれば、相手は「いろいろ話してしまおうか」という気持ちになるし、通り一遍の質問しかできなければ、相手は適当に答えて早めに面談を切り上げようとする。
私はジムに通っているのだが、このジムで月に一回程度、インボディという筋力測定を受けている。体脂肪率、筋肉量、水分量など、各部位ごとにデータ化して、被験者にグラフにして提示する。インストラクターはこの事実(ファクト)をもとにうまく全体→部分、部分→全体の組み合わせで私に質問し、自覚を促し、現実を納得させてくれる術を知っている。場数を踏んでいることがよく理解できる。
相手を嫌な気持ちにさせるのが、個人情報を探る質問である。しかし、高額な商品を販売しているような営業マンにとっては、顧客の年収や家族構成を把握するのは必須と言えよう。積極的に顧客のほうから情報を開示してもらい、一緒に購入までの可能性を検討する必要がある。
大事なのは、「つい顧客が口走ってしまう」状態を作ることだ。
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