コンサルタントの「質問力」

「できる人」の隠れたマインド&スキル
未読
コンサルタントの「質問力」
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「できる人」の隠れたマインド&スキル
未読
コンサルタントの「質問力」
出版社
PHP研究所
出版日
2008年03月19日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ビジネスパーソンが身につけるべきスキルの中で、もっとも重要なものはなんであろうか。

「論理的思考力」、「分析力」、「会計知識」、「リーダーシップ」、「語学力」といったように、スキルと名の付くものを挙げていけば、それこそ枚挙にいとまがないだろう。そうした中で、本書において著者が最も重要なスキルと語るのが、この「質問力」というものだ。

質問力は、業界知見のみならず、論理的思考力や、戦略的思考、インタビュー相手とのコミュニケーション能力など、あらゆるスキルが組み合わさった、ある種の総合格闘技のようなものである。

例を挙げよう。就職活動の面接において、最後に必ずと言っていいほど、「何か質問はございますか」という言葉を相手から投げかけられる。その瞬間に「良い質問」を投げかけることができるかどうかによって合否は大きく左右されるだろう。ほかにも、講演会などで、講演者への質問の時間というものが必ずと言っていいほど用意されているが、そこで気の利いた質問ができれば、会の後に講演者から話しかけられるなどのチャンスを得ることもあるかもしれない。

質問力というものは、初期的な仮説を持ちながらもコンテクストの中で柔軟にその内容を変えていくことが求められる、ある種職人芸のようなものだ。本書を読むことでそのスキルの全体像を理解し、訓練を積んでいただきたい。質問力を磨くためには、基礎的な理解に加え、圧倒的な経験が必要となるのだ。

著者

野口 吉昭
横浜国立大学工学部大学院工学研究科修了。現在、株式会社HRインスティテュート(HRInstitute)の代表。中京大学総合政策学部・経済学部講師。NPO法人「師範塾」副理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本書の要点

  • 要点
    1
    質問力は、論理的思考力、戦略的思考、市場環境知識など、複合的な要素が凝縮された重要なスキルである。
  • 要点
    2
    すぐれた質問力を持つ人は、聞く態度を身につけている、鋭い質問で相手を感動させる、事実を使って全体像を示す、相手を積極的に自己開示させる力を持っている、物語を聴く力を持っている、空気を読むのがうまい、といった6つの特徴を持っている。
  • 要点
    3
    質問力を磨くためには、「仮説力」、「本質力」、「シナリオ力」という三位一体の能力を鍛える必要がある。

要約

その道のプロは、「質問力が命」

今、なぜ質問力なのか

コンサルタントの現場スキルで最も大切なものは何かという質問があれば、私は迷うことなく「質問力だ」と答える。なぜなら、質問力には多くのマインド&スキルが組み込まれているからだ。論理的思考力に始まり、戦略的思考、市場環境知識など、多くの要素が凝縮されている。

質問力がある人は、間違いなく仕事がデキる。言い方を変えれば、質問力を磨けば仕事ができるようになる。質問力はすべてのビジネスパーソンに求められる重要な能力なのだ。すぐれた質問力を持つ人は、具体的に次の6つの資質を持っている。

Photodisc/Thinkstock
1. 聞く態度を身につけている

私が以前あるプロジェクトで営業マンのヒアリングを行ったとき、「トップ営業マンは話がうまいから功績を収めているわけではないのだな」と感じたことがある。彼らは口数が総じて少ない。だいたい、七対三程度の比率で顧客に話させている。これが営業成績の悪い人は全くの逆であった。

人は、自分の話を真剣に聞いてくれる相手に好意を抱くものである。適度なうなずきと短い質問をするだけで十分だ。こういうととても簡単に聞こえるが、そうではない。相手の話をきちんと聞いていないと、適切なタイミングでうなずいたり、質問したりはできない。

2. 鋭い質問で相手を感動させる

鋭い質問や深い質問は、「おっ、彼はモノを見る力がある人間だな」というちょっとした感動を相手にもたらす。逆に凡庸な質問は、「なんだ、この程度か」という失望を相手に与える。当然、感動させる質問ができれば、相手は「いろいろ話してしまおうか」という気持ちになるし、通り一遍の質問しかできなければ、相手は適当に答えて早めに面談を切り上げようとする。

3. 事実を使って全体像を示す

私はジムに通っているのだが、このジムで月に一回程度、インボディという筋力測定を受けている。体脂肪率、筋肉量、水分量など、各部位ごとにデータ化して、被験者にグラフにして提示する。インストラクターはこの事実(ファクト)をもとにうまく全体→部分、部分→全体の組み合わせで私に質問し、自覚を促し、現実を納得させてくれる術を知っている。場数を踏んでいることがよく理解できる。

iStockphoto/Thinkstock
4. 相手を積極的に自己開示させる力を持っている

相手を嫌な気持ちにさせるのが、個人情報を探る質問である。しかし、高額な商品を販売しているような営業マンにとっては、顧客の年収や家族構成を把握するのは必須と言えよう。積極的に顧客のほうから情報を開示してもらい、一緒に購入までの可能性を検討する必要がある。

大事なのは、「つい顧客が口走ってしまう」状態を作ることだ。

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要約公開日 2013.10.31
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