「営業コンサルティング」といった言葉など、近年様々なところで「コンサルティング」あるいは「コンサルタント」という言葉が使われているが、本書の取り扱う「経営コンサルタント」とは、「企業の様々な経営上の課題を明らかにし、解決するための助言を行う」職業である。著者はコンサルティングファームの機能・付加価値を大きく以下8つに分類している。
1.業務効率化を図れるプロフェッショナルアウトソーシング機能
2.ゼロベース思考で客観的な視点でビジネスを効率化する機能
3.PMOに代表されるプロジェクトマネジメント機能
4.ファシリテーション能力により、クライアントのノウハウを引き出す機能
5.経営戦略・業務改善の実行支援(アクションラーニング)によってクライアント自身の成長につなげる機能
6.世界各国の先進事例に基づくベストプラクティスの提供により、効果的な課題解決を促す機能
7.社内の反対派を説得するための意思決定の箔付け機能
8.第三者としての中立的な諌言機能
「ファーム」という名にもある通り、コンサルティング会社の組織形態は一般企業のそれとは少し異なる。最大の特徴は明確な所属部署がないことであろう。
プロジェクトを受注すると、その段階で社内から適切に人材を集めて、都度プロジェクトチームを組成する。会社によっても異なるが、一人が同時に複数のプロジェクトを担当することもある。コンサルティングファームの中で、コンサルタントの職位は上から順に「パートナー」「マネージャー」「コンサルタント」「アナリスト」の4つに分類されるのが一般的だ。
通常、新卒コンサルタントはアナリストの職位からスタートし、おもに情報収集・分析と資料作成を担当する。ミーティングの議事録作成や先輩コンサルタントに同伴してのインタビュー実施なども重要な業務のひとつである。アナリストは職位こそ低い立場であるが、常に現場で生の情報と格闘していることもあり、彼らの「ひらめき」はプロジェクトにおいて重要視されることも多い。一般的にアナリストは2~4年でコンサルタントへ昇進する。
コンサルタントは主に問題解決の手段を決めることが職務である。プロジェクト全体において、ある一定範囲の業務をまとめて担当し、仮説の構築・検証作業を進めていく。各種ディスカッションを通じて、仮説の軌道修正も行わなくてはならない。そのため、セルフマネジメント能力が求められる。個人差は大きいが、平均的には3~4年程度でコンサルタントからマネージャーへ昇進する。
マネージャーはプロジェクト全体に責任を持つ立場である。
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