特別講義 コンサルタントの整理術

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出版社
実業之日本社
出版日
2010年06月18日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

如何にして成果の上がる仕事に集中し、目覚ましい成果を上げることができるか。社会人として日々業務に携わっているなかで、明らかに無駄だと思うことや、心外だが言われたからにはやらざるを得ないこと、何故行わなければいけないのかもわからず作業をしていること等に直面した経験が誰にもあるだろう。しかし、そのような状況の多くは、本来自分で防ぐことができたはずのことである。

上記のような非効率な働き方から脱し、仕事を整然と出入りさせるガイドラインが、本書「コンサルタントの整理術」である。著者はボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュアで活躍してきた一流のビジネスパーソンだ。多くのプロフェッショナルファームでは、上司からの要望が過剰であることが常であり、そのため本書に示されているようなガイドラインを理解しているのかどうかは、まさに死活問題ともなり得る。上司から見て、ただの「便利屋」では評価されないのだ。これに対して、本書では「分ける」「減らす」「早めにやる」「習慣にする」の4つの行動指針で、その問題の解決策を提示する。

多くの多忙を極める社会人、とりわけプロフェッショナルファームに所属する方は、是非本書を一読し、より仕事の生産性を高めることにチャレンジされることを願う。

ライター画像
大賀康史

著者

三谷 宏治(みたに こうじ)
一九六四年大阪生れ、福井で育つ。永平寺町立吉野小学校、松岡中学校、藤島高校、駿台予備校を経て東京大学理科Ⅰ類へ。同 理学部物理学科卒業後、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、アクセンチュアで一九年半、経営コンサルタントとして働く。九二年 INSEAD MBA修了。二〇〇三年から〇六年 アクセンチュア 戦略グループ統括 エグゼクティブ・パートナー。二〇〇六年からは特に子どもたちを対象にした教育活動に専念。現在は大学教授、著述家、講義・講演者として全国をとびまわる。妻、3人娘と東京・世田谷区在住。K.I.T.虎ノ門大学院 主任教授、早稲田大学ビジネススクール 客員教授、グロービス経営大学院 客員教授。放課後NPO アフタースクール 理事、NPO法人 3keys理事。永平寺ふるさと大使。
著書に、『CRM~顧客はそこにいる』(共著)『観想力~空気はなぜ透明か』(東洋経済新報社)、『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)、『ハカる考動学』『超図解 全思考法カタログ』『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    各々のシゴトには〆切(目的地)があるものだが、期限通り完了させるための方策として、「分ける」「減らす」「早めにやる」「習慣にする」が重要である。
  • 要点
    2
    「分ける」とは、①「こだわるもの」と「こだわらないもの」に分ける、②決め方を決め、分ける、③コミュニケーションルートを分ける、の3つである。
  • 要点
    3
    「減らす」とは、①シゴトを打ち返す、②みんなが困るまで待つ、③メールなどの使い方に注意する、の3つである。
  • 要点
    4
    「早めにやる」とは、①気分に合わせて仕事をする、②ムリそうなものを把握する、③答えのカケラを納得いくまで探す、④1日の余裕を持つ、の4つである。
  • 要点
    5
    「習慣にする」とは、①身につけやすいものから手をつける、②その習慣に「入りやすく」「出にくく」する、③習慣化ツールを使う、の3つである。

要約

シゴトの渋滞を防ぐ4つの方策

「分ける」「減らす」「早めにやる」「習慣にする」

イメージしてほしい。仕事が、「車」となって高速道路を流れていく姿を。各々のシゴトには〆切(目的地)があるが、万一完了しなければ、リスケとなる。

先に目をやると、なにやら渋滞が発生中。期末でもあるのでシゴトの〆切が集中して、いつもああだ。速度が一〇分の一になっても車両間隔まで一〇分の一にはならないので、流れる量は半分ほどになる。

仕事を渋滞させないための方策は、次の4つにたどり着く。「分ける」「減らす」「早めにやる」「習慣にする」この4つで、シゴトを整理することだ。人生の渋滞から抜け出そう。

【必読ポイント!】 「分ける」とは?

Allan Danahar/Digital Vision/Thinkstock
「こだわるもの」と「こだわらないもの」に分ける

友人が「昼飯を食おう」と言った。「なに食べようか」と私。でも彼は「なんでもいい」と。「おいっ、なんでもいいは無いだろう。なんか意見を言うべきだ」でも彼は涼しい顔で言う。「いや、本当になんでもいいんだ。オレはこだわることと、そうでないことを決めている。食事はこだわらない。だからおまえの好きにしていい」

すべてのことに対して、対応の仕方を決めること。それが「分ける」だ。すると、「悩む」ことは劇的に減り、時間の無駄が無くなる。

一人で考えること自体は良い。でも、悩んだら負けである。悩んでいると、ヒトは深く考えているつもりになるが、実は全く進んでいない。だから、まず自分の「悩み」状態を自覚することが、整理への偉大な一歩なのだ。

シゴトをこだわりレベルに分けた後、レベル毎に対応行動に差をつける。例えは以下のように「考える時間」にも差をつけるのである。

・すごくこだわる→納得するまで時間をかけて吟味する

・少しだけこだわる→考える時間は5分まで

・全くこだわらない→考えない/放っておく

iStockphoto/Thinkstock
決め方を決め、分ける

日常においては「決め方」自体が曖昧な場合が多い。主観で決めるのか、客観的に分析するのか、確率論かリスク重視か。決め方を決めるとは、結局のところ「判断基準」を作ることになる。

・仕事選び→友人や社会のためになるかで選ぶ【価値観を基準】

・消費行動→10万円以上は家族と相談、服は月1万円まで【制約条件を基準】

せっかく判断基準を作って、それに照らして決めようとしても、実際には想定外のことが起こる。いわゆる「判断に迷う」状態だ。ここでも、決め方を決めておくことが有効だ。

・迷ったら「最初の感覚」を信じる

・迷ったら「より分からない方」へ進む

・迷ったら「素人の意見」に従う

・迷ったら「一段上がって大局的に正しいこと」を言う

等である。

コミュニケーションルートを分ける

もう一つ「分ける」といいのは、コミュニケーションである。

・一方通行でいい通知型のものはML(メーリング・リスト)や掲示板で

・意見の応酬で双方向になる議論型のものは面談か会議で

複数の相手に正確な情報を共通的に流すには、メールが極めて効率的だ。

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要約公開日 2013.10.31
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