飛び込み営業を、勇気づけ・根性づけ・度胸付けと思っている人がいる。あるいは顔が見えるポスティング程度に考えている人もいるだろう。しかし、私は「情報収集の場」と位置付けている。
次にアプローチすべき相手がわかれば、飛び込み営業はひとまず目標達成。相手に会えなくて当たり前。話を聞いてもらえなくて当たり前。情報収集の場と割り切ってしまえば、担当者に会えなくても必要以上にメゲたり、傷ついたりせずにすむ。
飛び込み営業をすると、その会社の「生の情報」を手に入れることができる。社屋やオフィスの雰囲気、受付の対応だけでもどういう会社なのか、何となく把握することができる。こういう会社に今後営業をかけることがいいのかどうか、場合によってはさっさとこちらで見切ることもできる。
飛び込み営業において、受付は「この人はいったいどちらの方なのか」を瞬間的に、本能的にかぎわけて目の前の人物に対する対応を決める。ぺこぺこせずに「私とお付き合いしたほうが絶対にトク、通さないとソンするぞ」という気概で堂々と立ち振る舞おう。
受付を味方につけることができれば、鬼に金棒だ。受付は営業パーソンが帰ったあと、担当者に何らかの報告をするものだ。しかし、受付に好感を持ってもらえないと、営業パーソンが来た報告さえもしてもらえない場合がある。「今日、朝倉さんという営業の方がいらっしゃいましたが、とても感じのいい方でしたよ。後日改めて連絡するとおっしゃっていました」と一言添えてもらえるかどうか、その一言が大きいのだ。
その一言を得るためには、上ずった甲高い声でしゃべったり、流暢だがいかにもマニュアル通りの物売り口調をしたりするのではなく、「いろいろな企業を回っており、御社に有益な情報を提供できる」と相手にメリットを感じさせることが重要だ。そうすることで、本能的に「この人は大切にせねば」と感じさせ、味方になってもらうことができる。
飛び込み営業の目的は、次回の面談につなげるために、①交渉すべき担当部署、②担当者の名前、③担当者の役職、④担当者の直通電話番号の4つを収集することである。一見難しそうだが、受付に対して「私、XX株式会社の△△と申します。本日は御社の□□担当者の方とご面談をさせていただきたいと思いましてまいりました」と言えばよい。ほとんどの場合「お約束の無い方はお取り次ぎできません」と断られるだろうが、「ありがとうございます。後日改めてまいりますので、その際はどちら様をお尋ねすればよろしいでしょうか?」と聞き返せばよい。担当者の名前、役職、直通の電話番号もそのあとに質問する。最後は手持ちの資料と名刺を置いてその場を去ればよい。これだけで次のアポは断然取りやすくなる。
社名を名乗っただけでガチャンと電話を切られる。「結構です」と冷たく対応されて、とりつくしまもない。電話アポのイメージといえば、こんなところだろうか。私の場合は、電話アポが得意になってからは、3~4件に1件はとれていた。電話アポは当たるようになってはじめて、数を打つことに意味が出てくる。
電話アポは飛び込み営業と同様、「私はいい情報を持っているのだから、会った方が絶対トクだよ」という気持ち、自信、したたかさ、図太さでぶつかっていくことが基本だ。とはいえ、電話アポのほとんどが「ノー」からのスタートで、ある程度の技術が必要だ。
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