お昼時、平社員は定食屋の行列に並び、部長は高級店でパワーランチという人が多い。大企業の役員ともなれば、お昼から座敷のあるような場所で豪華な料理に舌鼓を打っているようなイメージを抱くかもしれないが、実は役員は昼食どころか昼休みすら満喫していない。
なぜなら、彼らは午前中に脳を使い、決断をしたり計画を立てたりする仕事をもってきて、午後から人に会ったりすることが多いからだ。午前中は社内会議がたてこんでおり、午前中にたまってしまった書類やメールをさばくには、昼休みしかないことも多い。
役員の多くは出前そばなど早く食べられるものを掻き込むように食べ、そそくさと仕事に戻る。社用車で移動中であれば、書類などをチェックしながらおにぎりやサンドイッチを食べるのである。
慌ただしく映るかもしれないが、別にせっかちなのではなく、本当に時間がないからこそである。
また、どんなに忙しくても必ず10分だけはプチ昼寝にあてるという役員もいる。それだけで眠気も疲労もとれ、より冴えた顔で午後の仕事に取りかかることができるからだ。
ムダな時間は徹底的に削ぎ落とすのが、一流の役員なのである。
大事な商談では何が成否を分けるのだろうか。平社員は資料作りで勝負し、部長はトークの中身で勝負する。
しかし、役員は違う。第一声で勝負するのだ。
良い印象を与える人は、普段の声が「ドレミ」の音域だとすると、「ファ」か「ソ」の高さで話す。そうすると、その人の「社交性」や「人の良さ」「やる気」を感じるそうだ。ちなみに「ドレミ」の音域は「聡明さ」や「信頼感」を表わすもので、社内外で使い分けることが重要である。
人は第一印象で相手に対する評価を下す。それゆえに役員は第一声で勝負するのである。役員はみな良い声を持っており、美声というよりは活力があり、イキイキとした声をしている。
もし最近、仕事がうまく回らないと悩んでいるのであれば、「何を伝えるか」よりも「どう伝えるか」に意識をシフトしてみてはどうだろうか。きっと道が開けるはずだ。
接待の目的は、相手を喜ばせて距離を縮め、結果として信頼を得ることである。多くの人は相手を喜ばせるために店選びや料理の質といった、物質的なところに神経が行き過ぎて、肝心な「人対人」の部分への意識が希薄なことが多い。
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