情熱を注いで、働く

私はアップル、IBM、オラクルで「本気で生き抜く」ことを学んだ
未読
情熱を注いで、働く
情熱を注いで、働く
私はアップル、IBM、オラクルで「本気で生き抜く」ことを学んだ
未読
情熱を注いで、働く
出版社
大和書房
出版日
2014年01月23日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「日本人の8割は働いていない」

スティーブ・ジョブズに見出され、アップル・ジャパンを率いた山元賢治氏が著した本書は、こんな刺激的な言葉から始まる。彼の定義によれば、仕事とは「自分の使命感に裏打ちされた意思を持ち、自分の責任を果たしながら『これがやりたかった』と言えるような何かを形にしていくもの」なのだ。現在の日本には、まわりに無難に合わせすぎている人が多く、それゆえに本当の意味で仕事をしている人は2割しかいないのだという。

こんな冒頭から煽るような文句を並べる山元氏の狙いは、読者に「いまの自分を良しとしていない」ことを認識させること。そして、本書を通じて「To Be(なりたい自分)」を発見し、「自分の人生」を100%生きるための生き方を見出してもらうことだ。

日本IBMからキャリアをスタートし、オラクルなどを経て、アップル・ジャパンの代表取締役社長を務めた山元氏。ページをめくるとそこには本気で生き抜こうと思う読者に対しての、熱い叱咤激励が並んでいる。

私の場合は読了後、漫然と「なりたい自分」や「自分の使命感」は持っているが、その人生に100%全力投球できているかと言われれば、そうではなかったかもしれない、もっと工夫できるのではないかという感情を抱かせられた。

なんとなく不安で、満たされない生活を過ごしている方は、冒頭の言葉に、思わずハッとさせられるのではないだろうか。そんな方にこそぜひ読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
苅田明史

著者

山元 賢治
1959年生まれ。神戸大学卒業後、日本IBMに入社。日本オラクル、ケイデンスを経て、EMCジャパン副社長。2002年、日本オラクルへ復帰。専務として営業・マーケティング・開発にわたる総勢1600人の責任者となり、BtoBの世界の巨人、ラリー・エリソンとともに、オラクルオープンワールドを日本で再開すべく活躍。2004年にスティーブ・ジョブズに指名され、アップル・ジャパンの代表取締役社長に就任し、iPodビジネスの立ち上げからiPhoneを市場に送り出すまで、国内の最高責任者としてアップルの復活に大きく貢献。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分が思うような方向に物事が進まないときは、まずは自分を疑ってみることだ。リーダーという立場にいるのであれば、起こる事すべてが自分の責任と言える。
  • 要点
    2
    どんなときも判断や行動がブレない基準を設けることで、時間を無駄にすることなく、自分の「To Be」を達成するために使うことができる。
  • 要点
    3
    自分の経験を踏まえ磨かれた意思決定エンジンを持つこと、自分の仕事のノウハウを周囲と共有することで目指すレベルの仕事ができるようリソースを空けること、多くの仕事を並列処理する習慣を身に付けることが、自分の志を成し遂げるために必要だ。

要約

成し遂げる人は、まず自分を疑う

他人を批判するよりも、まず自分を疑う

本書は、本気で生き抜くための助言が記された5章に序章と終章を加えた全7章構成となっている。ハイライトでは山元氏の情熱あふれる言葉のなかから、特に本書の主張を構成する部分を紹介したい。

第1章のタイトルは「成し遂げる人は、まず自分を疑う」というものだ。自分が思うような方向に物事が進まないとき、自分にとって良くないことに巻き込まれたとき、あなたは「自分原因説」で考えてみたことはあるだろうか。

とある自動車関連製品の経営者から、販売店の売上が落ちているので改革をやりたいという相談を山元氏が受けたことがあるという。その経営者はいかに販売店の士気が上がらないか、営業力と個々のスキルが足りないかについて頭を悩ませていた。

しかし、山元氏はそれらに対する施策を述べるのではなく、この経営者自身の魅力・眼力が落ちているのが本当の課題なのではないか、と考えた。会話するときの一つひとつの単語や、歩き方や姿勢、アイデアなどあらゆる面で魅力・眼力が低下することで、相手の心をつかめなくなっている。にもかかわらず、そこには触れずに、まわりにだけ責任を負わせるのは筋が通らない。

大事なことは、まずは自分を疑ってみるということだ。規模の大小は関係なく、リーダーという立場にある人間であれば、すべてが自分の責任と言ってもいい。自分の「To Be」を実現させ、まわりからも認められたいと思っているのなら、常に自分の魅力が落ちていないかをチェックして、魅力を高め続けなければいけないのだ。

新しい「基準」を持って、生きる

michele piacquadio/iStock/Thinkstock
自分の「ブレないルール」を決める

出身がエンジニアということもあり、山元氏は常に成功パターンを標準化できないかと考えるクセがあるのだという。

例えば、成功しそうな人を見分けるには、①何があっても「なるほど」と受け止めることができ、自分のものにできる素直さがあること、②会社名を外したら何のプロなのか、自分にしか創造できない価値(身の丈)を理解していること、③人を魅了する笑顔があること、の「3つの基準」のようなルールを適用することで、判断を速くしているそうだ。

人間に与えられた時間は平等に24時間しかない。自分の「To Be」を達成するためには、その時間を中途半端な意味のない浪費にしてはならず、どんなときも判断や行動がブレない基準を持つことが重要だ。

山元氏の場合、色々なところから講演の依頼をもらうなかで、基本的には前向きに考えるそうだが、なかにはあまり気が進まない依頼もあるそうだ。こういった場合、なぜ断るのか、という根拠ある理由(ルール)を基に判断できることが、自分のためにも相手のためにも必要なことと言える。

集客が見込める山元氏を呼んで講演を実現させることと、それに伴う収益だけにしか興味がない人が依頼者であれば、最低限の信頼が築かれないため、その依頼を引き受けることは難しいと判断するのだという。

【必読ポイント!】 プロフェッショナルの条件

「根性論から脱け出す」ための3ステップ
Stocktrek Images/Stocktrek Images/Thinkstock

ドラッカーの名著と同じタイトルが記された第3章では、山元氏が考える成功者の行動特性について述べられている。

自分の志を成し遂げるためには、どう行動すればよいのか。

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要約公開日 2014.03.25
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