エレメントとは「自分の才能と情熱が出会う場所」を意味する。「エレメントにある」とは得意かつ情熱を燃やせることに関わっている状態のことであり、エレメントの発見は、人生の目的が見つからない人たちを救い、変化の中でより良い方向感覚を身につける助けとなる。人はエレメントにあるとき、時間があっという間に過ぎるような感覚に陥り、エネルギーに満ちてくる。
エレメント探しは、自分の感情や思考、価値観などを探索する内なる旅と、外の世界での機会を探す外界での旅の二方向にわたる。まずは他者評価や外の世界の騒音(ノイズ)から離れて自身と向き合い、自分をもっと知る必要がある。一人の時間と場をつくり、本来の自分を体験する方法の一つは瞑想である。考えることをやめて、自分の感覚に意識を向けてみよう。また、気質や文化、時代の影響を受けた自分の尺度を変えることも必要になってくる。例えば「自分には才能などない」、「挑戦するにはもう遅い」といった思い込みから解き放たれることが必要なのだ。
エレメント探しの基礎となる人生の3つの原則を紹介しよう。1つは、自分の人生は生物学的にも文化的にも唯一無二であること。2つ目は、人は想像力と創造力によって人生を創り出していること。3つ目は、人生は偶発的な出来事の影響を受けており、直線的ではないということである。本書で紹介されているのは、この3つの原則を物語る体験談だ。自分と世界の新しい経験や可能性にオープンかつ柔軟に構えることの大切さを学ぶことができる。
現在の教育システムは、この3つの原則に則っておらず、創造性の芽を摘むおそれがあると、著者は指摘する。学校教育で学んだ内容と、社会での成功に関連はなく、大学の専攻よりも、自分の関心や漠然とした方向感覚を重視すべきなのである。
人生は一直線ではない。「さまざまな道を探検する」という心構えをもって、次のステップに集中しよう。
まずはあなたの「得意なこと・生まれ持った才能」は何なのか、どうやってそれを見つけるのかについて考えていきたい。埋蔵されている才能を発見できるかどうかは、機会の有無にかかっている。例えば、貧困と政情不安定にあえぐベネズエラでは、「エル・システマ」という音楽プログラムによって、子どもたちに音楽の興味をもたせ、クラシックの音楽家を増やすことに寄与した。楽器にふれる「機会」を与えたことで、隠れていた音楽の才を開花させたのだ。
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