才能を磨く

自分の素質の生かし方、殺し方
未読
才能を磨く
才能を磨く
自分の素質の生かし方、殺し方
未読
才能を磨く
出版社
大和書房
出版日
2014年01月24日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

得意で大好きなことができていればどんなに幸福だろう? そんなことを考えたことはないだろうか。

この本は、自分の本当の才能や情熱(=エレメント)が何なのか、どうすれば自分の心の声に従った生き方ができるのかを悩んでいる人には、必見の書だといってよい。エレメントを見つけ、深化させていった人たちの多彩な体験談とともに、埋蔵されているエレメントを掘り起こすエクササイズや、各章のテーマを自分に関連付けて熟考するための問いがふんだんに用意されている。

創造性とイノベーション、そして能力開発にエレメントを見出した著者ならではの体験談の解釈や引き出しの多さには、ただただ圧倒される。小さい頃からの情熱を追求し続けて大成した人や、安定した仕事を突然失うという逆境に陥ったことでエレメントを見つけられた人。様々な生き方や考え方にふれる中で、自然と思い込みや他者評価から離れて、自分の内面を掘り下げるきっかけを得ることができる。同時に、柔軟で前向きな態度でいれば、現在地がどこであっても、可能性を追求できるのだと励まされる。

また、エレメント探しに伴う内的・外的な障害をどう乗り越えていくかについての実践的なアドバイスは、読者の心の支えになることだろう。

本書を通してエレメント探しのヒントを学び、具体的なステップを踏み出してほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

ケン・ロビンソン
1950年生まれ。英国ウォーリック大学で教育学教授12年間務め、現在は名誉教授。英国「創造的教育・文化教育諮問委員会」委員長、シンガポール政府顧問を歴任、北アイルランドの和平プロセスの一環として創造性、経済開発の戦略策定をするなど、創造性とイノベーション、能力開発に関して世界的に活動している。
TEDで行ったプレゼン「学校教育は創造性を殺してしまっている」はTED史上最多の再生回数となるなど、その他の自らのTEDトークとあわせ、150ヶ国、推定2億人に視聴されている。前作『才能を引き出すエレメントの法則』(ルー・アロニカとの共著)は世界23ヶ国刊行のベストセラーとなっている。米国ロサンゼルス在住。2013年「Thinkers 50(世界の経営思想家トップ50)」に選出される。

ルー・アロニカ
1958年生まれ。編集者を経て作家。著書、共著にベストセラー多数。米国コネチカット在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    人生の3つの原則(①自分の人生は唯一無二であること、②人は自分自身の人生を創造していること、③人生は偶然の出来事の影響を受けるということ)がエレメント探しのベースとなる。
  • 要点
    2
    個人的な幸福度に影響を与えるものは、環境・遺伝的要因・態度の3つの要素であり、後天的な「態度」が幸福を形成するのに特に重要である。
  • 要点
    3
    エレメントを共有できる同族とつながることで、互いに成長を促すことができるだけでなく、自分のエレメントを見極めることができる。

要約

エレメント探しの旅に出る前に

エレメントにある状態とは
MarkRubens/iStock/Thinkstock

エレメントとは「自分の才能と情熱が出会う場所」を意味する。「エレメントにある」とは得意かつ情熱を燃やせることに関わっている状態のことであり、エレメントの発見は、人生の目的が見つからない人たちを救い、変化の中でより良い方向感覚を身につける助けとなる。人はエレメントにあるとき、時間があっという間に過ぎるような感覚に陥り、エネルギーに満ちてくる。

エレメント探しは、自分の感情や思考、価値観などを探索する内なる旅と、外の世界での機会を探す外界での旅の二方向にわたる。まずは他者評価や外の世界の騒音(ノイズ)から離れて自身と向き合い、自分をもっと知る必要がある。一人の時間と場をつくり、本来の自分を体験する方法の一つは瞑想である。考えることをやめて、自分の感覚に意識を向けてみよう。また、気質や文化、時代の影響を受けた自分の尺度を変えることも必要になってくる。例えば「自分には才能などない」、「挑戦するにはもう遅い」といった思い込みから解き放たれることが必要なのだ。

人生の3つの原則

エレメント探しの基礎となる人生の3つの原則を紹介しよう。1つは、自分の人生は生物学的にも文化的にも唯一無二であること。2つ目は、人は想像力と創造力によって人生を創り出していること。3つ目は、人生は偶発的な出来事の影響を受けており、直線的ではないということである。本書で紹介されているのは、この3つの原則を物語る体験談だ。自分と世界の新しい経験や可能性にオープンかつ柔軟に構えることの大切さを学ぶことができる。

現在の教育システムは、この3つの原則に則っておらず、創造性の芽を摘むおそれがあると、著者は指摘する。学校教育で学んだ内容と、社会での成功に関連はなく、大学の専攻よりも、自分の関心や漠然とした方向感覚を重視すべきなのである。

人生は一直線ではない。「さまざまな道を探検する」という心構えをもって、次のステップに集中しよう。

得意なものを見つける

才能を発見するための心構え
XiXinXing/iStock/Thinkstock

まずはあなたの「得意なこと・生まれ持った才能」は何なのか、どうやってそれを見つけるのかについて考えていきたい。埋蔵されている才能を発見できるかどうかは、機会の有無にかかっている。例えば、貧困と政情不安定にあえぐベネズエラでは、「エル・システマ」という音楽プログラムによって、子どもたちに音楽の興味をもたせ、クラシックの音楽家を増やすことに寄与した。楽器にふれる「機会」を与えたことで、隠れていた音楽の才を開花させたのだ。

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要約公開日 2014.04.16
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