ルールを変える思考法

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ルールを変える思考法
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ルールを変える思考法
出版社
KADOKAWA
出版日
2013年10月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ゲーム好きに朗報がある。本書の著者、ドワンゴ代表の川上氏によれば、ゲーマーには仕事ができる人が多いらしい。

背景にあるのは、ゲームで培うことができる思考力は、ビジネスでも通じることが多いという考えである。「ゲーム」と言っても、スマホやテレビで遊ぶゲームだけではない。もっと広義の意味での「ゲーム」、すなわちトランプなどのカードゲームや、モノポリーなどのボードゲーム、缶けりや鬼ごっこなども含まれる。川上氏はコンピューターゲームよりも、非電源型のゲームを好んでいたようだ。

ゲームを通じて身に付けることができる思考力とは、一体どのような能力なのか。川上氏はそれを「自分が有利なルールを考え、実現する能力」であると語る。それは幼少期に鬼ごっこに少し変わったルール(自分が有利になると思うルール)を加えることで、自分を勝者に導いた経験に似ている。こうした「ルールを変える思考法」はゲームだけでなく、現実のビジネスにも役立つものなのである。

ドワンゴは、『ニコニコ動画』という大人気サイトを運営しているが、このサイトの存在意義は一言で説明するのは難しい。しかし、これニコニコ動画の競合優位性なのだ。川上氏が本書で述べるように、ビジネスもニコニコ動画も一種のゲームであると認識すれば、このサイトを運営する意味に気づくことができるだろう。本書ではニコニコ動画がどのような経緯で生まれ、なぜ成功したのか、「ルールを変える思考法」に基づきその実情が語られている。

著者

川上 量生
株式会社ドワンゴ 代表取締役会長
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員
1968年生まれ。京都大学工学部を卒業後、コンピューターの知識を生かしてソフトウエアの専門商社に入社。同社倒産後の97年、PC通信用の対戦ゲームのシステムを開発する会社としてドワンゴを設立。2000年に代表取締役会長に。03年に東証マザーズ上場、翌年に東証1部に市場変更。独自の発想で携帯ゲームや着メロなどのサービスを次々とヒットさせるほか、06年には、子会社のニワンゴで「ニコニコ動画」を開始。その後も「ニコニコ超会議」や「ブロマガ」など、数々のイベントやサービスを生み出している。

本書の要点

  • 要点
    1
    ゲームと同様にビジネスにおいても、勝つためには緻密な「ルールの検証」が欠かせない。古くからの業界慣習など、時代が移り変わったことによって本来「変えた方がいいルール」を見つけ出すことができれば、そこにチャンスがある。
  • 要点
    2
    勝つためには、「最終的にどうなるか」というイメージをはじめに持つことと、「自分の武器になるものはなんなのか」を考えることが重要である。
  • 要点
    3
    サービスの独自性は、「きちんと説明できないのだけれども、正しいと自分が思うこと」という感性のレベルまでいけば、競合と争う可能性はかなり減る。それは、人間が理解できるかできないかのギリギリのところに存在し、ヒット作はそうした感性の領域から生まれるものである。

要約

いちばんリアルなゲームは「現実世界」で見つかる

ビジネスは世の中でいちばん「リアル」なゲームのひとつ

川上氏は、ビジネスにおいてロジックを組み立てるとき、これまでに遊んでいたゲームが思考の源になっている実感があるそうだ。それは、ゲームに求められる能力、あるいはゲームを通じて伸ばせる能力は、ビジネスの様々な局面で応用可能なものだからだという。川上氏が代表を務めるドワンゴでは、ゲームにはまりすぎて普通の社会生活が送れなくなってしまった、いわゆる「廃ゲーマー」が多く活躍している。

かくいう川上氏もかなりのゲーマーだと自認しているが、現実というゲームの方がよりリアルだと感じるようになってからは、あまりゲームをやらなくなったそうだ。川上氏にとっては、ビジネスもそうしたリアルなゲームのひとつなのである。

川上氏はどのようなゲームで思考方法を鍛えていたのか。それは、非電源型のシミュレーションゲームだったという。プレイするのに10時間もかけて考え抜くこともあるシミュレーションゲームは、思考のトレーニングとして最適であると川上氏は語っている。

ウォーシミュレーションゲームで学んだ、ルールを変える思考法
Hannah Gal/Photodisc/Thinkstock

シミュレーションゲームなどによって、多層的な思考の立て方ができるようになれば、現実社会の競争のなかでも優位に立つことができる。特に『Age of Empires』などのウォーシミュレーションゲームを通じて、多くのことを学ぶことができたと川上氏は語る。そのなかでも大きな意味を持つのは、本書のタイトルでもある「ルールを変える」という発想だ。

人間がルールを判断してプレイするゲーム(コンピューターを使わないもの)では、プレイヤーが勝手にルールを変更するということが起こる。ルールの一部が変わることによってゲームそのものが変わり、それによって勝者も変わる。

ルールの変更によりゲームが変わるのは、現実の世界でも同じと言えよう。既存のルールにただ従っていたのでは、新規に参入した者は絶対に勝てないシステムになっていることがあるだろう。しかし、そんな状況でも「ルールが変わるタイミング」「ルールを変えられる瞬間」をどこかで見つけられることがある。

ビジネスもゲームと同様に、勝つためには綿密な「ルールの検証」から始めるとよい。ルールを緻密に検証すると、古くからの業界の慣習など、「変えた方がいいルール」は意外と多いことに気が付くだろう。時代が移り変われば既存のルールが最適解ではなくなっていることはよくある。だからこそ、原理原則を見直し、ルールを再検証する姿勢が大切なのだ。

【必読ポイント!】 ビジネスというゲームで大切なこと

自分の武器になるものを探し、はっきりと打ち出せ
????? ??????? /iStock/Thinkstock

ビジネスにおいても、川上氏の戦い方はゲームと似ている。その戦い方とは、「最終的にどうなるか」というイメージをはじめに持つようにして、そこから逆算するようにそこまでのプロセスを考えていくことだ。

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要約公開日 2014.03.04
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