発想をカタチにする技術

新しさを生みだす「ありきたり」の壊し方
未読
発想をカタチにする技術
発想をカタチにする技術
新しさを生みだす「ありきたり」の壊し方
未読
発想をカタチにする技術
出版社
日本実業出版社
出版日
2013年11月14日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「発想をカタチにする技術」とは何と魅力的な響きをもつタイトルだろうか。人は努力により何とかできることには、正面から努力ができるものであるが、発想とはどうも努力で何ともならない、一部の天賦の才を持つ人のなせる業と見える。しかし、本書はその発想を得る具体的な方策を指南してくれるのだ。

本書は「笑い」や「コント番組」という題材を中心に、いかにアイデアが生まれたのか、またアイデアを生むための習慣はどのようなものか、包み隠さず記載されている。思えば「イノベーション」と「笑い」は近いものかもしれない。シュンペーターが「新結合」と呼んだように、「イノベーション」は新しい組み合わせにより生み出されるものである。「笑い」も同じように、ある場面とその一見離れた話題や常識の組み合わせが絶妙に行われた時に起こる様に思うし、本書でその考えをより強くした。著者はその組み合わせを生み出すということを意識して日常を過ごしていることが、迫力をもって伝わってくるのだ。

さあ、発想力を最大限発揮するビジネスパーソンになろうではないか。幸い世の中にはその基盤となるような参考とすべき情報が豊富にある。イノベーションを起こそうというのなら、本サービス「flier」で紹介している多くの書籍など読むべきものもたくさんある。良質な数々の書籍の情報を浴びた上で、自らのビジネスの課題と向き合い、本書で紹介されている「直感が舞い降りてくるためにできる5つのこと」を実践してみてはいかがだろうか。

ライター画像
大賀康史

著者

吉田照幸
1969年、福岡県生まれ、山口県育ち。1993年NHK入局。NHK制作局第2制作センター エンターテインメント番組部ディレクター(2013年9月よりNHKエンタープライズ番組開発部エグゼクティブプロデューサー)。「NHKのど自慢」「小朝が参りました」などエンターテインメント系の番組を中心に活躍。広島放送局を経て番組開発部異動後、2004年に「サラリーマンNEO」を企画、以後全シリーズの演出を担当。型破りな番組として人気を博す一方、タニタの社食ブームの火付け役となり、Google本社に日本テレビ番組として初潜入、コントに日産のカルロス・ゴーン氏を引っ張り出すなど、話題となった。2011年には「サラリーマンNEO劇場版(笑)」の脚本・監督も務める。第35回・36回国際エミー賞コメディ部門ノミネート。2013年春からは、「異例のレンタル移籍」で、連続テレビ小説「あまちゃん」の演出を担当。

本書の要点

  • 要点
    1
    アイデアを具現化する時には、自分から離れることがポイントだ。そうすることで、自分の才能を発見できるし、アイデアも浮かび、人間関係すらもうまくいくのである。
  • 要点
    2
    ①直感を刺激するリサーチ、②直感を具体化するリサーチ、③さらに深める内的リサーチ、の3つをすることで、直感を活かし企画をより面白いものにできる。
  • 要点
    3
    直感は才能ではなく、思考が邪魔をしているだけである。直感が降りてくる状態にするためには、下記の5つの習慣を実践すると良い。
  • 要点
    4
    ①起床したら5分待つ
  • 要点
    5
    ②違う自分を試す
  • 要点
    6
    ③カレーをつくる(開き直る)
  • 要点
    7
    ④本屋に行く
  • 要点
    8
    ⑤溜まっているものを吐き出す

要約

発想力のよりどころとしての直感

自分から離れる
Jacob Wackerhausen/iStock/Thinkstock

笑いとは何だろうか。同じ事象に対し視点を変えるだけで全く面白いものになる。例えば、デートの予定があるのに、上司から残業を言い渡されたというシーンは、悲劇と言えるだろう。しかしそれが同僚に言い渡されたものであれば、喜劇に変化する。

客観視すれば悲劇が喜劇になるように、アイデアを具現化する時にも、自分から離れることがポイントだ。そうすることで、自分の才能を発見できるし、アイデアも浮かび、人間関係すらもうまくいくのである。

実は著者が生み出した「サラリーマンNEO」も、そのような視点で生み出された、という。著者が同窓会に行った際に、旧友に「NHKで何が見たい?」と素朴な質問を投げかけたところ、想定外の答えである「コントが見たい」と返ってきたのだ。それまでは自分の考えに固執するあまり、一人よがりになり局内で提案が全くといっていいほど通らなかった。しかし「コント番組」を漠然と提案した際には、議論が盛り上がり、企画が簡単に通ってしまったのである。すなわち、いい企画は「人が喜ぶもの」という単純な真理に帰結したのだ。

直感を形にする方法

やりたいことを具現化する3つのアプローチ
runin/iStock/Thinkstock

企画を立てる際には意識すべき3段階のアプローチがある。

・第一段階 直感を刺激するリサーチ

アイデアが見つからない際には、本屋やYouTubeめぐりをして、自分の心に響くことを探す。些細でもバカでもなんでも良い。ハッとする、ドキッとすることを大切にするのである。

・第二段階 直感を具体化するリサーチ

次はその直感を広げるためのリサーチを行う。NEOには「世界の社食から」という人気コーナーがあった。「世界の車窓から」のパロディで、世界各地の社食を訪ねるというVTRコーナーだ。発想の元になったのは、シリコンバレーの社食を回ってアップされたブログである。「おもしろさ」がはっきりしたリサーチは「急成長するグーグルに潜入」というような面白い企画に繋がりやすい。

・第三段階 さらに深める内的リサーチ

著者は、「世界の社食から」をより面白くするために、「世界の車窓から」を見直す。すると、風景中心の番組だと思い込んでいたが思ったより風景は映っておらず、じつは人の表情の豊かさが番組を支えていたのだ。このように、狙いをもって道を進め、本質を深く掘り下げることがリサーチのコツである。

切り口の捉え方
NEO内のコント、「スケバン欧愛留(オーエル)」の再生劇も興味深い。「スケバン欧愛留(オーエル)」は、ダメなサラリーマンをOL3人組がロッカーに呼び出し、スケバン風に説教するというコントだ。しかし、元々のアイデアはOLが給湯室に若い男を呼び出し、説教するというものだった。どうにもありきたりで、あきらめかけたときに、脚本家が「スケバンにしたらどうですかね」と切り出した。

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要約公開日 2013.11.27
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