笑いとは何だろうか。同じ事象に対し視点を変えるだけで全く面白いものになる。例えば、デートの予定があるのに、上司から残業を言い渡されたというシーンは、悲劇と言えるだろう。しかしそれが同僚に言い渡されたものであれば、喜劇に変化する。
客観視すれば悲劇が喜劇になるように、アイデアを具現化する時にも、自分から離れることがポイントだ。そうすることで、自分の才能を発見できるし、アイデアも浮かび、人間関係すらもうまくいくのである。
実は著者が生み出した「サラリーマンNEO」も、そのような視点で生み出された、という。著者が同窓会に行った際に、旧友に「NHKで何が見たい?」と素朴な質問を投げかけたところ、想定外の答えである「コントが見たい」と返ってきたのだ。それまでは自分の考えに固執するあまり、一人よがりになり局内で提案が全くといっていいほど通らなかった。しかし「コント番組」を漠然と提案した際には、議論が盛り上がり、企画が簡単に通ってしまったのである。すなわち、いい企画は「人が喜ぶもの」という単純な真理に帰結したのだ。
企画を立てる際には意識すべき3段階のアプローチがある。
・第一段階 直感を刺激するリサーチ
アイデアが見つからない際には、本屋やYouTubeめぐりをして、自分の心に響くことを探す。些細でもバカでもなんでも良い。ハッとする、ドキッとすることを大切にするのである。
・第二段階 直感を具体化するリサーチ
次はその直感を広げるためのリサーチを行う。NEOには「世界の社食から」という人気コーナーがあった。「世界の車窓から」のパロディで、世界各地の社食を訪ねるというVTRコーナーだ。発想の元になったのは、シリコンバレーの社食を回ってアップされたブログである。「おもしろさ」がはっきりしたリサーチは「急成長するグーグルに潜入」というような面白い企画に繋がりやすい。
・第三段階 さらに深める内的リサーチ
著者は、「世界の社食から」をより面白くするために、「世界の車窓から」を見直す。すると、風景中心の番組だと思い込んでいたが思ったより風景は映っておらず、じつは人の表情の豊かさが番組を支えていたのだ。このように、狙いをもって道を進め、本質を深く掘り下げることがリサーチのコツである。
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