社内外の経営環境は刻々と変化している。そんな中、自らの弱点を変化させ、体質を変えることができない企業は「生きる」ことに失敗し、衰退してしまうものだ。これは、個人においても同様だ。環境の変化に応じて自らの価値観を変えることができなければ、いつの間にかライバルたちとの差が広がってしまう。今までの価値観をシフトする勇気を持つべきだ。
そのうえで、プロの仕事人になるにはどうすべきか。著者は、2000社を超える赤字会社を再生させるにあたり、赤字会社の全社員に「業務チェックリスト」と呼ばれる行動予定表を書かせた。それは、仕事の課題をどのように解決するかを1カ月間のスケジュールに落とし込むものだ。このリストを作成するにあたっては、問題を発見する能力、問題にかかわる情報を分析する能力、最重要課題を見抜く能力、目標を設定する能力、目標設定のための戦略立案力、戦略を行動に落とし込む能力が求められる。これらの1つでも欠けてしまうと、必要でない仕事に時間を取られてしまったり、課題解決ができなかったりする。チェックリストを導入することで、常にこれらの6つの観点から考え、動くことができるのである。
ビジネスパーソン一人ひとりの一番大切な財産とは「信頼関係」である。その財産を築くための資質は、結局のところ「人間力」だといえる。
「仕事ができる人」と評価される人の、さらに上のレベルをいくのが「経営のプロ」、すなわち経営陣に加われる人であるが、そうなるためにはまさにこの「人間力」が問われる。経営のプロには、ときに常識を逸脱するようなところがあっても、その人望や人徳を慕って多くの人々がついてくる。
人間力をつけるには、尊敬できる一流の人と深く触れ合い続けることだ。尊敬すべき人がいたら、直接会ってみるといい。著者はその人の服装までマネしたという。その人の仕事ぶり、話し方、振る舞い方、生活ぶりまで吸収しよう。
利益を上げなければ企業は生きることができない。だからこそ、経営層のみならず社員一人ひとりが利益を生み出す術を知り、利益に執着しなければならない。
たとえば、企画書を作成するとき、「その企画を実行することでいくら儲かるのか」ということは、絶対に抜けてはならない視点である。赤字会社の社員に企画書を提出させると、利益に関する視点に欠けていることがめずらしくないのだという。
1円でも多くの利益を生み出すにはどうすればいいのか、社員一人ひとりが常に考え抜かないと、実益を生む組織にはなれない。ビジネスの根本は、少しでも有利な条件を引き出し、少しでも多くの利益を得ることだ。だからこそ、「1円に苦労し、1円に笑う体験」を大切にして、誰もがコスト感覚を養うべきだ。
結果が出ないこと、上司が気に入らないこと、年収が上がらないこと……。自分の人生にマイナス要素ばかりが続いていることを、世の中のせい、会社のせいと片付ける人もいる。それが真実そうだったとしても、愚直に努力を続ければ、自分の人生は「黒字化」できるのだ。
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