現在は、IT企業などの持つ情報が世界経済を動かす時代といえる。方向性を持って情報をコントロールできる「ヒト」こそが事業の中心となった。「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」の時代へと移っているのだ。
そんな中、「企業ビジョン」がますます重要性を帯びている。「企業ビジョン」とは自分たちの夢(ビジョン)を掲げ、夢の実現が社会にどのように貢献するのか(ミッション)を記し、顧客をはじめとするステークホルダーと共有する価値観(バリュー)の総称だ。そして、「企業ビジョン」を掲げ、リーダーシップを発揮するリーダーを「ビジョナリー・マネジャー」と呼ぶ。
ビジネスの原点は、企業ビジョンの構築とビジョナリー・マネジャーの存在にある。業績を上げ続けている企業は、企業ビジョンのブラッシュアップと浸透に注力している。
ビジョナリー・マネジャーを志向する経営者・ミドルマネジメント・社員の特性は「企業家のように考え、行動する」という点である。
ビジョナリー・マネジャーによるリーダーシップは以下の3点を問うことから始まる。
(1)掲げている企業ビジョンは正しいか
(2)企業ビジョンが社員の間で共有されているか
(3)社員一人ひとりが企業ビジョンと仕事との関係を「自分ごと」として捉えているか
リーダーとしてのビジョナリー・マネジャーは企業ビジョンを掲げる。そして、それに共鳴した社員が自律的にフォローし、両者一体となって企業ビジョンの実現をめざしていく。個人の考えが多様化している時代においては、お金のためではなく、心に響く「世のため、人のため」という、大義ある企業ビジョンが必要である。
また、立場や地位を問わず、メンバーが互いのパーソナリティーを尊重しあう中で、リーダーが方向性を示して、社員がそれに共感する。このような状態をつくらなければ、社員はリーダーについてこない。労働を「コスト」のように考える経営は通用しなくなっている。リーダーは人間力を高めることが欠かせない。
企業ビジョンはビジョン、ミッション、バリューの3つから構成される。ビジョン(夢・志)は「世界を変える」「世のため、人のため」といった指針である。これに対し、ミッション(使命)は、それを実現するために会社がどのような事業展開で社会に貢献するかという手段を示す。
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