著者の定義によると、プラットフォームとは、「他のプレイヤー(企業、消費者など)が提供する製品・サービス・情報と一体となって初めて価値を持つ製品・サービス」であるという。
たとえば検索サービスの覇者であるグーグルは、「検索できる」機能だけではサービスが成り立たない。検索の結果として表示できる情報が無数に存在するからこそ、グーグルはユーザーにとって価値がある。プラットフォームは、「みんなが喜ぶものに価値がある」という発想のもと、その上に乗って様々な機能を果たす製品やサービスを必要とする。
プラットフォームという考え方が注目を浴びるようになった理由のひとつは、パソコンのOS市場においてウィンドウズが圧勝したことだ。ウィンドウズが多くの人に使われるようになると、ウィンドウズの規格に合ったハードやアプリなどのソフトが作られるようになる。それに伴い、ユーザーはますますウィンドウズを購入するようになるといった循環が生まれ、90年代のパソコン市場はウィンドウズの寡占状態となった。
プラットフォーム型のビジネスは、多くのプレイヤーを巻き込むため、コントロールすることが難しい。しかし、ひとたびうまく軌道に乗せられれば、自社単独では決してできないような大きな成功をめざせる。
プラットフォームビジネスは、企業や消費者といったほかのプレイヤー、すなわち補完プレイヤーの活動があって初めて価値を持つ。この特徴は、「レイヤー構造」として捉えるとわかりやすい。
例えば電子書籍を読む場合、消費者は各レイヤーのサービスをそれぞれ自由に選択できる。つまり、消費者は何を読むのかというコンテンツの選択権はもちろん、そのコンテンツをどこで買うのかというコンテンツストアの選択権や閲覧アプリの選択権も持っている。また、そのアプリを利用するためのOSやハード、通信ネットワークも、基本的には消費者が選んでいる。このように各レイヤーが独立し、補完関係をなすことで、それぞれ単体としての価値が上がっていく。
レイヤー構造と対をなす考え方がバリューチェーンだ。バリューチェーンとは、企画・開発、販売、配達など、サービスが最終消費者に届くまでの川上から川下までの一連の工程を指す概念である。バリューチェーン型のビジネスにおいては、消費者は完成品のみを選択する。デジタル化の進展によって、ビジネスのレイヤー化が進んでいる。一方で、伝統的なものづくりではレイヤー化が進みにくく、バリューチェーン構造を前提に戦略を考える必要がある。
プラットフォームビジネスは、従来のビジネスに比べて一人勝ちの状況が発生しやすい。なぜならば、プラットフォームには成長を加速させる特有の要因が存在するからである。
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