プラットフォームの教科書

超速成長ネットワーク効果の基本と応用
未読
プラットフォームの教科書
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超速成長ネットワーク効果の基本と応用
未読
プラットフォームの教科書
出版社
出版日
2017年05月29日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「プラットフォーム」という言葉を耳にする機会が増えている。ここで考えてみてほしい。もし「プラットフォームとは何か?」「プラットフォームのビジネスとしての成功のメカニズムは?」と問われると、言葉に窮してしまうのではないだろうか。

本書では、プラットフォームビジネスの基本的な仕組み、戦略の立て方、強大なプラットフォーマーに打ち勝つ方法などが、体系立ててわかりやすく解説されている。さらには、読者のみなさんがよく知るサービスや製品が例としてたくさん登場するため、「そうか、あれもプラットフォームビジネスだったのか」といった発見があるだろう。

プラットフォームビジネスは、新しくサービスを始めるスタートアップだけのものでなく、自動車産業や金融業、小売業といった従来型の産業でも、すでに採用されているビジネスモデルだ。スマホとソーシャルネットワークの拡大によって、プラットフォームビジネスがますます進展を続けている今、プラットフォームの考え方をおさえておくことは、ビジネスの選択肢を広げる上で大きな武器となる。

『ビジネス思考実験』(日経BP社)や『代替品の戦略』(東洋経済新報社)などの著書で有名な著者の英知が詰まった『プラットフォームの教科書』。あらゆる業界のビジネスパーソンにおすすめしたい。

ライター画像
和田有紀子

著者

根来 龍之(ねごろ たつゆき)
早稲田大学ビジネススクール教授
京都大学文学部卒業(哲学科)。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。鉄鋼メーカー、英ハル大学客員研究員、文教大学などを経て、2001年から現職。早稲田大学IT戦略研究所所長。早稲田大学大学院経営管理研究科長、経営情報学会会長、国際CIO学会副会長、CRM協議会副理事長などを歴任。著書に、『ビジネス思考実験』『事業創造のロジック』(日経BP社)、『プラットフォームビジネス最前線』(監修、翔泳社)、『代替品の戦略』(東洋経済新報社)、『IoT時代の競争分析フレームワーク』(編著、中央経済社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    プラットフォームビジネスは、補完プレイヤーの活動があって初めて価値を持つ。「ネットワーク効果」「先発優位」「規模の効果」などの原理を内包しているため、従来のビジネスに比べて、一人勝ちしやすい。
  • 要点
    2
    プラットフォームビジネスでは、「先発優位」が働く。
  • 要点
    3
    プラットフォームビジネスは、ある一定規模を超えるまでの立ち上がりが非常に難しく、マルチホーミングやスイッチングコストなどの要因によって一人勝ちしづらい領域も存在する。

要約

プラットフォームの基本

プラットフォームとは何か
Peshkova/iStock/Thinkstock

著者の定義によると、プラットフォームとは、「他のプレイヤー(企業、消費者など)が提供する製品・サービス・情報と一体となって初めて価値を持つ製品・サービス」であるという。

たとえば検索サービスの覇者であるグーグルは、「検索できる」機能だけではサービスが成り立たない。検索の結果として表示できる情報が無数に存在するからこそ、グーグルはユーザーにとって価値がある。プラットフォームは、「みんなが喜ぶものに価値がある」という発想のもと、その上に乗って様々な機能を果たす製品やサービスを必要とする。

プラットフォームという考え方が注目を浴びるようになった理由のひとつは、パソコンのOS市場においてウィンドウズが圧勝したことだ。ウィンドウズが多くの人に使われるようになると、ウィンドウズの規格に合ったハードやアプリなどのソフトが作られるようになる。それに伴い、ユーザーはますますウィンドウズを購入するようになるといった循環が生まれ、90年代のパソコン市場はウィンドウズの寡占状態となった。

プラットフォーム型のビジネスは、多くのプレイヤーを巻き込むため、コントロールすることが難しい。しかし、ひとたびうまく軌道に乗せられれば、自社単独では決してできないような大きな成功をめざせる。

レイヤー構造化

プラットフォームビジネスは、企業や消費者といったほかのプレイヤー、すなわち補完プレイヤーの活動があって初めて価値を持つ。この特徴は、「レイヤー構造」として捉えるとわかりやすい。

例えば電子書籍を読む場合、消費者は各レイヤーのサービスをそれぞれ自由に選択できる。つまり、消費者は何を読むのかというコンテンツの選択権はもちろん、そのコンテンツをどこで買うのかというコンテンツストアの選択権や閲覧アプリの選択権も持っている。また、そのアプリを利用するためのOSやハード、通信ネットワークも、基本的には消費者が選んでいる。このように各レイヤーが独立し、補完関係をなすことで、それぞれ単体としての価値が上がっていく。

レイヤー構造と対をなす考え方がバリューチェーンだ。バリューチェーンとは、企画・開発、販売、配達など、サービスが最終消費者に届くまでの川上から川下までの一連の工程を指す概念である。バリューチェーン型のビジネスにおいては、消費者は完成品のみを選択する。デジタル化の進展によって、ビジネスのレイヤー化が進んでいる。一方で、伝統的なものづくりではレイヤー化が進みにくく、バリューチェーン構造を前提に戦略を考える必要がある。

ネットワーク効果

プラットフォームビジネスは、従来のビジネスに比べて一人勝ちの状況が発生しやすい。なぜならば、プラットフォームには成長を加速させる特有の要因が存在するからである。

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要約公開日 2018.01.22
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