新DMの教科書

「DMマーケティングエキスパート」認定資格公式テキスト
未読
新DMの教科書
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「DMマーケティングエキスパート」認定資格公式テキスト
未読
新DMの教科書
出版社
出版日
2017年07月10日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

現在はインターネット広告全盛の時代といってよい。インターネット広告の登場以降、効果が可視化しにくいという理由で、これまでDM(ダイレクトメール)を使っていた企業も、Eメールなどのデジタルの活用に注力する傾向があった。しかし、ここ最近になってアナログなDMの価値が見直され始め、DMを活用する機運が高まっているようだ。

その理由は、DMがインターネット広告の弱点をカバーできるからである。インターネット広告は当然ながらインターネットをあまり利用していない人に対して、効果的なアプローチができない。その点、DMならそうした人に対して効果的に訴求できる。またDMは五感に訴えかけることができ、インパクトもある。しっかり企画を練り込んでDMを制作すれば、その効果は絶大なものとなるのだ。

DMマーケティングのポイントを学ぶのに役立つのが、一般社団法人日本ダイレクトメール協会が定める「DMマーケティングエキスパート(※1)」という認定資格だ。この資格を取得すれば、DMマーケティングの体系的知識や運用ノウハウが獲得でき、DMマーケティングのプロの証明にもなる。

本書は「DMマーケティングエキスパート」認定資格試験の公式テキストだ。DMの企画立案、制作・クリエイティブ、効果検証といった、DM施策の成功に必要な情報がぎっしり詰まっている。販促・マーケティング担当者のための、心強いガイドブックになってくれることだろう。

※1 公式HP(https://www.jdma.or.jp/seminar/license.php#_2)

著者

有田 昇(第4章担当)
有限会社アリゴー代表取締役
コピーライターとして日本リーダーズダイジェスト社に入社。その後、マッキャンエリクソン博報堂でDMの企画から制作・実施・分析まで総合的に関わる。1996年にDMコンサルタントとして独立。多企業のDM指導、上智大学などでDM講義を行う。全日本DM大賞審査委員などを歴任。『効果がすごい「パワーDM」の作り方』(中経出版、1999)ほか著書多数。

兼松 祐二(第3章担当)
兼松経営株式会社 代表取締役
会計をベースにした経営コンサルティング会社で経営改善・事業計画策定などに携わった後、印刷会社で顧客分析やGIS分析を基にDMを中心とした販促提案に取り組む。2012年に独立し、経営と販促の両面から中小企業を支援する経営コンサルタントとして活躍。企業の社員研修や全国での販促セミナーの講師も行っている。

椎名 昌彦(第1章担当)
一般社団法人日本ダイレクトメール協会 専務理事
1979年電通入社。ダイレクトマーケティング専門代理店、電通ワンダーマンの創設メンバーとして出向。広範な業種にわたる企業で顧客獲得、CRM領域の企画・実施作業を行う。2005年電通復帰後は通販、ダイレクトビジネス全般の業務を担当。2011年より現職。企画監修『先頭集団のダイレクトマーケティング』(朝日新聞出版、2011)他、教育・執筆活動多数。全日本DM大賞最終審査委員。

吉川 景博(第2、5章担当)
フュージョン株式会社プランニング/ダイレクトプロモーショングループ営業企画部部長
1993年大手小売業入社。マーケティング部門にて広告全般を担当。主に顧客戦略策定、FSP開発、データ分析など、顧客データを活用したプロモーションを実践。現在は、企業のマーケティング戦略立案、営業支援などを請け負う。全日本DM大賞多数入賞。米DMA公認ダイレクトマーケティングプロフェッショナル。全日本DM大賞審査委員。

本書の要点

  • 要点
    1
    DMはリアルな「モノ」で消費者の五感に訴えかけることに長けており、個別に最適なメッセージを伝えられるメディアで、高いコンバージョン率を誇る。
  • 要点
    2
    DM制作で有効なフレームワークは「AIDAの法則」だ。消費者の心理を揺さぶるようなドラマを完成させることが重要となる。
  • 要点
    3
    DMのクリエイティブではUSPとベネフィットの表現を意識するとよい。
  • 要点
    4
    商品を注文した顧客に対して無料プレゼント、割引などの特典をつけるオファーはDMのレスポンス率を大きく高める。

要約

DMとは何か

高いコンバージョン率を誇るDM

DMの一般的な定義は、「個々人宛に商品案内やカタログを送付する方法による宣伝(販促)手段」である。形態ははがき、封書、冊子、ゆうパックや宅配便といった小包など、多岐にわたる。

DMはデジタルメディアに比べて高コストだ。しかし、リアルな「モノ」で消費者の五感に訴えかけること、一人ひとりに最適なメッセージを伝えて、行動を喚起することに長けたメディアである。

DMの強みはコンバージョン率の高さにある。日本ダイレクトメール協会が実施している、2016年12月の「DMメディア実態調査」によると、「自分宛てに送られてきたDMに対して、何らかの行動を起こした」人の割合は19.5%に及ぶという。内訳としては、「ネットで調べた」6.7%、「家族・友人などとの話題にした」4.2%、「店に出かけた」3.5%、「購入・利用した」2.6%、「資料請求した」1.7%であった。

ダイレクトマーケティングとDM
Devonyu/iStock/Thinkstock

DMを活用するには、その背後にあるダイレクトマーケティングの考え方を理解することが重要だ。米国DMA(Data & Marketing Association)は、ダイレクトマーケティングをこう定義している。それは「1つまたは複数の広告メディアを使って、測定可能な反応あるいは取引をどんな場所でも達成することのできる双方向のマーケティング・システム」である。

マスマーケティングは大量生産、大量販売を前提としたマーケティング活動であり、中間の流通業者を経由することが前提となる。一方、ダイレクトマーケティングは、中間の流通業者を経由せずに見込み客や顧客に直接働きかけるマーケティング活動だ。顧客の購買関連情報(購買履歴など)を把握できるので、最適なタイミングで最適な商品・サービスを販売できる。

ダイレクトマーケティングを実施する上で、DMは最も重要なメディアの1つである。DMの目的は主に、「顧客獲得」と「顧客活性化」の2つに分けられる。

顧客獲得では、外部リスト利用(初回購入、来店)、無宛名利用(初回購入、来店)、マスやWebメディアで獲得した見込み客の顧客化に活用する。

これに対し、顧客活性化では、アップセル(リピート購入促進、定期購入化、継続購入)、クロスセル(取引拡大、他商品・サービス購入促進)、ロイヤルティー向上(顧客満足度向上、ブランドロイヤルティー)に活用する。めざすのは、顧客生涯価値(Life Time Value、LTV)の向上である。

DM企画を立案する

DMの企画立案
Sitthiphong/iStock/Thinkstoc

ここからはDM企画立案のステップについて解説する。重要なのは、商品やサービスの現状を知り、課題を発見することだ。

ステップ1:売上構造を分解する。売上は客数×客単価だが、これを細分化して「売上方程式」で表すとこうなる。売上=客数(新規顧客+既存顧客-離反顧客)×客単価(来店回数×購入点数×商品単価)。離反顧客とは、以前に自社サービスを利用または購入したことがあるが、その後一定期間、購入または利用がない顧客を指す。

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要約公開日 2018.01.21
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