お金を使って宣伝すれば、広く商品を広めることはできる。しかし広告に予算をかけられない小さな企業の場合、こうした戦い方は採用できない。一方でTwitterをはじめとしたSNSは、無料で活用できるツールである。これを利用しない手はない。
ただ無料で話題をつくるには、切り口を変えてみたり、皆が知らない情報を発信したりと、さまざまな工夫をしなければならない。難しい面もあるが、Twitterから得られるものは大きい。挑戦する価値のある分野である。
ルールに縛られた状態だと、流行に乗ったツイートはできない。しかし企業の公式アカウントで発言したことは、そのまま企業の意見として受け取られてしまう。「中の人」は、ある意味で企業の代表だ。不用意な発言ひとつで、簡単に企業としての信頼を失ってしまう危険性もある。実際、公式アカウントの運営を行なうにあたり、はじめから細かい規則を設けている企業もあるほどだ。
そこで著者の係長マッキーは、自分のなかでルールを2つだけ設けた。
ひとつは「特定の人を傷つける内容の投稿はしない」ことだ。これは公式アカウントではもちろん、個人のアカウントでも大切である。相手の表情を直接伺うことができないTwitterだからこそ、常に「誰かが傷ついていないか」気を配らなければならない。またTwitterでの発言は、文字としてずっと残り続ける。ゆえに個人ではなく企業の「公式アカウント」で発言しているという自覚を、常にもたなければならない。
もうひとつのルールは「パインアメや自社商品から離れすぎない」ことだ。企業によっては「中の人」自身の趣味を全面に押し出しているケースもある。しかし企業アカウントのフォロワーは、その企業や商品の情報を知りたいという理由でフォローしているはずだ。企業の情報より他の情報のほうが多いとなると、何のためにフォローしたのかわからなくなってしまう。
このふたつ、とくにひとつ目のルールさえ守っていれば、ある程度自由に発言しても、大きな問題にはならないだろう。
Twitterのアカウントをつくっても、いざつぶやく段階になると、最初に何をつぶやいたらいいかわからないという人もいる。
係長マッキー(当時は「平社員マッキー」だった)の場合は、迷った末に「ゆるーくつぶやいていきます」という旨の簡単な挨拶から始めた。初めてのつぶやきから独自色を出す必要はない。最初は無難な挨拶で十分である。そのアカウント独自の個性は、後から徐々に出していけばいい。初めてのツイートは考えすぎずに、普通の挨拶で始めよう。
Twitterは基本的に、自分がフォローしている人のつぶやきしか見ることがない。フォローしてもらえなければ、それは人の目に入らないのと同じだ。フォロワー数が増えれば増えるほど、自社に関心をもってくれる人が多くなるといえる。
係長マッキーが最初にしたのは、自分の個人アカウントのフォロワーにお願いして、公式アカウントをフォローしてもらうことだった。次に「パインアメ」とつぶやいている人にリプライを送り、公式アカウントの存在を知ってもらうようにした。1、2年ほどこうした活動を地道に繰り返し、パインアメ公式アカウントはフォロワーを増やしていった。
ただし「フォロワーを増やす」ことだけを目的にしないよう注意したい。企業公式Twitterの目的は、あくまで「自社商品を知ってもらうこと」、「お客様とコミュニケーションをとること」である。現在フォローしてくれている人に興味をもち続けてもらうことを念頭におくべきだ。
パインアメは中心に穴が開いているので、口にくわえて吹くと笛のように鳴ると思われがちだ。Twitterでもかなり高い頻度で「子供のころ鳴らそうとした」という反応がある。そこで「パインアメは吹いても鳴らない」という内容のツイートをしたところ、3万リツイートを超える大きな反響があった。
社員にとっては「パインアメが鳴らないこと」は驚くことでも何でもない。
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