著者がすすめるのは、世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有するという、インデックス投資である。インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった、各種指数(インデックス)に連動する運用成果をめざす投資信託のことだ。これに対して、アクティブファンドは、専門家が投資先や売買のタイミングを判断して運用を行う投資信託を指す。
一見、プロが運用するアクティブファンドの方が、インデックスファンドよりも運用成績がよいと思うかもしれない。しかし、実際にはインデックスファンドの方がアクティブファンドよりも圧倒的によい運用成果を上げているという驚きの結果が、世界的に出ているというのだ。
インデックス投資の基本は、市場規模が大きな株式と債券を中心に分散投資することである。だが、結局のところ、市場の動向を完璧に予測することは誰にもできない。そこで、どんな状況でも有利な投資方法などないと割り切り、定期的に一定金額で同一のインデックスファンドを購入するとよい。たとえば、証券会社の投信積み立てサービスを利用して、毎月3万円ずつ積み立てる、という形だ。
一度、銘柄と金額を設定すれば、あとはほとんど手間がかからない。購入時のポイントは二つだ。運用管理費用(信託報酬)ができるだけ低い投資信託を選ぶこと。そして、長期的に保有して初めて儲かると心得ることである。
資産運用というと、資産を売り買いすることだと思いがちである。しかし、資産運用とは基本的に資産をただ「持っていること」だという。積み立て投資(ドルコスト平均法)は、投信の価格の変動に関係なく定期的に同額の投信を購入する。そのため、価格が高いときには自動的に少ない口数が積み立てられる。逆に価格が安いときには多くの口数が積み立てられることになる。
著者は、15年の間にリーマンショックなどの世界的な市場の大暴落を幾度となく経験している。しかし、その苦難を耐え、インデックス投資を続けたことで、2~3年でV字回復を果たした。
このようにインデックス投資は、すぐには儲からないし、一時的に損失が生じることもある。しかし、長期的に見れば、時間をかけてゆっくりと、そして着実に資産形成ができる。これこそが世界標準の投資法なのだ。
ではインデックス投資を始めるにはどうしたらいいのか。著者が実践するインデックス投資の手順は以下のとおりだ。
(1)家計の状態を把握する:ざっくりとした1か月の生活費を把握する。まずは、給料の残高がプラスになっていればよい。
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