今日の経済危機は、1971年8月15日から始まった。この日、アメリカのリチャード・ニクソン大統領は金本位制度を撤廃し、米ドルが不換通貨になった。不換通貨とは、政府による取り決め以外、価値のあるものによる裏付けがない通貨だ。結果、アメリカはためらうことなく、紙幣の印刷ができるようになった。
今世紀最初の10年間に、世界はドットコム暴落、サブプライム問題による不動産暴落、巨大銀行破綻による株式市場暴落という3つの大きな暴落の経験をした。市場暴落が起こるたびに、経済崩壊を防ぐべく多くの紙幣が印刷された。紙幣の流通量が増えることで、お金の価値が下がり、今日では預金金利はゼロに近いかゼロ以下だ。マイナス金利によって、銀行はお金を預かるだけで手数料を取る。そのために、お金のために働き、貯蓄する者が負け組になるのだ。
一方、金持ちは金持ちのルールに則って、さらに金持ちになっている。そのルールには、「税金」を合法的に抑えることや、「借金」を利用することが含まれる。
まず、税金によって金持ちがもっと金持ちになる仕組みを、キャッシュフロー・クワドラントという概念を使って説明しよう。キャッシュフロー・クワドラントは、四つの区分、つまりクワドラントから成り立っている。私たちは、この四つのクワドラントのうち少なくとも一つに属している。どこに所属するかは、お金がどこから入ってくるかによって決まる。左上は、会社のために働いて給料をもらう従業員、E(employee)クワドラントだ。左下は、自分のために働いて収入を得る自営業者、S(small business)クワドラント。右上は、自分の所有するビジネスから収入を得るオーナー、B(big business)クワドラントだ。右下は、投資から収入を得るプロの投資家、I(investor)クワドラントである。
クワドラントによって納税率は違っている。Sクワドラントの納税率は60%で一番高く、Eクワドラントは40%、Bクワドラントは20%と続き、Iクワドラントはなんと0%である。
なぜ、右側のBとIのクワドラントは税率が低いのだろうか。それは、B・Iクワドラントはより多くの政策減税を受けることができるからだという。この2つのクワドラントの活動は、政府の仕事である経済状況の改善、雇用の創出、国民や企業への物資の供給などを補助する重要な役割を担っている。金持ちは、B・Iクワドラントに所属して、税の優遇措置のために働く。彼らは税控除を通じて、間接的により多くのお金を稼いでいるのだ。
金持ちがもっと金持ちになる理由には、借金をうまく使っているということも挙げられる。
クレジットカードを例にして、借金の使い方をみていこう。あなたがクレジットカードを手に入れたとする。その口座にお金は入っておらず、あなたの信用があるだけだ。あなたは買い物に行き、100ドルの靴を買う。靴の代金をクレジットカードで支払うと、100ドルのお金が創造され、同時に100ドルの「負債」も抱える。
一方、金持ちは、
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