日本長者番付にランクインする社長としない社長、その違いはどこにあるのだろうか。それは、個人の優秀さの差でも、社長を務める企業の時価総額の差でもない。違うのは、会社という「箱」を持っているオーナー社長なのか、それとも雇われ社長なのかという点である。
上場企業のサラリーマン社長は、役員報酬を受け取るだけで精一杯だ。任期も短く、大きな資産を形成することはできない。一方、オーナー社長であれば、役員報酬だけでなく、保有株式の配当も受け取ることができる。だから著者は本書で、「会社を買う」ことをすすめている。
オーナー社長として会社という「箱」そのものの価値を上げれば、引退のタイミングで会社を売却することも可能だ。中小企業のM&A(会社の合併・買収)の相場は、1億1000万円程度だ。労働対価に加え、株式の売却益による収入を得られるということである。
平均寿命はのび続け、今後は100歳まで生きることが珍しくなくなる時代が来る。60歳、または65歳で定年退職したとして、その後40年生きるということだ。私たちの老後は本当に大丈夫なのだろうか。
それなりの生活レベルを維持するためには、年金に加えて夫婦で月々20万円ほどの費用がかかる。つまり、引退後40年の間に悠々自適の暮らしをし、老後破産を防ぐには、1億円近くの費用がかかるということだ。会社を買い、オーナーになるということは、老後の生活を安定させる意味でもメリットが大きいといえよう。
資本家になるには、会社を買うことのほかに、起業するという方法もある。しかし、この方法はおすすめできない。なぜなら起業はあまりに難しいからだ。ゼロから自分の事業を作り出し、ようやくイチになったものを10まで育てていくことができる人は、ほんの一握りの天才だけだ。
サラリーマンは、ゼロから新しいものを創出した経験がない。「新事業を立ち上げたことがある」という人がいるかもしれないが、それは、
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