2025年までに人口増加によって新たに10億人が地球上に加わり、高齢化が急速に進む。来年生まれる子供は今日生まれる子供よりも、平均寿命が6カ月長くなるという。
生産年齢人口が年少者や老年者をどのぐらい支えているのか。これを示す比率を「従属人口指数」と呼ぶ。この数値の上昇は多くの国にとって問題となっており、対策として若者の多い国からの移民、女性の社会進出、定年年齢の引き上げが進んでいくと予想される。
欧米では格差の拡大によって中所得層が相対的に減少する。ミドルクラスの仕事はAIに取って代わられ、とくにアメリカでミドルクラスは着実に減少するだろう。
定年後の長い生活を支えるべく、人々はかつてよりも長く働くようになり、それを支える制度や政策が登場することにも言及しておきたい。高齢者や慢性病患者に医療を提供するべく、医療費の増大は避けられない。医療費の対GDP比が20パーセントに達すると、医療制度が持続不可能に陥るため、政府は予算と優先順位について難しい決断を迫られることになる。住み慣れた自宅や地域で、家族とともに人生をまっとうしたいという高齢者の願いをかなえるべく、医療の分散化を推進する医療改革も必要とされていくはずだ。
人々が都市に住むようになると、インフラに大きな負担がかかる。そのため高い生活の質を長期にわたって提供する都市づくりが欠かせない。
気候変動や紛争、資源の枯渇、格差を理由に、今後50年の間で大量の人口が北半球に押し寄せ、10億人もの移民が発生すると見られる。こうした大量の人口移動に対処するため、新興経済国は鉄道網や道路網の建設に投資して、ヒトとモノの効率的な輸送を実現しようとしている。一方で先進国は、負の遺産となったインフラの維持に追われるだろう。
今後の変化として注目すべきなのが自動運転技術だ。完全自動運転への移行が実現すれば、幹線道路を自動運転のトラック団が走行し、都市の中を小型の配達カーが行き交うようになる。運送効率の大幅な改善がなされるはずだ。
一方で都市人口の急増によって、大気汚染や公衆衛生はさらに深刻な問題となる。これまで環境に及ぼす長期的な影響に配慮するつもりのなかった中国も、「生態文明」という言葉のもと、持続可能な開発を掲げはじめている。
中国とインドが台頭し、経済力の重心は東へと移動している。これまでの超大国はこの変化の速度を抑えようとしているが、膨大な人口を抱え、天然資源が豊富な場所という2つの事実は動かしようがない。中国が今後も経済的な影響力を及ぼすのに伴い、“中国崇拝”が高まるはずだ。その文化的な影響力が増すにつれ、中国に対する期待と恐れが急速に広まると予想される。
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