占いの目的の大半は、開運である。開運と聞いて「うさんくさい」と思う人もいるだろう。しかし、開運の仕組みは論理的に説明できる。運とは、完全な他力本願や神頼みで手に入れるものではなく、他人や外部環境を利用しながら、自ら切り開くものだからだ。
角田さんは、自分の希望を叶えてくださいと神社にお願いするのではなく、プレゼンすることで運が開くという。「願いを叶えていただいたら、世のため人のため、そして自分のために、こんないいことが起こります!」と伝えるのだ。
現に彼は、箱根の芦ノ湖畔にある九頭龍(くずりゅう)神社に、毎月13日の「月次祭(つきなみまつり)」という神事のタイミングで参拝し、これまで様々な願いを叶えてきたという。月次祭の祝詞が奏上されている数十分間、頭を垂れたまま、これからすべきことや具体的なビジョンを脳内にイメージする。つまり、神様へのプレゼンの最中に、行動指針を反すうすることで、脳が目的達成のための仕様に徹底的にチューニングされていくわけだ。また、わざわざ、その場にその時間に行くことで、自分の中の覚悟が決まる。さらには、その面倒なことにコミットしたという事実が脳内を活性化させ、結果として願いが叶う。まさに願いを叶えるテクニックといっていいだろう。
これと同じように、角田さんが接してきた「運がつきまくっている」芸能人や文化人の言動や思想にも、運を引き寄せる仕組みが内包されている。この開運のテクニックを記したのが「運の技術」というわけだ。
角田さんと25年来の付き合いになる明石家さんまさんは、「めちゃくちゃいい人だけど、めちゃくちゃ恐い」人だという。なぜ恐いのか。それは、自分の名前で番組を背負って勝負しているからだ。さんまさんがMCを務めていた『さんまのSUPERからくりTV』がつまらないと評価されれば、たちまち自分自身もつまらないことになってしまう。そのため、番組への理解力もコミット力も半端なく、番組作りに厳しくなり、それが運を上げることにつながっているという。
「運を上げる」とは「自分の名前で勝負すること」であり、何事も「自分ごと化」するのと同義である。たとえば、仕事上で相手に無理をお願いするときに、「すみません、こっちも仕事なんで」「一応、そういう決まりでして」という人は、責任を負っていない。自分の名前で仕事をしていれば、「僕の顔に免じて許してください」という言葉が出るはずだ。運を上げたいのなら、所属組織に甘えず、自分の名前で勝負できる人でありたい。
世の中には同じことをいっても、許される人とそうでない人がいる。めざすべきは「いっても許される、チャーミングなキャラ」だ。人懐っこさを身につければ、チャーミングさが増し、人が寄ってきて、チャンスを運んでくる。
また、「なんでも口に入れてみる気質」も、チャーミングさを押し上げてくれる。とにかく流行に首を突っ込んでみる、誘いには可能な限り乗ってみるとよい。開運のためには、チャーミングであれ。
不運が降りかかるのを避けたいと思う人は多い。とはいえ、「厄払い」すればいい、というわけでもない。芸能人の中にはあえて厄払いしない人が多い。それは厄を捨てると、運も一緒に捨てることになると考えているためだ。著者がトーク番組『オトナの!』(現在は『オトナに!』)を一緒にやっている、クリエイターいとうせいこうさんは「厄という犬を飼い慣らす」という表現を用いる。彼によると、厄と同居したまま、それをどう飼いならすかが大事だという。
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