AI技術の登場などにより、ビジネス環境は急速に変化している。どんなに優秀な人でも、そのスキルは刻一刻と陳腐化してしまうだろう。しかしそうとはわかってはいても、部下の育成とマネジメントをしつつ、みずからの業務をこなしていては、勉強する時間もないというのが正直なところではないか。
とはいえ今後「働き方改革」が進むにつれて、そう悠長なことはいっていられなくなる。ひとつの専門性やスキルを極めるだけでは、不十分な時代がやってくるからだ。
これまでは在籍期間の長さや経験値が有利に働くことも多かった。しかしこれからはそうはいかない。政府の推し進める「同一労働同一賃金」のもとでは、在籍期間の長さや経験値の有無は関係なくなる。
ビジネススタイルは「職能型」から「職務型」へ移り変わり、業務は標準化され、やるべき職務を完遂できる人が評価されるようになる。しかも会社は同じ職務ができる人材を複数人育成するため、「特定の人がいなくても会社は困らない」という時代がやってくるはずだ。
人が100歳まで生きる時代において、もはや定年という概念はないに等しい。ひとつの専門性やスキルを身につけるだけでは、これからの人生100年時代を生き抜くことはできないだろう。やるべき職務をこなすことができれば、35歳だろうと75歳だろうと関係ない。
ビジネス環境がめまぐるしく変化する環境にあっては、「できる職務」がいくつあるかということがきわめて重要になる。だからこそ求められるのが、職務対応型の学びだ。これからは60歳になっても70歳になっても、新しいものを学びつづける姿勢が必要不可欠になる。
日本の課長クラスは忙しい。部下の育成やチームのマネジメントをこなしながら、みずからも業績を達成しなければならないからだ。仕事に忙殺され、勉強のための時間を捻出するのが難しいと感じている人は多い。
しかし忙しさにかまけてインプットを怠っていると、いずれはビジネス環境の変化に置いていかれてしまう。いまのような時代では、アウトプットの倍くらいインプットしてちょうどよい。
プレーイングマネジャーとして働きながら、なにかをインプットしようとするならば、まとまった時間を作ろうとしたり、大きなゴール設定をしたりしてはいけない。たいていは継続できずに、自己評価を下げて終わることになる。どんなことでもいいから、小さく始めてみる姿勢が大事だ。
ただしここでいうインプット、つまり「学び」とは、無目的に難しい本を読むことや、カルチャースクールに通うことを指しているのではない。どうせやるからには、仕事で結果を出しつづけ、収入を得るための学びであるべきだ。
仕事で結果を出すための学びというと、真っ先に頭に思い浮かぶのが、語学学習や資格取得などの勉強ではないだろうか。もしかすると業務に直結する資格がなくて、なにを学べばいいかわからないという人もいるかもしれない。
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