日本では、長時間労働が常態化しており、社畜という言葉さえ使われているほどだ。それにもかかわらず、生産性は世界最低レベルである。
日本の1時間当たりの労働生産性は、OECD加盟国35カ国のうち20位で、主要先進7カ国のなかでは最下位だ。1990年には米国の4分の3に近い水準であったが、2000年には7割前後に低下し、2010年に入ってからは3分の2程度と、米国との差は拡大するばかりである。
2011年~2012年、先進国24カ国・地域を対象として、「OECD国際成人力調査」が実施された。調査項目は、「仕事や日常生活で必要とされる汎用的スキル」として、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野である。その結果、日本は、3分野すべてにおいてトップを獲得した。また、日本人の特徴として、職種や階層による能力格差が少ないことも明らかになった。つまり、教育に投資し、労働者1人当たりの生産性を高めればいいということだ。しかし、世界33カ国・地域の労働者を対象として調査したところ、勤務先企業が費用を負担する研修などを受けている割合は、日本が最下位となっている。日本においては、勤務先からの支援の男女差が大きいこともわかった。
2014年、米ペンシルベニア州立大学の研究チームは、家庭と仕事に関する調査結果を公表した。これは、1日6回、被験者に4つの項目を記録させる調査だ。4つの項目とは、(1)場所(職場か家庭か)、(2)気分(ハッピーかどうか)、(3)ストレス、(4)コルチゾール値だ。コルチゾールとは、ストレスを感じたときに分泌されるもので、被験者は自身の頬をこすり取ることでその値を測定した。
その結果、性別、未婚・既婚、子どもの有無にかかわらず、家庭にいるときよりも職場にいるときの方がストレスが少ないことがわかったという。これは、
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