「過労」とは、働き過ぎた末にたまった疲労がそのまま回復しない状態である。疲労は「身体的疲労・精神的疲労・脳疲労」の3種類に分かれる。このうち、精神的疲労はプレッシャーや不安などを感じた際に生じる疲労だ。そして、エネルギーを使い過ぎたときに待ち受けるのは「うつ病」である。
脳疲労もうつ病を引き起こす要因となる。脳疲労は脳を長時間使うことで生じるが、通常なら寝れば回復する。しかし、疲労の度合いがひどくなり過ぎた場合、交感神経が過剰に働いて眠れなくなる。最終的に体のエネルギーが枯渇してうつ病になってしまう。肉体労働からくる身体的疲労が原因の過労死もあるが、ホワイトカラーが多い私たちの職場環境では、この精神的疲労、脳疲労の2つが絡み合い、同時に起きている。
こうした過労がもとで命を落とすのが「過労死」である。過労死の調査によると、過労の原因は大きく3つに分けられる。長時間労働、人間関係の悪化、仕事の内容である。大事なのは、過労の兆候を見逃さないことだ。
過労の症状は様々である。眠れない、やる気が出ない、めまい、頭痛などの症状が表れるといった具合だ。中でも、最も注意すべきなのは「不眠」である。睡眠不足は、うつ病の発症と相関関係にある長時間労働よりも危険だという。
睡眠の質を確かめるには、次の5つで評価するとよい。(1)寝付きはよいか、(2)中途覚醒の有無、(3)早朝に目覚めるか、(4)目覚めの感覚、(5)日中の眠気。
各質問のチェックポイントは次の通りだ。(1)は寝床に入ってから30分以内に入眠できるか。(2)は中途覚醒の理由だ。たとえばトイレではなく仕事が頭に浮かんで起きてしまうのは「危険」だと判断できる。(3)については眠りの深さを見る。早朝に目覚めるのは眠りが浅い証拠だ。そして(4)朝目覚めたときにしっかり疲れが取れており気力も回復しているかについて確かめる。最後の(5)については、脳が夜の間に十分休めていれば日中に眠くなることもないので、日中の眠気の有無で確かめる。
睡眠で一番重要なのは質である。睡眠時間は7時間半が理想だが、その質が高ければ比較的短くても十分回復できる。まずは5つの評価項目に沿って、睡眠で疲れが十分に取れているかどうかを確認していただきたい。
著者からの不眠に悩む人々へのアドバイスは、「寝る前に2時間のリラックスタイムを持つ」である。2時間もあれば、仕事モードから休息モードに切り替えられ、過労を防ぎやすい。
では、その2時間をどのように使えば、上手く休息モードに移行できるのだろうか。最も避けるべきなのはゲームなどスマホの操作だ。画面からの光が交感神経を刺激すると、休息モードに入りづらくなる。ただし、スマホで友人と会話することが気分転換になるという人は、無理にやめる必要はない。
3,400冊以上の要約が楽しめる