世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

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世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2018年04月26日
評点
総合
4.5
明瞭性
5.0
革新性
3.5
応用性
5.0
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おすすめポイント

脳卒中や心筋梗塞、がんなどのリスクを減らし、健康を維持したまま長生きするには、どのような食事をすべきなのか。それを科学的に説明しているのが本書だ。

食に関する正しい情報をもたないばかりに、無意識に病気に近づく選択を積み重ね、脳梗塞やがんになってからはじめてそれを自覚する――これではあまりに不幸である。健康になるか病気になるのか、自分の意志で選択する力をもってほしいというのが、本書を著した最大の理由だと著者は語る。

健康的な生活を実現するためには、日々なにを口にするかがきわめて重要だ。だが情報過多な昨今、自分が必要とする正確な情報を選び取るのは容易ではない。一見すると正しそうでありながら、科学的根拠(エビデンス)のない「健康情報」が世の中にはあふれている。いまあなたが信じている健康情報は、本当に正しい情報だろうか?

医療政策学者でもあり医師でもある著者は、膨大な研究論文からエビデンスを読み解く教育を受け、日々研究を続けている。そうした経験にもとづき、現時点でもっとも「正解に近い」と考えられる食事を本書では紹介している。食事を通して健康になりたければ、5つの「健康によい食品」を食べ、3つの「健康に悪い食品」を避ければいい。実にシンプルだ。まさに書名に偽りなしといえるだろう。

ライター画像
小島和子

著者

津川 友介(つがわ ゆうすけ)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)内科学助教授。東北大学医学部卒、ハーバード大学で修士号(MPH)および博士号(PhD)を取得。聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード大学勤務を経て、2017年から現職。共著書に『週刊ダイヤモンド』2017年「ベスト経済書」第1位に選ばれた『「原因と結果」の経済学:データから真実を見抜く思考法』(ダイヤモンド社)。ブログ「医療政策学×医療経済学」で医療に関する最新情報を発信している。

本書の要点

  • 要点
    1
    本当に健康によいと考えられる食品は、魚、野菜と果物、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツ類の5つだ。逆に健康に悪いのは、赤い肉と加工肉、白い炭水化物、バターなど飽和脂肪酸の3つである。
  • 要点
    2
    健康のためには食品の「成分」だけに着目すべきではない。食品全体としては身体によくても、成分だけを取り出して摂取すると逆効果のこともある。
  • 要点
    3
    日本食は健康的というイメージがあるが、白米と塩分が多いため、科学的にみると「体によい」とはいえない。推奨すべきは、健康によい食品を多く含む「地中海食」である。

要約

【必読ポイント!】 日本人が勘違いしがちな健康常識

白米は砂糖と同じ
ShinjiPhotographer/iStock/Thinkstock

世の中には食と健康に関する情報があふれている。だが残念なことに、国内で出回る情報の質は驚くほどひどい。玉石混交な情報に惑わされないために、科学的根拠(=エビデンス)にもとづいた、本当に健康になれる食事を理解するべきだ。

数多くの信頼できる研究によって、本当に健康によいと考えられる食品は、次の5つであることがわかっている。(1)魚、(2)野菜と果物、(3)茶色い炭水化物(詳しくは後述)、(4)オリーブオイル、(5)ナッツ類である。

逆に健康に悪いとわかっているのは、(1)赤い肉(牛肉や豚肉)と加工肉(ハムやソーセージ)、(2)白い炭水化物、(3)バターなどの飽和脂肪酸、以上の3つだ。

「茶色い炭水化物」というのは、玄米や蕎麦、全粒粉を使ったパンなど、炭水化物のうち精製されていないものを指す。一方の「白い炭水化物」とは、精製された白米、うどん、パスタ、小麦粉を使った白いパンなどである。

炭水化物と糖質は同義として扱われることが多い。しかし厳密にいうと、糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物である。茶色い炭水化物には食物繊維が多く、白い炭水化物には少ない。極限まで食物繊維をなくしたものが砂糖だ。白米は砂糖とほぼ同じ性質をもったものなのである。

健康を保つ食生活の秘訣はシンプルだ。健康に悪い食品を、健康によい食品に置き換えればいい。たとえば牛肉・豚肉・白米の摂取を減らし、もっと魚や野菜を食べるようにすることだ。

「科学的」の根拠を知ろう
PeterPal/iStock/Thinkstock

エビデンスをもとに単純化して考えると、すべての食品は5つのグループに分けられる。健康によいことが複数の研究で明らかになっている食品をグループ1とし、健康に悪いことが複数の研究で示されているものをグループ5としよう。ひょっとしたら健康によい、もしくは悪いことが少数の研究で示唆されている食品は、それぞれグループ2と4となり、健康へのメリットもデメリットも報告されていない食品はグループ3に分類される。このうちメディアで取り上げられる「体によい食品」のほとんどはグループ2だ。そうしたエビデンスが弱い情報に一喜一憂しても意味はない。

エビデンスについてもう少し詳しく述べよう。医学研究は「ランダム化比較試験」と「観察研究」に大別される。前者は研究対象を2グループに分け、片方のグループにだけ健康によいと思われる食品を摂取してもらう方法である。一方で観察研究とは、ある集団における食事に関するデータを集め、特定の食品を多く摂取しているグループとそうでないグループを見つけて分析する手法だ。

一般的にいうとランダム化比較試験のほうが、エビデンスは強いとされる。しかしさらに強い「最強のエビデンス」をもつのが、複数の研究結果をとりまとめた「メタアナリシス」と呼ばれる手法で導かれた結果である。なお当然のことながら、観察研究のメタアナリシスよりも、ランダム化比較試験のメタアナリシスのほうがエビデンスは強い。

今後も「エビデンス」という言葉を用いる、あやしい情報や商品が増えていくだろう。その際の判断材料として、エビデンスには強弱さまざまなレベル差がある点に留意するといい。

「成分」に惑わされるな!

食べ物には、肉や野菜といった「食品」と、リコピンや糖分といった「成分」という、2通りの考え方がある。だが「健康的な食事」という観点で見ると、成分はさほど重要ではない。食品や食生活全般に注目したほうが有益である。

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要約公開日 2018.07.22
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