ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力

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ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力
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ハーバードメディカルスクール式 人生を変える集中力
出版社
出版日
2017年11月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書の表紙に大きく、「人生を変える集中力」と書かれている。ただし、読者はページを開くとすぐに驚きを覚えることだろう。なぜなら本書は、集中力を鍛えるという類書とは、まるで違うアプローチを取っているからだ。

本書の本質は「思考の整理」にある。思考を整理し、人や仕事に対する考え方を変えることで生活全体の整理を試みる。その結果、集中力は高まり、状況の変化にも適応できるようになる。こうした理想を実現するために習得すべきものは、「思考を整理する6つの法則」である。

それぞれの法則について、ハーバード大学で精神医学の准教授兼精神科医を務めるポール・ハマーネス氏は、最新の研究に基づく科学的な観点から脳の問題点と改善策を説明する。一方、心身の健康のプロフェッショナルであり、コーチ養成学校創設者のマーガレット・ムーア氏(通称メグ・コーチ)が具体的な行動方法を提案する。この1冊があれば、「整理された思考」を理解し、さらには、その実践によって効果を実感できるはずだ。

ちなみに、メグ・コーチは「6つの法則の中で得意な分野から取り組もう」とアドバイスしている。最初の挑戦で大きな成果を手にすれば、ドミノ効果によって、他の分野にも自信を持って取り組めるだろう。研ぎ澄まされた集中力によってもたらされる、密度の濃い時間を手に入れていただきたい。

ライター画像
二村英仁

著者

ポール・ハマーネス
ハーバード大学医学部精神医学准教授、マサチューセッツ総合病院精神科医。ニュートンウェルズリー病院児童思春期精神科の医師でもある。注意欠陥多動性障害(ADHD)を中心に、過去10年間脳と行動に関する研究に携わる。精神科医や精神衛生の専門家、教育関係者、家族を対象に、国内外でADHDに関する講演も行っている。臨床現場でも小児、思春期青少年、成人の治療を幅広く手がける。

マーガレット・ムーア(通称メグ・コーチ)
コーチ養成学校ウェルコーチズ創設者兼CEOとして、心身の健康にかかわるプロのコーチ向けに国際的な基準策定に携わる。ハーバード大学医学部の付属機関であるマクリーン病院コーチング研究所共同所長にして、同大学ライフスタイル医学研究所創設者兼顧問。ヘルスケア分野のコーチングに関する初の教科書(Coaching Psychology Manual)も執筆している。コーチ養成に加え、多数のコーチやクライアントが本書で紹介した変化と成長のプロセスを体験できるよう指導してきた。証拠に裏づけられた理論や概念を、長期的な変化のきっかけとなる実用的なアプローチに変換し、クライアント一人ひとりの世界を一変させる手腕に長けている。オンラインメディア『ハフィントン・ポスト』や学術誌『Psychology Today』に、コーチングと変化に関する記事を投稿している。

ジョン・ハンク
ニューヨーク工科大学でライティングとジャーナリズムを教える。長年『ニュースデイ』紙に寄稿。雑誌『ランナーズ・ワールド』の寄稿編集者。『ニューヨーク・タイムズ』『AARP ブレティン』『ファミリー・サークル』『スミソニアン』『ヨガ・ジャーナル』の各誌にも記事を記載した実績を持つ。8冊の著書があり、2005年南極マラソンを完走した自身の経験をつづった最新刊『The Coolest Race on Earth』(Chicago Review Press、2009年1月)は、米国ジャーナリスト・作家協会の2010年全国ライティング・コンテストで賞を獲得した。

本書の要点

  • 要点
    1
    思考を整理して集中力を高めるには、「思考を整理する6つの法則」という脳のスキルの習得が有効である。
  • 要点
    2
    6つの法則は次のようなものだ。(1)動揺を抑える、(2)集中力を持続する、(3)ブレーキをかける、(4)情報を再現する、(5)スイッチを切り替える、(6)スキルを総動員する。
  • 要点
    3
    集中力を高めるには、刺激の重要性を区別して、目的志向型の注意力を高めることが必要となる。

要約

【必読ポイント!】 脳のスキルの理解と実践に向けての心構え

思考を整理する6つの法則

「思考を整理する6つの法則」、それは脳の重要な機能をまとめたものである。これらは誰でも身に付けられる「脳のスキル」であり、集中力と秩序ある生活をもたらしてくれる。ここでは、それぞれのスキルの概要を説明する。

法則1「動揺を抑える」:効率的で思考が整理された人は、感情をコントロールできる。怒りや苛立ちなどの感情を、いったん脇において、やるべきことに集中できる。

法則2「集中力を持続する」:集中力は思考の整理に欠かせない土台である。集中力を保つには、集中の妨げとなるような周囲の刺激を無視できなければならない。

法則3「ブレーキをかける」:行動の制御が苦手だと、不適切な反応や行動を抑えるのに苦労する。脳の抑制機能からのメッセージを聞き入れることが重要だ。

法則4「情報を再現する」:脳は一度情報を取り込むと、その後も作業記憶によって分析や処理を続け、未来の行動指針として活用する。このスキルを活用して、多角的な角度から物事を捉えるようにしたい。

法則5「スイッチを切り替える」:集中力が大切な一方、緊急ニュースや絶好のチャンスがあれば即座に優先順位を判断して、意識を切り替えることも重要だ。これを脳の柔軟性と適応性と呼ぶ。

法則6「スキルを総動員する」:効率よく動ける人は、これら法則1~5を総動員させることで、目の前の問題やチャンスに対応する。その結果、認知機能の調和がとれ、生産性が高まる。

新たな一歩を踏み出すための3つのヒント
kieferpix/iStock/Thinkstock

6つの法則をもとに、古い習慣を捨てて、新たな一歩を踏み出すにはどうしたらいいか。そのためのヒントをいくつか紹介する。

まずは、全てにおいて決断するのは自分自身だと自覚することだ。生活を整理するために、脳の使い方を変えるかどうかを決めるのは自分である。

次に、優先順位を明確にすることだ。6つの法則のうち、自分が得意だと感じるものから取り組むのが望ましい。短期間で大きな成果を達成できれば、自分にとって難しい他の分野に取り組む際の自信につながるだろう。いわば、ドミノ効果が期待できる。

そして、自分専用の処方箋を見つけることである。人は手っ取り早い解決策や近道を求めようとする。しかし、自分に最適なアプローチ方法は地道に見つけていくしかない。本書には、科学的根拠に裏付けられた法則、役に立つテクニックが掲載されている。その中から、選択して実験を重ね、今の自分に一番合う方法を判断するようにしたい。

感情のコントロール

法則1「動揺を抑える」
Ridofranz/iStock/Thinkstock

「思考を整理する6つの法則」の1つ目は動揺を抑えること、すなわち感情をコントロールすることである。感情はときに成長を阻むこともある。思考と感情のバランスは、頭の中を整理するための大前提といってよい。

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要約公開日 2018.05.12
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