フォトリーディングとは、1分間に約60ページというスピードで、本の内容を「脳に写し取る」技法である。つまり、300ページ程の本をたった5分で読み終えるということになる。
この「脳に写し取る」という概念自体は、何世紀も前から存在していた。事実、脳のイメージ処理能力は既に立証されており、軍事訓練などの幅広い分野で使われている。重要なのは、フォトリーディングをいかに日常生活で活用するかだ。
フォトリーディングを習得した先にどのような未来が待っているのか。たとえば、あるコンサルタントは、顧客へのプレゼンの前に、何冊もの業界誌をフォトリーディングしたという。プレゼンテーションの際には、業界の動向や問題点など、圧倒的な知識を披露して見事、契約を獲得した。
こうしたフォトリーディングの効果を示す事例は、数えきれないほど存在する。そして、フォトリーディングの真髄は、そのテクニックを学ぶことで引き起こされるパラダイム・シフトにある。
フォトリーディングを習得するには、古い読書法からの脱却が必要である。たとえば、読んだ内容は一度で理解しなければならないという固定観念にとらわれていないだろうか。
一度で理解するというのは、「文章構成の把握」「キーワードのチェック」「要旨の理解」「記憶」などを、たった一回で全て行うということだ。これが脳にとって過剰な負担になるのはもっともな話である。その結果、「読んでも頭に入ってこない」という状態になってしまう。まずは古い読書法を見直し、思い切ってネガティブな思いこみを手放すことが必要だ。
「能動的で、目的意識を持ち、探究心にあふれ、集中している」。これこそが最高の読書である。フォトリーディング習得プログラム、すなわち「フォトリーディング・ホール・マインド・システム」を学べば、このような読み方が可能となる。そして、手にするのは読書法だけではない。記憶力や想起力が向上し、読書の楽しさが増す。
さて、第一に理解しておくべきことは、脳の情報処理方法が、通常の読書の場合とまったく異なるという点である。フォトリーディングは、分析や論理的思考を司る左脳だけでなく、イメージや直観力を担う右脳も含めたホール・マインド(全脳)を駆使した読み方である。
1秒間に1ページという速さは、一字一句読むという、意識を使った読み方ではまず不可能に近い。無意識レベルで文字情報を処理することで初めて実現するのである。
ここからはいよいよ実践編だ。フォトリーディング・ホール・マインド・システムは、準備、予習、フォトリーディング、復習、活性化の5つのステップを経る。
最初のステップは「準備」だ。これは全てのステップの中心となる。ほんの少し準備に時間を割くだけで、集中度や理解度、記憶への定着度は格段に向上する。
具体的な準備方法として、2つの手順がある。1つは、文章を読む目的を明確にするということ。本を読み終えた後に自分がどうなることを期待するのか。
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