企画をつくるときにありがちな行動として、「頭をひねって考える」「インターネットで検索する」といったものがある。しかし、頭をひねって考えると、いつも同じような企画ばかり浮かんでしまう。インターネットで検索しても、他者の企画と似たものしか生まれないものだ。
その課題を解決するため、著者は、企画づくりの材料になりえる情報や思いつきを「ネタ」と呼び、新しいネタをEvernoteの「ネタ帳」にメモする習慣をつけている。ネタ帳にメモすべきなのは、「新しいものごと」「変わっているものごと」「なんだか面白そうなものごと」ではなく、自分の欲求を動かす「欲しいと思うものごと」だけだ。「面白そう」「新しい」というだけの企画をつくってしまうことがあるが、「これは絶対に欲しい」と感じるような企画でなければ、大成功することはないからである。
著者は主に、Webや、リアルな場である販売店や、会話の中からネタを見つける。
Webでは、RSSリーダーとTwitterを活用する。RSSリーダーとは、登録しておいたサイトで記事の更新があったかどうかがわかるアプリケーションだ。著者は「ギズモード・ジャパン」「ガジェット通信」などを定期的にチェックし、「欲しいと思うものごと」を拾い出している。
Twitterでは、興味のあるアカウントをフォローしておき、その人たちがツイートしたり、リツイートしたりした情報をチェックしている。加えて、「したい」「欲しい」といったワードでツイートを検索し、いろいろな人の欲求を見るようにしている。ただし、他人の欲求はそのままメモせず、たとえば「ペアルックやってみたい」というつぶやきをヒントに、「夫婦でペアルックイベントがあれば参加してみたい」という具合に自分の欲求が生まれた場合だけ、ネタ帳にメモするのだ。
Web以外のリアルな場においては、いろいろな店舗を観察し、自分が買いたいと思った商品をチェックする。特に、商品の良さを伝えるためにつくられた「パッケージ」は大きなヒントになる。ロゴやコピーなど、そのパッケージのどこにひかれたのかも簡単にメモしておこう。
人との会話もヒントになる。著者は、面白い人に出会ったら、2人で食事に行き、相手が好きなことやハマっていることを聞く。自分以外の人が「欲しいと思うものごと」を知るためだ。
もちろん、ふと頭に浮かんだネタも逃してはならない。ネタ帳には、外部で見つけたネタと自分で思いついたネタが混在していてよい。
ネタ帳があっても、そこからいきなり企画をつくることはできない。企画を作る前段階として、企画の原案となる「アイデア」を考える必要がある。アイデアをたくさん考え、そこからいいアイデアを選び出し、多くの人の欲求を動かすための具体的な方法を考え出す流れだ。
いいアイデアは、探してすぐに見つかるものではない。アイデアの段階では実現できるかどうかにとらわれる必要もないので、質よりも量を優先して多くのアイデアを出そう。
また「いいアイデアを出したい」と意識すると、発想にブレーキがかかってしまうことにも気をつけたい。むしろ、ダメなアイデアから出してみよう。最初に出したアイデアがダメであっても、それを少しだけ変えてみたり、ちょっと現実的にしてみたりと視点を変えていくことで、2つ目、3つ目のアイデアが出やすくなるからだ。
アイデアは、「考えたいお題」と「ネタ」をかけ合わせてつくる。
あなたが新しいヘルスケアアプリを考えなければならない状況だとしよう。その場合、お題は「ヘルスケアアプリ」だ。お題とネタ帳にメモしたネタをかけ合わせてアイデアをつくっていく。
たとえば、ネタ帳に「家の掃除代行サービス」とメモしてあったとする。
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