理想の会社をつくるたった7つの方法

日本でいちばん大切にしたい会社・サーベイ編
未読
理想の会社をつくるたった7つの方法
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日本でいちばん大切にしたい会社・サーベイ編
未読
理想の会社をつくるたった7つの方法
出版社
出版日
2017年11月09日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

会社経営における最大の目的・使命とはなにか。

本書によるとそれは「その組織に関係する人々の幸せを追求し実現すること」だという。業績や勝ち負けはそのための手段、もしくは目的・使命を果たした結果にすぎない。経営者や管理職が幸せを追求するべき対象は、あくまで社員とその家族であり、会社に直接の利益や報酬をもたらす株主や顧客ではないと著者たちは考えている。社員やその家族をとことん重視した経営のほうが、最終的には会社の業績にもつながるからだ。

とはいえ最初から良い組織をつくるのは難しい。業績に対する不安感や経験不足からくる自信のなさで、社員を翻弄してしまうことも少なくないだろう。著者のひとりである渡辺尚氏も、まさにそのような経験をしてきた経営者だった。だがもうひとりの著者である坂本光司氏の著書『日本でいちばん大切にしたい会社』に出会ったことで、考え方が変わったのだという。

度重なる過労死や過剰な残業が問題となり、働き方が見直されている昨今、「社員の働く幸せ」を追求することが会社の幸せにもつながるという認識は広まりつつある。

本書は5万人への共同調査によって得られたデータから、理想の会社をつくる7つの方法を導き出した、『日本でいちばん大切にしたい会社』のサーベイ編だ。労働人口がますます減っていく日本において、人財を大切にしない会社が生き残れるはずもない。これからの働き方のスタンダードが示された一冊である。

ライター画像
池田明季哉

著者

坂本 光司 (さかもと こうじ)
1947年、静岡県生まれ。2018年3月、法政大学大学院政策創造研究科教授を退官。人を大切にする経営学会会長。他に経済産業省やJICA等、国や自治体、団体の委員多数を務める。専門は中小企業経営論、地域経済論、障がい者雇用論。主要著書に『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ〈1~6〉(あさ出版)、『経営者の手帳』(あさ出版)、『「日本でいちばん大切にしたい会社」がわかる100の指標』(共著、朝日新書)、『モノづくりで幸せになれる会社となれない会社』(共著、日刊工業新聞社)などがある。

渡辺 尚 (わたなべ たかし)
1989年、テンポラリーセンター(現・パソナグループ)入社。1998年3月より、再就職支援事業・人材紹介事業を核とするパソナキャリア代表取締役に就任。再就職支援業界でトップシェアを獲得。2010年3月にパソナと合併。パソナ取締役副社長COO、パソナキャリアカンパニー カンパニープレジデントに就任。日本CHO協会専務理事、人を大切にする経営学会常任理事、他。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本経済は急激な人口減少により、人不足の時代に入った。今後の人口動態を考えると、これからもこの状態は変わらないだろう。それどころか年を追うごとに、人不足はいっそう深刻になっていくはずだ。そうしたなかで重要になるのが、業績ではなく人財を大切にする経営である。
  • 要点
    2
    調査の結果、良い会社には7つの共通するキーワードがあることが明らかになった。それは「社員の幸せが大切にされている」、「経営理念が実践されている」、「協力企業やお客様を大切にしている」、「理念採用をし、人材育成に力を入れている」、「話し合う風土がある」、「社内に一体感がある」、「納得性の高い人事評価がなされている」である。

要約

良い会社はどうすればつくれるのか

人不足時代に求められること
twinsterphoto/iStock/Thinkstock

日本はいま大きなパラダイム転換を迎えている。バブル崩壊以降に続いていた景気低迷と人余りの時代が終わり、急激な人口減少と人不足の時代に入った。今後の人口動態を考えると、かつての人余りの時代に戻ることはなく、むしろ人不足は年を追うごとに深刻になっていくだろう。

生産年齢人口は毎年50万人以上減少しつづけており、2032年の生産年齢人口は6700万人まで減ることが予想される。これは現在よりも1000万人少なく、生産年齢人口ピーク時の1995年から比べると、じつに2000万人減少する計算だ。このような社会に対応するためには、人財に対する考え方を根本から変え、働き方改革を進めていく必要がある。

人口が大幅に減っている日本にとって、働き方改革とは「人財獲得競争」と「生産性改革」にほかならない。人財がやって来たくなるような魅力ある企業風土をつくり、世界的にも低いといわれている労働生産性を改善していくべきだ。

「良い会社」プロジェクト

日本国内の事業所の数は554万、全従業者数は約5743万人といわれている。単純計算すると554万人のリーダーが、平均10人の部下を見ているという状況だ。経営リーダーの多くは経営の苦しさ、そして自分の能力の限界に悩んでいるだろう。

そうした問題を一人で抱え込まずに解決する手段として、「良い会社サーベイ」が発足した。対象企業の全社員に対するアンケート調査を実施し、その結果をもとに現在の問題をあぶり出し、解決案を考案。日本企業の経営リーダーを正しく導くというプロジェクトである。

この調査をもとに導き出されたのが、「良い会社」づくりのポイントというべき7つのキーワードだ。それは「社員の幸せが大切にされている」、「経営理念が実践されている」、「協力企業やお客様を大切にしている」、「理念採用をし、人材育成に力を入れている」、「話し合う風土がある」、「社内に一体感がある」、「納得性の高い人事評価がなされている」である。

【必読ポイント!】7つのキーワード

社員の幸せが大切にされている
nd3000/iStock/Thinkstock

良い会社は社員の幸せを大切にする。しかもそこには「社員の家族の幸せ」も含まれている。社員は自分自身の幸せだけでなく、家族の幸せが大切にされていると感じると、高いモチベーションで仕事に向き合うようになり、顧客のことをより大切に扱うという。

その理由のひとつは「返報性の法則」と呼ばれるものだ。人は誰かから何かを与えられると、本能的にそれを返したいと思う。これは誰もが抱く強い感情で、恩師への感謝や親孝行もここに含まれる。それと同様に、会社から大切にされていると感じる社員は、自分もその会社を大切にしようと考えるのだ。

そのような社員が多くいる会社の顧客満足度はかならず向上する。なぜなら顧客のために努力を惜しまないことが、自分を大切にしてくれた会社への最大のお返しとなると理解しているからである。

顧客満足度が上がれば、リピーターが増える。リピーターが増えれば口コミで話題になり、新規の顧客が参入する。そして業績が大幅に上がる。こうした良い流れの根本にあるのはいつも、社員の幸せがあることを忘れてはならない。

経営理念が実践されている

高い業績と社員満足度を実現している良い会社は、例外なくしっかりとした経営理念をもち、それを実践している。しかも良い会社の経営理念には、自社の成長や利益を追い求めるだけではなく、社員が誇りに感じるような高い社会貢献性が織りこまれていることが多い。

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要約公開日 2018.05.17
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