サービス産業が市場の大部分を占めているいま、人材が企業の命運を握っているといっても過言ではない。人材は転職インフラが発達したことにより流動化し、価値観も多様化。高い報酬や地位だけでなく、仕事のやりがいや自己成長も求められるようになった。このような状況のなか、勝ち抜くための組織づくりをするためには、人材獲得に力を注ぐことが急務である。
優秀な人財が集まる組織をつくるためにもっとも効果的なのは、「職場のリーダーが変わること」だ。とはいえここで問われるのは、先天的な性格や才能などではない。リーダーとしての「スキル」があるかないかである。そしてスキルは学べば習得できるものなのだ。
リーダーとしてのスキルを考える前に、戦略とヒトに目を向けてみよう。戦略は会社の伸展を支えるためのものだ。だがどんなにすぐれた戦略も、それを動かすのはヒトということを忘れてはならない。
リーダーが戦略を立て、メンバーがその戦略に沿って行動することで、はじめて成果はもたらされる。だが100の戦略を立てても、50の成果しか出ないこともある。こうしたことが起こるのは、リーダーが決定的に見落としているものがあるからだ。それは行動するメンバーにも「感情」があるということである。
リーダーがメンバーの感情を動かすためには、「Unfreeze(解凍)→Change(変化)→Refreeze(再凍結)」という3つのステップを踏む必要がある。相互不信を解いて期待感を醸成させ(解凍)、共感を引き出して納得感を醸成させる(変化)。そしてそれを仕組み化し、変化を実感させる(再凍結)。「変わらなきゃダメだろ!」と変化を先に説いてみても、解凍のステップを踏んでいなければ、関係構築は停滞するだけだ。
では相互不信を解くために何が大切なのか。それは「感謝と謝罪」である。感謝と謝罪が率直にできてこそ、人間関係はスムーズなものになる。たとえ不信感があったとしても、やがてそれは消え、相互の信頼関係が生まれる。感謝や謝罪には、不信感で凍りついた気持ちを一気に溶かしてくれる効果があるのだ。
組織をぎくしゃくさせるもののひとつが、「自分がこう思っているのだから、相手もそう思っているだろう」という思いこみだ。
著者は新しくて大きなチャレンジにこそ、仕事のやりがいとおもしろさがあると感じるタイプだ。だがその思いを語りかけつづけたところ、メンバーがシラけてしまったことがあった。
メンバー全員が著者と同じタイプであれば、理解と共感が得られたかもしれない。しかし彼らの考え方は異なっていた。「メンバーたちはシラけていたのではない、メンバーを自分と同一視していた私がメンバーたちをシラけさせていたのだ」と、著者はかつての出来事を振り返っている。
自分と他人は違う。その当たり前のことに気づけば、組織の風通しは格段によくなる。
ヒトには「アタック」「レシーブ」「フィーリング」「シンキング」という4つのタイプがある。
アタックタイプは、「達成支配欲求」が満たされることによってモチベーションが高まる。いわれてうれしい言葉は「すごい」などである。
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