営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2017年09月27日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者は元野村證券のトップセールスパーソンで、起業家としても輝かしい実績を誇っている。それは才能によるところも大きいと思う読者もいるかもしれない。しかし著者は、営業に特別な才能は必要ないと断言する。

著者が良い実績を残せたのはなぜか。それは、気合いや根性に頼ることなく、徹底的な仮説の深掘りと、実践した結果を定量的に分析して独自の型を増やしたから。そして、一連の営業プロセスを繰り返しながら改善し続けたからだという。その営業スタイルを、誰でも取り組めるように体系化したのが本書だ。

営業パーソンが成長するためには、次の3つのポイントをクリアする必要がある。「仮説立て」「型化」「定量的検証」だ。営業先を選び、セールスに伺い、クロージングするという一般的な営業プロセスの随所に、この3つのポイントを組み込むことで、トップセールスに近づける。もちろん、新しいプロセスを計画し、繰り返し実践・改善する過程で、営業パーソンとして成長を遂げられる。

営業は足で稼げ。営業は人情勝負でストレスフル。こうした営業にまつわるマイナスイメージは事欠かないが、どんな仕事も営業なくして生まれない。さらには営業パーソンがいるからこそ、事業の成長と組織の発展を継続できる。本書はそんな前提のもと、営業パーソンに最大のエールと、最高レベルの知恵を届けてくれるだろう。

ライター画像
新井作文店

著者

冨田 和成(とみた かずまさ)
株式会社ZUU 代表取締役社長 兼 CEO
神奈川県出身。一橋大学卒。大学在学中にIT分野にて起業。卒業後、野村證券にて数々の営業記録を樹立し、最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンク部門に異動。その後、シンガポールでのビジネススクール留学を経て、タイにてASEAN地域の経営戦略を担当。2013年、「世界中の誰もが全力で夢に挑戦できる世界を創る」ことをミッションとして株式会社ZUUを設立。FinTech企業の一角として、月間350万人を集める金融メディア「ZUU online」や、主要なピッチコンテストでも受賞歴のある投資診断ツール「ZUU Signals」で注目を集める。これまでにシリコンバレーのベンチャーキャピタルを含む総額5.5億円の資金調達を行う。過去にGoogleやFacebookも受賞した世界で最も革新的なテクノロジーベンチャーアワード「Red Herring Asia Top 100 Winners」受賞、テクノロジー企業成長率ランキングである「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 2016年 日本テクノロジーFast50」1位受賞、「デロイトアジア太平洋地域テクノロジーFast500」8位受賞。最近は金融機関のFinTech推進コンサルティングやデジタルマーケティング支援なども行い、リテール金融のIT化を推進している。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    理想の営業パーソンになるために必要なのは、仮説思考力、因数分解力、確率論的思考法、PDCAを回し続ける力の4つだ。
  • 要点
    2
    マーケティングでは顧客の情報収集とニーズの仮説構築を行い、受付突破をめざす必要がある。
  • 要点
    3
    セールスでは、顧客のニーズ喚起が充分にできてからプレゼンフェーズに移行するのが望ましい。
  • 要点
    4
    営業の各プロセスを検証・改善し続ける姿勢が重要であり、そのモチベーション維持にはセルフトークが役立つ。

要約

営業をアップデートするために

営業パーソンにこそ「型」が必要
Anchiy/iStock/Thinkstock

他の職種に比べて、営業は低く評価される傾向にある。著者自身、飛び込み営業を経験したが、人間扱いされないこともしばしばあった。しかし、理想の営業は、顧客に求められ、成長を実感でき、ストレスフリーであることである。本書には、そんな理想の営業パーソンになるために実践すべきことが凝縮されている。

日本の営業はとかく個人任せだ。おそらく、営業プロセスの体系化が不足しているせいだろう。そのため、組織的改善に取り組めず、感覚的な経験則に則っているだけという営業パーソンも多い。しかし、これは「型」を増やすことで改善できる。

もちろん、型が必要とはいえ、マニュアルに一律沿えばいいというわけではない。顧客の期待に応えるアプローチが必須となる。それは、「何か困りごとはありませんか?」と、御用聞きをする営業ではない。顧客と会う前から仮説を準備して、顧客の課題解決をめざさなければならない。

そのため、すぐに外勤営業(セールス)に出向きたい気持ちを抑え、内勤営業(マーケティング)に注力することが望ましい。確率論でいえば、「顧客をどう説得するか」よりも、「どの顧客を説得するか」を重視したほうが、大きなインパクトを期待できる。具体的には、3対7くらいで後者のマーケティングに注力すべきだと著者はいう。

営業パーソンに必要な4つの力

では、営業が成長するために必要な4つの力とは何か。1つ目は「仮説思考力」である。この力は、日頃から物事を分解して考える習慣で身につく。著者は「仮説営業」というスタイルを実践してきた。営業プロセス全体を俯瞰し、ボトルネックがどこなのかを推論し、検証していく。これは特に、顧客の課題を特定すべき場面で力を発揮する。

2つ目は「因数分解力」だ。思考の整理、課題の見落としを防ぐのに欠かせない力で、仮説の精度を高めてくれる。まずは「営業」をプロセスで因数分解するとよい。可視化して、できるだけ細かく分解することで改善点を見つけやすくなる。営業に奇抜なアイデアは必要ない。因子の見落としさえなければ、必ず結果はついてくる。

3つ目は「確率論的思考法」である。インサイドセールスでは、課題や改善点を徹底的に数値で把握し、戦略を練っていかなければならない。この思考法を活用する最大の利点は、営業が確率の世界でしかないことを実感できることだ。営業は初めから失敗の山の上に成果を出す運命にある職種といえる。だからこそ、1件断られるたびに自己否定されたと感じてしまわないよう、数値に落とし込むことを著者は推奨する。

そして、4つ目は「PDCAを回し続ける力」だ。重要なことはPがすべて仮説だという点である。PDCAサイクルを回し続け、型、つまり「勝ちパターン」を増やすようにしたい。

【必読ポイント!】 マーケティングプロセス

情報収集とニーズの仮説構築
NicoElNino/iStock/Thinkstock

金融業界にも「数打ちゃ当たる精神」の営業パーソンはいる。しかし、著者は、顧客にコンタクトをとる前に、情報収集とニーズの仮説構築を必ず行っていた。顧客に会う前から「答えらしきもの」を用意することが、仮説営業の真髄である。

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要約公開日 2018.05.08
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