トラブル発生時、落ち着いて問題を解決に導けるかどうかは、物事をロジカルに考えられるかどうかにかかっている。具体的には、問題の全体像を俯瞰して捉え、複雑なことをいかにシンプルにできるかがポイントとなる。
どんなに複雑に思える仕事でも、基本の応用形にすぎない。まずは、だれでも解けるぐらい簡単なレベルまで、問題を一つ一つ分割していくしかない。混乱状態のなかで「複雑なまま考える」のは避けるべきだ。
問題が起きたとき、焦るあまり、手あたり次第に行動していないだろうか。確かに、問題を先送りせずに「速くやる」ことは重要だ。しかし、「即行動」が大事とばかりに、何の作戦も立てずに「すぐにやる」だけでは、かえって解決までに時間を浪費してしまうことが多い。行動する前に、ひと呼吸おいて作戦を立てるようにしたい。
では難問にどう対処していけばよいのか。本書には、最速で問題を解決するための3原則が書かれている。この3原則は2軸思考の根幹となる。
・原則(1)考える枠を決める:状況を整理するための考える「枠」を作る。どのような枠なら考えやすいかを検討することが大切である。枠さえ作ってしまえばそれを埋めたくなるのが人間の心理というものだ。
・原則(2)全体像を捉える:どんな仕事でも本質を見失ってはいけない。仕事の全体像を把握し、到達すべきゴールを決める。そこから逆算して到達方法を考える。その過程で、やるべきことを絞り込むことも大事だ。その後ようやく仕事に着手するという流れが理想である。
・原則(3)ムダに考えない:考える枠を決めて全体像を捉えたら複雑な問題がシンプルに整理された状態となる。そこから重要度の高いものだけを「選択」し、「集中」して掘り下げる。なんとなく全体を考えるのは、時間のムダである。
フレームワークの本来の意味は、物事を考えるときに使う「枠」のことだ。ビジネス書でよく取り上げられるフレームワークのSWOT分析やPPM分析は、経営戦略の立案やマーケティングに使うためのツールとして開発されたものである。そうした業務に携わらないビジネスパーソンの間では、「フレームワークはよくわからないし、使えない」という考え方が広がっている。
しかし、フレームワークはビジネスパーソンにとって最大の武器となる。著者は、試行錯誤の末に、タテ軸とヨコ軸で整理する2軸思考を編み出した。2軸思考という武器を手に入れると、目の前の問題解決のために適したフレームワークを自由自在に作れるようになる。
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