最新のスポーツ医学の見解では、疲れを引き起こしているのは、筋肉と神経のコンディションの悪さだ。疲れは、体だけでなく脳からも生じるのだ。
疲れを感じている人の多くは、自律神経と中枢神経のコンディションが悪くなっている。そうならないためには、体の歪みに注意する必要がある。体が歪んでいると、中枢神経からの指令が体の各部位にうまく伝わらなかったり、小さな動きであっても必要以上に負担がかかったりしてしまうのだ。つまり、歪んだ姿勢の体は疲れやすい体であるといえる。
では、「疲れている」とはどのような状態か。次の4つの条件のうち、1つでも該当するものがあれば、あなたは疲れている。
(1)脈がいつもと違う:安静時の脈拍は、1分間に70~80程度だ。それよりも速かったり遅かったりしないか確認してみよう。
(2)いろいろな時間に寝ている:寝起きする時間が不規則だと、休息を司る副交感神経の働きが悪くなる。睡眠不足は回復不足だと心得よう。
(3)腰が痛い:腰は体の要として、あらゆる部位の無理をカバーしようとする。腰痛が生じているときは、体の複数の部位にダメージが蓄積していることが多い。
(4)胸で呼吸している:胸だけで浅い呼吸をしていると、酸素不足と姿勢の歪みを引き起こし、体が疲れやすくなる。呼吸は、疲れない体をつくる鍵である。
スタンフォードのメンテナンスルームでは、常時23名のスタッフが勤務しており、選手たちの治療やリハビリ、メンテナンスを行っている。選手の状態によって様々なアプローチが選択されるが、どんな選手にも共通して用いられるのが「IAP呼吸法」だ。
「IAP」とはIntra Abdominal Pressureの略で、腹圧を意味する。この呼吸法は、息を吐くときにお腹をへこませる腹式呼吸とは異なる。息を吸うときも吐くときもお腹をへこませず、息を吐くときに圧をお腹の外にかけるように意識して、お腹周りを固くする呼吸法(腹圧呼吸)だ。
腹腔の圧力が高まれば、体の中心が安定し、無理のない姿勢をキープすることができる。そうすれば、体の各部と脳神経がうまく連携し、余分な負荷をかけずに済むというしくみだ。体の各パーツが本来あるべきところにきちんとおさまり、体のパフォーマンス・レベルが上がるだけでなく、疲れやケガを防ぐなどといった効果も期待できる。
日中に体を動かさないと、夜間に体が休息しない。交感神経と副交感神経がうまく切り替えられず、自律神経が乱れてしまうからだ。「疲れないためにじっとする」という作戦は逆効果だといえる。
一番いいのは、
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