スタンフォード式 疲れない体
スタンフォード式 疲れない体
スタンフォード式 疲れない体
出版社
サンマーク出版

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出版日
2018年05月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本のビジネスパーソンは、労働時間が長く睡眠時間が短いと言われている。日々疲れを感じながら過ごしている人は多いのではないだろうか。辛い疲れを取りたい、疲れない体になりたい、そう切実に願う人に解決策を示してくれるのが、本書だ。

名門大学として名高いスタンフォード大学は、スポーツでも名門である。多くの学生が世界レベルの大会に出場し、全米大学体育協会によるランキングでは23年連続1位を獲得している。本書の著者は、スタンフォード大学のスポーツ医局のアソシエイトディレクターである。スポーツ医局の方向性とビジョンを決め、医局で働くスタッフを統括する立場だ。つまり本書は、全米最強のスポーツ集団を率いる著者が、アスリートに実践している「疲労予防」と「疲労回復」のメソッドをまとめた本なのだ。疲れを予防する呼吸法「IAP呼吸法」に始まり、疲れてしまったときの対症療法、「疲れない体」を作るための「食事術」、そして疲れずに過ごすための日常動作やマインドセットまでが、イラストを用いながら丁寧に示される。

スポーツの世界では、「ひたすら筋肉を鍛える」「疲れていてもとにかく練習する」といった時代は終わっている。ビジネスにおいても「ひたすら働く」「疲れていても寝ずに仕事をする」という時代は過去のものにするべきだろう。そろそろ私たちは、根性論で乗り越えるよりも、自分のベストコンディションを維持し、パフォーマンスを上げることに集中しなければならない。本書は、スポーツを愛する人はもちろんのこと、日々のパフォーマンスを向上させたいビジネスパーソンにとっても必読の一冊だと言えよう。

ライター画像
山下あすみ

著者

山田 知生(やまだ ともお)
スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクター、同大学アスレチックトレーナー。1966年、東京都出身。
24歳までプロスキーヤーとして活動した後、26歳でアメリカ・ブリッジウォーター州立大学に留学し、アスレチックトレーニングを学ぶ。
同大学卒業後、サンノゼ州立大学大学院でスポーツ医学とスポーツマネジメントの修士号を取得。2000年サンタクララ大学にてアスレチックトレーナーとしてのキャリアをスタートさせ、2002年秋にスタンフォード大学のアスレチックトレーナーに就任する。
スタンフォード大学スポーツ医局にて15年以上の臨床経験を持ち、同大学のアスレチックトレーナーとして最も長く在籍している。
これまでに、野球、男子バスケットボール、男子・女子ゴルフ、男子・女子水泳チームなどを担当している。
2007年にアソシエイトディレクターに就任した後は、臨床開発で大きくスポーツ医局に貢献、同局プログラムのさらなる改革・促進に取り組んでいる。
アメリカサッカーU21代表チーム同行経験を有する。
本書が初の著書になる。

スタンフォード大学は「世界最強スポーツ大学」の呼び声高く、世界から有望なアスリートが集結している。NCAA(全米大学体育協会)のランキングでは、23年連続総合1位を獲得。また、ケイティ・レデッキー(女子水泳、オリンピックと世界水泳選手権を合わせると19の金メダル獲得)、シモーン・マニュエル(米国アフリカ系女子水泳選手として初めてオリンピックで金メダルを獲得)をはじめとする五輪メダリストが現役で在籍しているほか、タイガー・ウッズ(男子ゴルフ)やマイク・ムッシーナ(野球)、ジョン・マッケンロー(男子テニス)など、多くのプロアスリートを輩出している。

本書の要点

  • 要点
    1
    筋肉だけでなく、神経のコンディションの悪さも疲れを引き起こす。神経のコンディションが悪化するのを防ぐためには、体の歪みに注意する必要がある。体が歪んでいると、小さな動きであっても必要以上に負担がかかってしまう。
  • 要点
    2
    「IAP呼吸法」を実践すれば、体の各パーツが本来あるべきところにきちんとおさまり、体のパフォーマンス・レベルが上がるだけでなく、疲れやケガを防ぐなどといった効果も期待できる。

要約

なぜ人は疲れるのか

体の歪みが疲労を引き起こす

最新のスポーツ医学の見解では、疲れを引き起こしているのは、筋肉と神経のコンディションの悪さだ。疲れは、体だけでなく脳からも生じるのだ。

疲れを感じている人の多くは、自律神経と中枢神経のコンディションが悪くなっている。そうならないためには、体の歪みに注意する必要がある。体が歪んでいると、中枢神経からの指令が体の各部位にうまく伝わらなかったり、小さな動きであっても必要以上に負担がかかったりしてしまうのだ。つまり、歪んだ姿勢の体は疲れやすい体であるといえる。

「疲れた体」の4つの条件
onsuda/iStock/Thinkstock

では、「疲れている」とはどのような状態か。次の4つの条件のうち、1つでも該当するものがあれば、あなたは疲れている。

(1)脈がいつもと違う:安静時の脈拍は、1分間に70~80程度だ。それよりも速かったり遅かったりしないか確認してみよう。

(2)いろいろな時間に寝ている:寝起きする時間が不規則だと、休息を司る副交感神経の働きが悪くなる。睡眠不足は回復不足だと心得よう。

(3)腰が痛い:腰は体の要として、あらゆる部位の無理をカバーしようとする。腰痛が生じているときは、体の複数の部位にダメージが蓄積していることが多い。

(4)胸で呼吸している:胸だけで浅い呼吸をしていると、酸素不足と姿勢の歪みを引き起こし、体が疲れやすくなる。呼吸は、疲れない体をつくる鍵である。

【必読ポイント!】「IAP呼吸法」で疲労を予防する

「IAP呼吸法」とは

スタンフォードのメンテナンスルームでは、常時23名のスタッフが勤務しており、選手たちの治療やリハビリ、メンテナンスを行っている。選手の状態によって様々なアプローチが選択されるが、どんな選手にも共通して用いられるのが「IAP呼吸法」だ。

「IAP」とはIntra Abdominal Pressureの略で、腹圧を意味する。この呼吸法は、息を吐くときにお腹をへこませる腹式呼吸とは異なる。息を吸うときも吐くときもお腹をへこませず、息を吐くときに圧をお腹の外にかけるように意識して、お腹周りを固くする呼吸法(腹圧呼吸)だ。

腹腔の圧力が高まれば、体の中心が安定し、無理のない姿勢をキープすることができる。そうすれば、体の各部と脳神経がうまく連携し、余分な負荷をかけずに済むというしくみだ。体の各パーツが本来あるべきところにきちんとおさまり、体のパフォーマンス・レベルが上がるだけでなく、疲れやケガを防ぐなどといった効果も期待できる。

睡眠前のIAP呼吸法で体を回復させる
g-stockstudio/iStock/Thinkstock

日中に体を動かさないと、夜間に体が休息しない。交感神経と副交感神経がうまく切り替えられず、自律神経が乱れてしまうからだ。「疲れないためにじっとする」という作戦は逆効果だといえる。

一番いいのは、

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要約公開日 2018.08.29
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