お金は便利な「道具」である。お金には、「何かと交換できる」「価値をはかることができる」「貯めることができる」という3つの機能がある。お金そのものは、悪いものでもいいものでもない。
お金は、道具であると同時に、社会の血液のような働きをしている。血液が不足したり、うまくめぐらなくなったりすると、身体の具合が悪くなる。同様に、社会の血液であるお金の動きが悪いと、社会も健康ではなくなってしまう。お金を稼いで貯めたら、社会にめぐらせることで価値を増やすというサイクルが大事である。
日本の社会の調子が今ひとつ悪い原因は、お金を使うことより、貯め込むほうを優先しているからだと著者は言う。お金はいっぱいあるのに動いていないから、国で使えるお金が十分ではなくなり、国債という形で借金をして足りない分を補っているのだ。なんだか変だと思わないだろうか。
お金について、4つの大切なことを覚えてもらいたい。
1つ目は、「自立して生きていくためには、お金は絶対に必要である」ということだ。部屋を借りる、食料を買う、携帯電話料金を払うなどの日々の暮らしには自分で稼いだお金が必要となる。お金が足りなければ、誰かに頼って生きるしかなくなる。自分の自由のためにも、衣食住をまかなえるだけのお金は必要だ。
2つ目は、「やりたいことをやるには、余分なお金があったほうがいい」ということだ。日々の暮らしに必要な最低限のお金に加えて、友だちと遊びに行く、コンサートに行く、欲しいものを買うお金があれば、暮らしが豊かになる。
3つ目は、「困ったときに、お金は君を助けてくれる」ということだ。余分なお金を少しずつでもためておくことで、人生で何か思いもよらぬことが起きた時に、きっと助けになるだろう。
4つ目は、「君がお金を持っていれば、人を助けることができる」ということだ。これは素敵なお金の使い方だ。自分の幸せのために上手にお金を使えるようになったら、次のステップとして、社会や人のために使うと良いだろう。上手にお金を使えるようになった後、人のためにお金を使うことが、実は一番幸せなことである。
お金には恐ろしい魔力がある。
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