関東を中心に、30店舗を展開する大型書店チェーン「呉越書店」。その中でも近年、四ッ谷本店の売上が落ち込んでいた。そこで派遣されたのが、ドSな経営コンサルタント・上条エリカ(以下、エリカ)だ。
エリカは、竹刀を片手に四ッ谷本店に乗り込む。大きな声でお客さまに詰め寄られる店員、平台に無造作に置かれたコミック、薄汚い看板などを目撃したエリカは、三浦店長と面会する。
三浦店長と面談したエリカは、店内の雰囲気が最悪であると伝える。すると三浦店長は、店内の雰囲気は売上とは関係ないと言い返す。彼に対してエリカが言ったのは、お店の雰囲気はお店の評価に直結するということ、「5S」(整理・整頓・清掃・清潔・躾)で四ツ谷本店を立て直すということだった。
本書のストーリーは、1つの「S」に対して1人の責任者を割り当て、エリカがその責任者に対して「S」をレクチャーするという形式で進んでいく。
5Sは、仕事を進めるための基本だ。
お客様目線で言うと、お店に行って5Sができていないと、不安になる。つまり、店舗や職場の様子そのものが、1つの営業活動にもなりうるということだ。
オフィスワークにおいても、5Sは重要だ。5Sができていない人には、重要な仕事を任せることができない。
とはいえ、5Sの取り組みを続けることは容易ではない。取り組みが続かない理由としては、「現状維持で良いのではないか」と考えてしまうから、そして、5Sを実行する意味を理解していないからである。
5Sは、運動ではなく、「活動」として取り組まなければならない。そのためには、5W1H――「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「なぜ」「どのように」――を明らかにすることが重要だ。加えて、5Sに取り組む目的を設定し、それに共感してもらうこと、その目的に応じた責任者を選定することも不可欠だといえる。
エリカが店長と面談した翌日、開店前に朝礼が行われた。20人弱の店員の前で、エリカは、5Sを推進すること、そしてまずコミックエリアから進めることを宣言する。スタッフは皆、その威圧感に圧倒されていた。
「整理」責任者に指名されたのは、コミック担当の神木竜太だ。
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