2017年4月、「ビットコイン」などの「仮想通貨」を定義する法律「(改正資金決済法)」が施行された。そして、家電量販店のビックカメラがビットコインでの支払いを受けつけるようになった。
ビットコインは次のような問いから生まれたと考えられる。「自分がもっているお金を自分の好きに使うことを、誰にも止めさせないためには?」という問いだ。銀行が凍結される。政府の意向により現金が使用できなくなる。こうした現実に対応する形で生まれたのがビットコインである。
ビットコインをはじめとする仮想通貨の基盤技術として使用されているのが、ブロックチェーンだ。ブロックチェーンは、ビットコインの発案者であるサトシ・ナカモトという人物ないしは集団が発明したとされている。
めざすのは、中央ではなくエンド(端っこ)が完全なコントロールをもつことである。権限を包含したデータ構造(=約束を含む記録)を誰もが共有できるように「空中に約束を固定する」のだ。
こうして、約束がいつでも守られる状態にすることで、次の2つのことが可能となる。まずは、記録の内容も、その存在も、誰にも否定できないように保存・維持できる。そして、その確かさを誰でも確認できる。
ブロックチェーンの目的は「空中に約束を固定する」ことだといえる。そのためには次の3つの構成要素が必要となる。
(1)「正当性の保証」:取引が過去の取引記録に照らして矛盾していないことを保証するための仕組みである。内容が提示されたら本人に否認ができないようにする必要がある。そのためにデジタル署名が利用される。
(2)「存在の証明」:取引が存在したことを否定できないようにする仕組みである。ビットコインでは、作業証明つきのハッシュチェーンを用いることで、これを実現する。ブロックには直前のブロックのダイジェストが格納されている。ハッシュチェーンで前後となるブロックチェーンには、論理的に時間の前後関係があることが示されている。そのため、簡単には覆せず、取引を消すことはできない。
(3)「唯一性の合意」:矛盾する2つの約束は存在せず、もし矛盾する2つの約束が現れると、どちらが正しいかは1つに決まるようになっている。また、参加者の間で1つの歴史に合意することが求められ、ビットコインではこの合意の仕組みを「ナカモト・コンセンサス」と呼んでいる。ビットコインなど、物理的資産や貨幣にはこの要素が必要となる。
このような構成要素を含むブロックチェーンや類似する技術は、公に証明が必要な「複数のステークホルダーが関わる」場面での幅広い応用が期待される。
文字は石や粘土に刻むなど、記録する媒体とともに誕生したと考えられる。歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』によると、古代メソポタミアの楔形文字を用いた、人類最古の書き言葉で記されていたのは会計上の記録だという。たとえば、「37か月間で29086単位の大麦が受け取られた」と負債が数量化されていた。これは、その当時にはすでに貸しつけの仕組みや、信用のシステムが存在していたことを示している。
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