1980年代以来、アルツハイマー病の原因は、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積することだと考えられてきた。それゆえ、アミロイドβを蓄積させないこと、そしてアミロイドβを除去することがアルツハイマー病の予防法であり、治療法であるという説が有力だった。しかし実際には、その方法を実施しても効果があらわれることはなかった。
また、アルツハイマー病は単一疾患であるという考え方が主流で、「アリセプト」と「メマンチン」という薬剤を併用するか、もしくはいずれか1剤を使う治療が主流である。
しかし、著者による研究の結果、アルツハイマー病は単一疾患ではなく、3つのタイプに分かれることが明らかになった。患者がどのタイプに該当するのかを明らかにしたうえで、タイプごとの治療を施す必要があるのだ。そうすれば、アルツハイマー病を治すことができる。
ApoE4(アポイーフォー)と呼ばれる遺伝子の型がある。これを持つ人は、アルツハイマー病になりやすいと考えられている。しかしこの遺伝子を持つ人でも、症状が出る前から予防プログラムを始めれば、認知症の有病率を劇的に減らす可能性があるのだ。
この遺伝子の有無にかかわらず、40歳以上のすべての人は予防プログラムを行ったほうがいい。アルツハイマー病の症状は老年期によって表出するが、脳の認識能力の低下はおおよそ40歳から始まるが、早い段階から始まっているのだ。
アルツハイマー病は、脳の防御反応であることがわかっている。認知機能の低下は、炎症、栄養とホルモンの不足、そして毒物への曝露に対する防御反応としてあらわれる。したがって、この3つの要因を取り除けばアルツハイマー病は防げるのだ。
まず炎症だ。人間の体に侵入してくるウイルスや菌類などと闘うとき、免疫システムが活性化する。この反応が炎症である。この外敵が慢性的で、炎症性反応が継続的に活性化されると問題になる。
炎症の原因には、さまざまなものがある。感染はもちろんのこと、胃腸へのダメージも炎症を引き起こす。
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