日本人が昔からお花見をしていたのは、豊作という願いの実現を引き寄せるためだった。満開の桜をたわわに実る稲に見立て、豊作がすでに実現したつもりでお祝いしていたのだ。盆踊りも豊作の前祝いだった。この引き寄せを、「予祝(よしゅく)」という。
奇跡はシンプルな法則によって起きている。風船のなかに小さくハートを描いたとしよう。この風船を膨らませると、ハートがどんどん大きくなっていくだろう。同じように、風船にバツを描いて膨らませると、バツがどんどん大きくなっていく。未来を変えるのは、心の中に小さなハートを描くことなのだ。そうすれば、あなたの中のハートがどんどん大きくなっていく。今喜べば、未来でも喜ぶことができるのだ。
いろいろな記号がたくさん並んでいる表を見せられたあとに「◎は何個ありましたか?」と言われても、多くの人は答えることができないだろう。しかし「表の中に◎が何個あるか5秒以内に数えてください」と言われると、簡単に数えることができるはずだ。漠然と眺めていては何もわからなくても、目的意識を持って見ればまったく違うものが見えてくるのだ。何に意識を向けるかで人生は変わると心得よう。
人生において意識すべきは、「喜び」である。ある先生は、鬱になった生徒にこんなことを言ったという。「通学路できれいだと思ったものを写真に撮って、お互いに見せ合おう」。2人でこの習慣を続けるうちに、生徒の鬱は治っていった。美しいものに目を向けることで生徒の気分が変わったのだ。この話から得られる教訓は、見ると決めたものが見えてくるということだろう。
もしあなたが3年後に英語を話せるようになりたいなら、次の3つのうちどの行動をすればいいだろう。(1)1日最低10個、新しい単語を覚える、(2)ネイティブの人に話しかけるようにする、(3)毎日少しずつ部屋を掃除する――答えは(3)だ。「心」の持ちようは夢の実現を左右する。部屋をきれいにして気分を上向きにすることが、夢への近道というわけだ。心の状態が現実と引き合い、いい未来を引き寄せるのだ。予祝によって夢が叶ったときと同じ喜びをいま感じることで、夢に近づくことができる。
フランスの医師、エミール・クーエは、患者さんに、毎朝鏡に向かって「毎日少しずつ、わたしの身体のすべてが、いまますます良くなりつつあります」と言うように指導した。これを「クーエ療法」といい、この療法を実践した患者さんの多くが驚異的な回復を見せたという。口に出した言葉が彼らの無意識に働きかけ、治癒力を引き出したのだ。
そのほかにも、ある営業職の女性は、毎日鏡に向かってこう言ったという。
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