医者の本音

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医者の本音
出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2018年08月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

あなたは医者という職業にどんな印象をお持ちだろうか。一般には高給取りのエリートというイメージが付きまとい、先生と呼ばれてもてはやされる職業であるが、医療の現場はそんな華やかなイメージとは程遠い。

本書では、そんな医者という特異な職業に従事する人々の本音が明かされる。医者の本音を広く知ってもらうことで、世間が抱いているイメージとのギャップを埋められればとの思いで書かれているのだ。著者である中山氏は、本書を執筆するにあたり、これまでタブーとされてきたようなことにまで踏み込み、ありのままの医者というものを伝えるために全力を注いだ。公のデータをもとにして書かれているところもあれば、著者自身の意見を織り込んでいるテーマや知人の医者から聞いた話もある。場合によっては今後の仕事の幅を狭めてしまうことにもなりかねないほどの内容には、目を見張るばかりだ。

書かれているのは、タイトルから予想できるような、スキャンダルめいた話ばかりではない。患者として医者と関わる可能性のある我々に対して、いざというときに非常にためになりそうなアドバイスがいくつも掲載されている。病院で診察を受けるときは、余裕がないものだ。元気なときにこそ、医者や病院に対して理解を深めておくのがいいだろう。

本書を読めば、彼らが1人ひとりの患者さんといかに誠実に向き合い、最善を尽くしているかがわかる。次に病院に行ったときには、今までとは違った風景が見えるかもしれない。

ライター画像
山下あすみ

著者

中山 祐次郎(なかやま ゆうじろう)
1980年生。聖光学院高等学校を卒業後2浪を経て、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院で研修後、同院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。2017年2月-3月に福島県高野病院院長を務め、その後、福島県郡山市の総合南東北病院外科医長として勤務。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医、感染管理医師、マンモグラフィー読影認定医、がん治療認定医、医師臨床研修指導医。モットーは「いつ死んでも後悔するように生きる」。日経ビジネスオンラインやYahoo!ニュースなど多数の媒体で連載を持つ。Yahoo!ニュース個人連載では2015年12月、2016年8月に月間Most Valuable Article賞を受賞。著書に『幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと~若き外科医が見つめた「いのち」の現場三百六十五日~』 (幻冬舎)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    医者は患者さんに冷淡な印象を与えることが多いが、その理由はコミュニケーションを取る時間が制限されているからだ。医者に伝えるべきことを事前に整理しておけば、限られた時間を効率的に使える。
  • 要点
    2
    がんの告知を受けたとき、主治医に確認すべきことは3つある。(1)そのがんの治療に慣れているか、(2)どんな予定で治療や検査を進めるつもりか、(3)私・家族にできることは何か、である。
  • 要点
    3
    緊急の場合を除き、病院を受診するのは平日の昼がよい。医者のコンディションがよく、追加料金がかからず、検査をしっかり受けることができるからだ。

要約

【必読ポイント!】 医者の本音

なぜ風邪の患者さんに冷たいのか?
SARINYAPINNGAM/gettyimages

医者はしばしば、風邪の患者さんに対して少し雑な態度を取ることがある。「あー、ハイハイ、風邪ですね」とあしらうように言われたことがある人もいるだろう。

その理由は、風邪は薬では治らないからだ。風邪の原因であるウイルスは通常数日で死滅する。だから医者にかからなくてもやがて風邪は治るのだ。それでも医者は、いくつかの目的で薬を出す。

1つ目が、のどが痛い、高熱があるなどといった、患者さんの症状を抑えるためだ。つまり対症療法として薬を出す。

2つ目が、細菌の感染に対処したり、予防したりするためだ。風邪と似た症状が出ているだけで、細菌に感染しているかもしれないし、弱った体に細菌が攻撃するかもしれない。そういった事態に備えて抗生物質を処方することがある。

3つ目が、患者さんを満足させるためだ。風邪でつらいとき、病院で薬をもらえなかったとしたら、不満に感じるだろう。医者は、顧客満足のために薬を出すこともある。

なぜ話を聞いてくれないのか?

医者が自分の話を聞いてくれないと感じている患者さんは少なくないようだ。もちろん医者は、わざと冷たい態度を取っているわけではない。

彼ら彼女らには、患者さんとコミュニケーションを取るための時間が十分にないのだ。どんな科に所属しているにしても、分刻みのタイムスケジュールで動いている。それに合わせて看護師や助手のスタッフなどがスタンバイしており、遅れることは許されない。そのため、患者さんから急に質問をされても、後日改めて話しましょうということになってしまうのだ。

外来診察も同様だ。1日に何十人もの診察をするため、1人と話ができるのはせいぜい10分ほどだ。そのうえ、カルテの記入やお薬の処方、次回の外来の予約もしなければならない。こうした状況で患者さんに合わせてゆっくり説明することは難しいだろう。

では、どうすれば医者ときちんと話せるか。おすすめなのは、事前に聞きたいことをメモしておくことだ。それを医者に見せれば、疑問を短時間に伝えられ、回答をもらうことができるだろう。

「袖の下」をもらうことはあるのか?
marchmeena29/gettyimages

困る患者さんとして、治療と無関係の話を続ける患者さん、平日の日中には来院できないと言い張る患者さん、不満を抱えて医療機関を渡り歩く患者さんなどが挙げられる。中には、「袖の下」を渡してくる患者さんもいる。

「袖の下」は小説やドラマの中だけの話ではない。日経メディカルの調査によると、

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要約公開日 2018.10.25
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