新しいものを生むためには、試行錯誤する力が必要だ。これは決める力、発想力、生きる力の組み合わせに他ならない。
ものごとを「決める」とは、選択肢をちゃんと挙げ、そこからひとつに絞ることである。「戦略とは捨てることなり」という格言があるが、決めることもまったく同じだ。多くの選択肢の中からダイジなものを絞りこむのは、ダイジでないものを捨てるのと同義である。そのためには判断基準をつくり、それに沿って各選択肢を評価することが求められる。たとえば子どもがなにかをやりたいと言ってきたら、どのような選択肢のなかからどのような基準でそれを選んだのかを聞いてみるといい。そうすればきちんと調べて、しっかりと理由を伝えてくるようになる。
なにかを決めると、時には少数派になってしまうこともあるだろう。決める力をつけるためには、10人中3人になる覚悟をもつことも重要だ。そうした覚悟をもたせるために親ができるのは、子どもの意思決定を全力で支持してあげることだけである。
「常識」や「自制心」は社会で生きていくために必要なものだ。だがそれは「他人と同じことをする」「突飛なことをしない」など、心のブレーキを子どもに叩きこむことでもある。そうした制限を超えて「新しいことにチャレンジする心」がなければ、発想力は生まれない。
発想力を育てるには、「他人と違う」ことをほめてあげるといいだろう。子どもたちに他人と違う考え、他人と違う行動があれば、それを認めてほめるのが大切だ。
発想力とは、10人中1人になる楽しさのことである。楽しく発想力を訓練するために、たとえば思い切って子どもたちに家族イベントの企画を任せてみてはどうだろうか。予算などの制限を与えれば、子どもはその範囲で自ら考え、遊び、アイデアを生み出していく。
自分自身で精一杯生きようとする「生きる力」なしに、子どもたちの未来はない。この力は生まれつき備わっているのではなく、親の影響が大きいと考えられる。たとえば過保護や過干渉は、子どもから自己判断力・主体性・コミュニケーション力など、あらゆる意欲・能力を奪っていってしまう。
子どもにやる気を出させるには、自己決定感(自分で決めた)、有能感(なんとかできそう)、対人交流(重要な他者からの受容)の3つが重要だ。だから親は子どもに全力で任せ、ほめることに力を注いだほうがいい。少し難しいテーマに取り組ませ、自由にやらせてみて、任せるルールをハッキリさせて覆さない。そして失敗した時の責任は親が取る。そうすれば子どものやる気を引き出せる。
子どもたちにはさまざまなチャレンジ(試行錯誤)が必要だ。遊びも勉強もお手伝いも、すべては発想力や決める力を向上させるトレーニングになる。
そうしたチャレンジを毎日の習慣として続けていくために欠かせないのが「ほめる」ことだ。子どもたちにとってポジティブになれる魔法の杖は、重要な他者からの受容や賞賛、つまり親からほめられることなのである。
もちろん子どもが「人間として許すことのできないことをしたとき」は、思い切り叱らなければならない。だが子どもの成長のためには、小言をいう量の3倍はほめる必要があるということを覚えておくべきだ。
子どもにとってダイジなことと、親にとってダイジなことは、往々にしてズレている。しかも親はそのダイジなことを、しばしば忘れたり変えてしまったりする。
こうしたことを防ぐために、親子で決めた共通のダイジなことは、
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