2000社の赤字会社を黒字にした社長のノート

利益を出すリーダーが必ずやっていること

未読
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利益を出すリーダーが必ずやっていること
出版社
かんき出版

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出版日
2018年10月09日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

著者の長谷川和廣氏は、グローバル企業7社の経営幹部や代表取締役として、そしてコンサルタントとして、2000社を超える赤字会社を黒字化してきた敏腕経営者である。彼は27歳のときから約50年間、仕事上の“気づき”を書き溜めてきたという。仕事術やアイデア、部下やクライアントからの相談事とその解決策。このような、日々「おやっ」と感じたことを記したのが、通称「おやっとノート」である。著者はこのノートを綴る中で、かけがえのない知的な財産を得たと述べている。

本書は、そんな著者が2008年に上梓した『社長が求める課長の仕事力』を再編集し、「おやっとノート」から、中間管理職などの現場のリーダーに向けた金言を選り抜いたものだ。その中身は色あせないどころか、変化の激しい現在にこそ立ち返るべき原理原則ばかりである。マネジメント、利益の創出、売上アップ、組織の改善、人間関係、スキルアップ、そしてキャリアアップの原則。いずれも、著者が事業を担い、数々の事業再生に携わる中で磨き上げられたものであるため、その実効性の高さは折り紙つきだ。そしてリーダー自身が真に成長することで、組織全体も飛躍を遂げられるという確信を与えてくれる。

管理職層が、「自分のために書かれたのでは?」と思うような実践知が、これでもかというくらい詰まっている。まさにプロフェッショナルリーダーの普遍的バイブルと呼べる一冊だ。困難にぶつかったときに、確固たる指針とめざすべき方向性を示してくれる書として活用し、その威力を実感していただきたい。

ライター画像
松尾美里

著者

長谷川 和廣(はせがわ かずひろ)
1939年千葉県生まれ。中央大学経済学部を卒業後、グローバル企業である十條キンバリー、ゼネラルフーズ、ジョンソンなどで、マーケティング、プロダクトマネジメントを担当。その後、ケロッグジャパン、バイエルジャパンなどで要職を歴任。ケロッグ時代には「玄米フレーク」、ジョンソン時代には消臭剤「シャット」などのヒット商品を送り出す。
2000年、株式会社ニコン・エシロールの代表取締役に就任。50億円もの赤字を抱えていた同社を1年目で営業利益を黒字化。2年目に経常利益の黒字化と配当を実現、3年目で無借金経営に導く。これまでに2000社を超える企業の再生事業に参画し、赤字会社の大半を立て直す。現在は会社力研究所代表として、会社再建などを中心に国内外企業の経営相談やセミナーなどを精力的にこなしている。
27歳のときから、有益な仕事術、人の動き、組織運営、生き残り術、部下やクライアントからの相談事とそれに対するアドバイスなどのエッセンスを「おやっとノート」として書き留め始める。この習慣は現在も続いており、その数は290冊に達する。これをもとにして出版された『社長のノート』シリーズ(かんき出版)は累計35万部を超えるベストセラーとなった。その他、著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「うるさい、細かい、しつこい、横着しない」リーダーになることは、マネジメントの基本ともいえる。
  • 要点
    2
    リーダーの仕事の基本は利益を生み出すことである。
  • 要点
    3
    売上を伸ばすために課長職以上の人が精通しておくべき仕組みは次の3つである。(1)良い製品をつくる仕組み、(2)販売する仕組み、(3)流通の仕組み(取引制度)だ。
  • 要点
    4
    熱意を相手に伝えるには、それ相応の準備が欠かせない。

要約

リーダーが知っておくべきマネジメントの原則

「うるさい、細かい、しつこい、横着しない」リーダーになる
Ridofranz/gettyimages

部署、部門、会社を率いるリーダーにステップアップしていける人と、途中で壁にぶち当たる人。この差はどこにあるのか。まずは真のリーダーになるための条件を一部紹介しよう。

優秀なデキる上司ほど、部下に対し「うるさい、細かい、しつこい、横着しない」という厳しさをもつ度胸と、「基本を身につけてしっかり成長してほしい」という愛情を兼ね備えている。もしミスに寛容なリーダーならば、同じミスがくり返される。また、横着している上司に手抜きを指摘されても、部下は不満を覚えるだけ。よって、「うるさい、細かい、しつこい、横着しない」という4つの要素は、マネジメントの基本だといえる。

リーダーには2つの役割が求められている。細かいことに厳しいけれど慈愛がある母親役。そして、人として間違ったことをすると激怒するけれど大きな夢を与えてくれる父親役。両方を演じられるリーダーに恵まれた組織こそ成長できる。

判断は正確に、決断はスピード主義で

経営幹部の中には、「ジャッジメント(判断)」と「デシジョン(決断)」の違いを意識できていない人がいる。「ジャッジメント」とは、複数の選択肢の中から最良の方法を論理的に導き出す行為を指す。一方「デシジョン」とは、検討結果をもとに、物事の優劣・良し悪しがどちらにあるのかを選択する行為を意味する。

ジャッジメントに必要なのは正確さであり、正確を期するためには情報収集や検討に時間がかかる場合もある。これに対し、デシジョンに求められるのはスピードだ。いくら迷っても、判断したこと以上に正解に近づくことはまずない。

よってビジネスに求められるのは、的確なジャッジメントと迅速なデシジョンである。現場のリーダーが両者を混同した挙句、決断が遅いと対応が後手に回ってしまう。しかも判断が不正確なので失敗やクレームも増えていく。問題を深く分析することなく、それでいて決断を先送りするようなリーダーは、即刻意識を改めなければならない。

リーダーが押さえておきたい利益を生み出す原則

売上よりも利益を意識する
maxsattana/gettyimages

「リーダーとしての仕事の基本」とは何か。それは「利益を生み出すこと」だという。どれだけ売上を上げても、利益を出さなければビジネスの世界で勝ち続けることは難しい。この原則を実践できるかどうかが、プロのリーダーとして頭角を現せるか否かを左右する。

また、著者がこれまで見てきた「利益が出ていない企業」では、トップも現場の社員も表情が暗い。取引先やお客様にまで悪影響が及ぶこともある。ではどうすれば利益を生み出せるのか。

そもそも利益とは、売上からコスト(原価、経費)を差し引いた金額である。赤字体質が染みついた企業の多くでは、この引き算が意識されていないのが実態だ。とりわけ営業現場のリーダーたちは、利益に意識を向けず、「売るためのコスト」を度外視していることが多い。売上をつくろうとするあまり、安易に値引きをするケースも後を絶たない。しかし本来なら、営業パーソンは利益を意識しながら売上をつくることを心がけるべきだ。

相手の損益分岐点を知って、価格交渉を有利に

仕入れの価格交渉を有利に進める秘訣は何か。1つは、相手の損益分岐点、つまり「これ以上安いと相手が赤字になる」というラインを、交渉前に見極めることだ。日ごろから交渉する企業の商品知識や取引先について研究しておけば、おおよそ見当がつくようになる。リーダークラスの人間は確実にこのスキルを身につけておきたい。

損益分岐点を知ることのメリットは、強引に価格交渉を進めた挙句に決裂し、相手との関係が悪化するのを防げるという点だ。相手にも利益が出る範囲で交渉をまとめて、共存共栄を図るのが理想的である。

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要約公開日 2018.11.02
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