部署、部門、会社を率いるリーダーにステップアップしていける人と、途中で壁にぶち当たる人。この差はどこにあるのか。まずは真のリーダーになるための条件を一部紹介しよう。
優秀なデキる上司ほど、部下に対し「うるさい、細かい、しつこい、横着しない」という厳しさをもつ度胸と、「基本を身につけてしっかり成長してほしい」という愛情を兼ね備えている。もしミスに寛容なリーダーならば、同じミスがくり返される。また、横着している上司に手抜きを指摘されても、部下は不満を覚えるだけ。よって、「うるさい、細かい、しつこい、横着しない」という4つの要素は、マネジメントの基本だといえる。
リーダーには2つの役割が求められている。細かいことに厳しいけれど慈愛がある母親役。そして、人として間違ったことをすると激怒するけれど大きな夢を与えてくれる父親役。両方を演じられるリーダーに恵まれた組織こそ成長できる。
経営幹部の中には、「ジャッジメント(判断)」と「デシジョン(決断)」の違いを意識できていない人がいる。「ジャッジメント」とは、複数の選択肢の中から最良の方法を論理的に導き出す行為を指す。一方「デシジョン」とは、検討結果をもとに、物事の優劣・良し悪しがどちらにあるのかを選択する行為を意味する。
ジャッジメントに必要なのは正確さであり、正確を期するためには情報収集や検討に時間がかかる場合もある。これに対し、デシジョンに求められるのはスピードだ。いくら迷っても、判断したこと以上に正解に近づくことはまずない。
よってビジネスに求められるのは、的確なジャッジメントと迅速なデシジョンである。現場のリーダーが両者を混同した挙句、決断が遅いと対応が後手に回ってしまう。しかも判断が不正確なので失敗やクレームも増えていく。問題を深く分析することなく、それでいて決断を先送りするようなリーダーは、即刻意識を改めなければならない。
「リーダーとしての仕事の基本」とは何か。それは「利益を生み出すこと」だという。どれだけ売上を上げても、利益を出さなければビジネスの世界で勝ち続けることは難しい。この原則を実践できるかどうかが、プロのリーダーとして頭角を現せるか否かを左右する。
また、著者がこれまで見てきた「利益が出ていない企業」では、トップも現場の社員も表情が暗い。取引先やお客様にまで悪影響が及ぶこともある。ではどうすれば利益を生み出せるのか。
そもそも利益とは、売上からコスト(原価、経費)を差し引いた金額である。赤字体質が染みついた企業の多くでは、この引き算が意識されていないのが実態だ。とりわけ営業現場のリーダーたちは、利益に意識を向けず、「売るためのコスト」を度外視していることが多い。売上をつくろうとするあまり、安易に値引きをするケースも後を絶たない。しかし本来なら、営業パーソンは利益を意識しながら売上をつくることを心がけるべきだ。
仕入れの価格交渉を有利に進める秘訣は何か。1つは、相手の損益分岐点、つまり「これ以上安いと相手が赤字になる」というラインを、交渉前に見極めることだ。日ごろから交渉する企業の商品知識や取引先について研究しておけば、おおよそ見当がつくようになる。リーダークラスの人間は確実にこのスキルを身につけておきたい。
損益分岐点を知ることのメリットは、強引に価格交渉を進めた挙句に決裂し、相手との関係が悪化するのを防げるという点だ。相手にも利益が出る範囲で交渉をまとめて、共存共栄を図るのが理想的である。
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