組織のカルチャー、つまり「社風」は社員の考え方や行動によって形成される。カルチャーはどんな組織にも存在しており、組織の成功と失敗を分けることもある。企業は、各部門の業績改善に加え、組織カルチャーの最適化にも尽力する必要があるといえよう。
カルチャー変革を加速させ、組織の成果を上げるために利用できるのが「成果ピラミッド」というモデルだ。成果ピラミッドとは、組織カルチャーを構成する3大要素を「経験」「信念」「行動」とし、これらが互いに影響を与え合って「成果」を生み出すプロセスを示したものだ。下から順に「経験」「信念」「行動」「成果」の順に積み上げ、ピラミッドの形を成している。社員の「経験」「信念」「行動」が組織カルチャーを形成し、形成された組織カルチャーが組織の「成果」を生むことを意味する。
管理職は、日々社員になんらかの「経験」を与えている。誰かを昇進させたり、会議でやりとりしたりといったことも「経験」に含まれる。そうした「経験」を通して社員たちに「うちの会社のやり方はこうだ」という「信念」がはぐくまれる。その「信念」が社員たちの「行動」をうながし、その「行動」が積み重なって会社の「成果」がもたらされる。成果はこんなにシンプルに生み出されている。そしてこれが毎日、毎分進行しているのだ。
今の会社の「成果」は組織のカルチャーが生み出したものである以上、「成果」を変えたければカルチャーを変えるしかない。そしてカルチャー変革の主導権は、リーダーが握るべきである。
組織にとってもっとも効果が高いカルチャーは、アカウンタビリティ・カルチャーである。ここで言うアカウンタビリティとは、組織の成果達成のために主体的に動く力のことを指す。
アカウンタビリティに基づく行動や考え方とそうでない行動や考え方のあいだには、明確なラインがある。このラインよりも上に位置するのがアカウンタビリティを形成する4つのステップだ。
課題が発生するたびに他の人の意見を聞き、コミュニケーションを取ってフィードバックを得るなど、「現実を見つめる」こと。問題を自分のこととして捉え、もらったフィードバックを踏まえて行動するなど、「当事者意識を持つ」こと。障害を乗り越えて成果を上げるために自分には何ができるかを考えて努力するなど、「解決策を見出す」こと。そしてこれらを最後に「行動に移す」という4つだ。
ラインよりも下には、責任のなすり合いや被害者意識などといった悪循環がある。誰しも常にライン上にいられるわけではない。ときにはラインの下に落ちてしまうこともある。だがライン上にいる時間が長ければ長いほど、大きな成果を上げることができる。
カルチャー変革においてありがちな失敗は、成果ピラミッドの上2段、「成果」と「行動」だけを変化させようと試みることである。それは、現在の社員の考えや行動にはそれなりの理由があるということを無視する行為だ。「成果」と「行動」に注力すると、社員のパフォーマンスに大きく影響を与える「経験」と「信念」の変革が手つかずになってしまう。
「成果」と「行動」は具体的で目に見えるため、取り組みやすいと考えられがちだ。しかし
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