仕事はもっと楽しくできる

大企業若手50社1200人 会社変革ドキュメンタリー
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大企業若手50社1200人 会社変革ドキュメンタリー
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プレジデント社

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出版日
2018年10月01日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
5.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

パナソニックやソニー、トヨタ、NTTグループなどの大企業には、それぞれ若手有志から成るコミュニティがある。そのコミュニティに所属する若手有志をつなげるのが、本書で紹介される「ONE JAPAN(ワンジャパン)」だ。

大企業の若手有志のつながりと聞くと、「意識高い系?」と斜に構えてしまう人もいるかもしれない。だが本書を読めば、ONE JAPANが現実を変える力をもった、きわめて地に足がついたコミュニティだとわかるはずである。

ONE JAPANでは、メンバー同士がお互いの会社の活動や失敗談などを共有し、ビジネスアイデアを交換しあう。そうすることで互いに刺激を受けつつ、コラボレーションの機会を探っていく。まだ始動してから2年しか経っていないものの、すでにいくつもの企業間コラボレーションがONE JAPANから生まれている。若手同士が”つながる”ことで、さまざまな化学反応が起きているのだ。

ONE JAPANの濱松誠代表によれば、ONE JAPANに所属している若手社員たちは、かならずしも各企業のスーパーエースではないという。彼らは皆「やりたい仕事ができない」という葛藤を抱え、それぞれの会社でもがきながら、仕事をもっと楽しいものにしようと動いている普通の社員なのである。だからこそ企業で奮闘する彼らの姿には感銘を覚える。すべてのビジネスパーソンに強く一読をおすすめしたい。

著者

ONE JAPAN (ワンジャパン)
大企業の若手有志が参加する日本初の団体。共同発起人はパナソニック・濱松誠(兼代表)、富士ゼロックス・大川陽介、NTT東日本・山本将裕。2016年9月設立。26社120人よりスタートし、現在50社1200人が集まる。「ONE JAPANハッカソン」、マインドフルネス瞑想ナビロボット「SHIRO-MARU」、若手中堅社員の声を集めた「働き方意識調査」、経済同友会や横須賀市との連携など、様々な方法で大企業若手発のイノベーションを創出する。日本最大の家電・IT(情報技術)の見本市「CEATEC JAPAN2017」に出展。日本の人事部「HRアワード2017」特別賞を受賞するなど、メディアや各界から注目を集めている。

本書の要点

  • 要点
    1
    ONE JAPANのメンバーは、お互いの会社活動のベストプラクティスを共有し、会社を超えたオープンイノベーションやコラボレーションを多数実現している。
  • 要点
    2
    社内の若手有志のつながりがうまく機能すれば、若手でもさまざまなアイデアを実現することが可能だ。
  • 要点
    3
    社内にいる「会いたい人」を巻き込む方法としても、若手有志のつながりをつくることは有効である。
  • 要点
    4
    ONE JAPANではメンバー間で心理的安全が担保されている。だからこそ画期的なアイデアが生まれるし、さまざまな職種メンバーがいるのでコラボレーションにもつながりやすい。

要約

一歩踏み出せば会社はもっと楽しくなる

「つながり」が必然的に求められる時代

2014年以降、日本の大企業で若手有志団体が続々誕生している。この背景には(1)製造業をはじめ、日本企業の失速でかつてない危機感が生まれたこと、(2)AI時代の到来で、イノベーションを起こせない大企業の寿命がさらに短くなると予想されること、(3)働き方改革が推進され、これまでの会社の枠組みにとらわれない働き方が模索されたことなどが挙げられる。

だがそれだけではない。注目するべきは「ONE JAPAN(ワンジャパン)」の共同発起人・代表である濱松誠の存在だ。若手有志団体の代表たちは、多かれ少なかれ濱松の影響を受けていると語っている。

大企業の若手有志がつながる
BrittaKokemor/gettyimages

2006年に新卒でパナソニックに入社した濱松は、大企業だと若手は上司に与えられた仕事をこなすだけで、「仕事がつまらない」とやりがいを見失いやすい点に問題意識をもっていた。若手が部署を超えて交流できる場として「One Panasonic(ワンパナソニック)」を立ち上げたのも、せめて若手同士がつながることで、毎日もっと楽しく仕事できる環境を実現できればとの想いがあったからだ。最初は小さな飲み会からスタートし、徐々に交流会や勉強会をおこなっていった。

すると濱松の周りで、多くの良い変化が生まれはじめた。さまざまな部署に知り合いができたことで仕事のスピードが速くなり、自分の興味を仕事につなげられるようになった。また社長や役員とも話す機会を得たことで、経営者の危機感や視座をよりリアルに感じられるようになった。結果として以前よりも会社がずっと楽しい場所に変化したのだ。

この活動をキッカケに、濱松は社外の若手サラリーマンと交流する機会を増やしていき、「会社を超えて、若手同士でつながる場をつくりたい。そこで会社や仕事を変えるようなことをしたい!」と思うようになる。そして2016年、大企業勤務の若手有志がつながるONE JAPANを立ち上げた。

発足して2年が経過したONE JAPANには、現在50社1200人のメンバーが所属している。この活動から企業間のコラボレーションが多数実現し、自治体との協業や行政への提言も進んでいる。

社内でつながる――NTT東日本

エースが一転、サボリーマンに
metamorworks/gettyimages

ONE JAPAN共同発起人の山本将裕は、2010年に新卒でNTT東日本に入社した。宮城県石巻営業支店に配属されると、震災被害への対策を推し進め、NTT東日本営業最優秀MVPを受賞。その後、宮城支店ビジネス営業部に異動すると、今度は仮設住宅にタブレット端末を配布して高齢者の見守りにICTを活用し、冷蔵庫やテレビに設置する「見守りセンサー」や、警備会社と連動した「緊急通報装置」の開発プロジェクトにも携わった。こうした活動は海外からも注目を浴びた。

こうした実績が評価され、山本は27歳という若さで本社の花形部門であるビジネス開発本部へと異動する。だがいざ着任してみると、若手である山本の意見はことごとく無視された。仕事のモチベーションが保てなくなった時期は、売店で業務をさぼるサボリーマンになったこともあった。「こんなつまらない会社、辞めてやる」と転職も考えたという。

NTTグループに横串を通す

やる気を失っていた山本に転機が訪れる。すでにパナソニック社内の若手有志団体One Panasonicを立ち上げ、ONE JAPANの立ち上げを構想していた濱松との出会いだ。山本はそのときの出会いについてこう語る。

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要約公開日 2018.11.21
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