才能の正体

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才能の正体
出版社
出版日
2018年10月10日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

才能豊かな人がうらやましい、自分にも生まれ持った才能があればよかったのに――そんなふうに考えている人は多いことだろう。そんな人にぜひ読んでほしいのが、本書だ。

著者は坪田信貴氏。『ビリギャル』の著者だ。著者は塾講師として、『ビリギャル』の主人公・さやかちゃんをはじめとする数多くの生徒たちを指導してきた人物である。『ビリギャル』を読んでいない方に向けて説明すると、『ビリギャル』の正確なタイトルは『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』。学年ビリの成績だった金髪のギャルが坪田先生という塾講師に出会ったことで猛勉強をはじめ、血のにじむような努力の末に慶應大学に合格するというストーリーだ。

著者は本書の大前提として、才能は生まれつきのものではないと主張する。誰しもが努力によって身につけられるものが「能力」で、それを磨き上げて卓越させたものが「才能」であるという。そう聞くと、なんだか勇気が湧いてくるのではないだろうか。「私には生まれつき才能がないから」と思い込んでいた人にも、一筋の光が見えてくることだろう。

「才能=生まれつきのもの」という思い込みを捨てることができたら、本書を読んでみよう。著者が生徒たちの指導を通して得た「才能の育て方」に関する知見が余すことなく語られている。本書の内容を素直に実践すれば人生が変わること請け合いだ。自分には才能がないからと諦めていた大人はもちろん、学生にも一刻も早く手に取ってほしい一冊である。

著者

坪田 信貴(つぼた のぶたか)
坪田塾塾長。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」、多くの生徒の偏差値を急激に上げてきた。
一方で、起業家としての顔も持つ。また、人材育成、チームビルディングの能力を多くの企業から求められ、マネージャー研修、新人研修を行うほか、現在は吉本興業の社外取締役も務めるなど、活躍の場は枠にとらわれない。テレビ、ラジオ、講演会でも活躍中。
映画化もされて大ベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のほか、『人間は9タイプ 仕事と対人関係がはかどる人間説明書』『バクノビ 子どもの底力を圧倒的に引き出す339の言葉』『どんな人でも頭が良くなる 世界に一つだけの勉強法』など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    才能は生まれつきのものではない。「能力」は努力によって誰でも身につけられるが、それが他の人よりも抜きん出ることによって「才能」として認められるようになる。
  • 要点
    2
    「能力」を「才能」に育て上げるためにはまず、「できる人」の行動を完コピすることが重要である。その人の振る舞いを動画に撮り、徹底的に真似しよう。
  • 要点
    3
    成果を挙げることを目的に据え、達成のための戦術をシンプルに考えよう。「やること」と「やらないこと」を選択することが重要だ。

要約

「才能」とは何か

訓練すれば身につけられる
Marisa9/gettyimages

「才能」とは何だろうか。多くの人はその言葉の意味を、「持って生まれた、すぐれた能力」といったニュアンスで理解しているだろう。実際、著者が『日本国語大辞典』や『大辞林』を引いてみたところ、「生まれつきの能力」「技術・学問・芸能などについての素質や能力」などといった言葉が並んでいた。

そう聞くと「生まれつきすべて決まっているんだ」と諦めてしまう人も多いだろうが、著者はその思い込みを否定する。「能力」は誰でも身につけられるものであって、その能力が誰よりも抜きん出るとそれが「才能」として認められるようになるのだという。『広辞苑』の「才能」の項には「訓練によって得られた能力」という解釈が書き添えられている。

著者は「才能がある/ない」「頭がいい/悪い」「地アタマがいい/良くない」と二元論的に人を分類する考えは誤っていると感じてきた。そしてそれを証明すべく、学習塾の講師としての指導を記録してきたという。生徒にどんな課題を与えてその結果がどうだったか、結果を受けてどんな声かけをしたか、面接で何を話したか、合否はどうだったかなど、あらゆる項目を記録した。データは1000人分以上にのぼる。そしてそれを見返すと、塾にやって来た当初は「才能がない」「頭が悪い」などと言われていた生徒が一流大学に合格しているケースが多く見受けられた。

そこで著者が出した結論とは、「才能は結果でしかない」ということだ。“あまり努力をしなくてもできちゃう人”のことを「才能がある」と言いがちだが、才能があると評されている人たちはみんな努力をしている。すべての人が優秀と言われる可能性を持っているのだ。

ただし、自分に合っていない、ふさわしくない場所で努力しても結果は出ない。それよりも、自分に合った動機付け(やる気)のもと、正しいやり方を選んでコツコツと努力を積み重ねて結果を出した人が「才能がある」と評される。

「認知」「情動」「欲求」の3つが必要である
jacoblund/gettyimages

「やる気スイッチ」は幻想である。人は常に動機付けによって動くのだから、いかに動機付けするかが重要だ。親から子に対しても、上司から部下に対しても、やり方次第で動機付けを引き出すことができる。

動機付けは「認知」「情動」「欲求」の3つの行動から成り立っている。認知は、世界の見え方や価値観をがらりと変えてくれるものだ。たとえば500ページの本を20日間で読み終えなければならないとする。一見高すぎるハードルに見えるが、1日25ページずつ読むと決めると「これなら自分にもできそう」と感じられるようになり、行動に移すことができるだろう。これが認知だ。動機付けしたい人が何をどう認知しているかを冷静に正確に観察し、その人が面白いと思える視座を与えれば、動機付けをコントロールすることができる。

「情動」は、感情が燃え上がってテンションが上がることだ。イヤイヤやっていてはなかなか続かない。

「欲求」は、

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要約公開日 2018.11.12
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