大企業の経営悪化やリストラはもはや珍しくなくなった。定年まで勤められると思っていても、思わぬ形で会社と縁が切れてしまうということだ。一生勤められる会社に就職できるかどうかは本人の能力とは関係なく、運次第である。大企業でも中小企業でもそれは同じだ。今後は「会社がなくなったから」という理由で転職を余儀なくされる人も増えるだろう。
また、会社だけに生きがいや居場所を求めると、定年後に何をしていいかわからなくなってしまう。これまでこのような状況は男性のものとして語られてきたが、女性もフルタイムで働く今、男女共通の問題となりそうだ。
そこで重要なのは、社外のコミュニティに参加することだ。同僚との飲み会や上司とのゴルフをやめ、浮いた時間を社外でのコミュニティ探しにあてよう。家庭でも会社でもない第三の場所、サードプレイスを持つのだ。行きつけのカフェやバー、書店や公園など、居心地さえよければどこでもいい。そこに「お客さん」としてではなく能動的に関わることで、その場所はコミュニティとなる。会社以外のコミュニティを持てば、リフレッシュできるといったメンタル面でのメリットだけでなく、経済的な面でのセーフティネットも得られる。
副業を認める企業が増え始めたが、まだ少数派だ。しかし、だからといって立ち止まる必要はない。
会社員が会社以外で働いて報酬を得ると副業になるのだから、報酬をお金ではないものでもらえばよい。たとえば著者は、行きつけの海の家で土日だけ働かせてもらった。その際、労働の報酬として、平日にお客さんとして通うときの交通費と飲食費を無料にしてもらったという。このように、副業禁止であっても“副業的”な活動をすることは可能だ。
阿波踊りには“踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損”という言葉がある。まったくその通りで、どんなことでも見物するよりも当事者として参加するほうがずっと楽しい。まずは小さなことからで構わないので、とにかく当事者になってみたほうがいい。その経験が実績になる。
「自分には、そんなことはとてもできない」と思う人もいるかもしれない。しかし会社員を経験していれば、小さく始めるスキルはすでに身についている。ひとりで何か副業を始めようと思うと、時間の捻出、ギャラの交渉、進捗管理、経理処理など、すべてを自分で行わなければならない。こうした仕事は、会社員として経理や総務、営業などを満遍なく経験した人ならばきっとできるはずだ。縁の下の力持ち的な仕事をしてきた会社員こそ、実はスモール・スタートに向いている。
スモール・スタートのコツは4つある。
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